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【第56話:影の城の噂】

【タイムリミット:残り18日】


「……クソッ、またハズレか!」


カイは汚水の中に地図を叩きつけた。

ザラの隠れ家を拠点にしてから一週間以上が過ぎていた。


毎日、死に物狂いで情報を集めた。

金をばら撒き、チンピラを脅し、時には危険な賭けをして情報を買った。

だが、手に入るのは偽情報ばかり。


『盗賊王の居城《影の城》は、スラムの北にある』→ただの廃墟だった。

『王は満月の夜に地下水路に現れる』→巨大なワニが出ただけだった。


「7日だぞ……!

何も成果がないまま、一週間も過ぎちまった……!」


カイは頭を抱えて蹲った。


「ノクス、今の残り日数は?」


『リリア結晶化から12日経過。

残り日数は、18日だ』


「18日……」


リリアの体は、今この瞬間も蝕まれているのに。

俺は何をやっているんだ。


『カイ、落ち着け。焦燥は判断を鈍らせる』


「落ち着けるかよ!

あと2週間ちょっとだぞ!?

このままだと、王に会うことすらできずにタイムオーバーだ!」


カイは爪を噛んだ。血の味がする。

カランは古代文明が遺した《古遺迷宮》をそのまま都市として利用している。

無数の通路と部屋が複雑に絡み合い、入り組んだ構造となっている。

しらみつぶしに探せば、残り時間なんてあっという間に溶けてなくなるだろう。


「……探してダメなら、向こうから来てもらうしかない」


カイは顔を上げた。

その目には、追い詰められた獣のような、危険な光が宿っていた。


「ザラさんに教わった手を使う。

相手が食いつかざるを得ない、極上の《餌》をばら撒くんだ」


『……何を企んでいる?』


「王様への招待状だよ。

命がけのな」


カイは部屋にあった羊皮紙とインクを取り出し、震える手で書き始めた。

それは、この街で最も危険な相手への、宣戦布告にも似た手紙だった。


「もう時間がない。……一発勝負だ」


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


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