【第57話:処刑台の招待状】
【タイムリミット:残り17日】
翌日。
盗賊の都の至る所に、奇妙な張り紙が出回った。
『拝啓、盗賊王殿下。
貴殿が探し求めている《七王家の遺産》の在り処を知っている者がいる。
今夜、鐘が鳴る頃、中央広場の処刑台にて待つ』
シンプルだが、この街の住民なら誰もが色めき立つ内容だ。
七王家の遺産。それは莫大な富と力の象徴。
カイはその噂を流すために、なけなしの金を情報屋たちにばら撒いた。
夕方には、その噂は王の耳にも届いているはずだ。
夜。
都市の中央広場にある古びた処刑台。
かつて罪人の首を斬り落としていたその台の上に、カイは一人で立っていた。
周囲の闇には、数百もの気配が潜んでいる。
賞金稼ぎ、野次馬、そして盗賊王の部下たち。
彼らは皆、カイが何者かを見極めようと息を潜めている。
(囲まれたな。……計画通りだ)
心臓の鼓動が早鐘を打つ。
一歩間違えれば、ハチの巣にされて終わりだ。
だが、カイは震える膝をマントの下で隠し、堂々と腕を組んで待った。
『正気か? そんな嘘、すぐにバレて殺されるぞ』
ノクスが呆れたように言う。
「嘘じゃないさ。
《七王家の遺産》……つまり、お前を餌にするんだ」
『……なるほど。我を売り渡す気か。いい度胸だ』
ノクスが面白がるように明滅する。
「安心しろ。売るのは情報だけだ。
……俺はもう、何も奪わせない」
ゴォォォォ……
突如、広場の松明が一斉に消え、闇の中からしわがれた声が響いた。
「――好餌につられて来てみれば、随分と痩せたネズミが一匹」
処刑台の前。
空間がにじみ、一人の男が現れた。
ボロ布を纏い、背中が直角に曲がった小柄な老人だ。
手には不気味な髑髏の杖を持っている。
「誰だ、あんたは」
「ワシか? ワシは王の代理人、ただの掃除夫じゃよ」
老人はケケケと笑い、杖をカイに向けた。
「お前さんが遺産の在り処を知っているとは思えん。
……死んで、その嘘の代償を払ってもらおうか」
殺気。
A級冒険者に匹敵する圧力が、老人から放たれる。
ただの掃除夫であるはずがない。
これは王の《選別》だ。
カイは一歩も引かなかった。
冷や汗を流しながらも、口元には不敵な笑みを貼り付けた。
「掃除夫にしては、いい靴を履いてるな」
交渉のゴングが鳴った。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
少しでもお楽しみいただけましたら、
広告の下にある 【★★★★★】 を押して応援していただけると、執筆の励みになります!
↓↓↓ 広告下のこちらより ↓↓↓
(※感想もお待ちしております。)




