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【第34話:安物の髪飾り】

勝負は、カイの辛勝だった。

ザラは潔く負けを認め、情報を提供することを約束した。

ただし、現物は『闇の競売』に出品されるため、そこへ潜入する必要があるという条件付きで。


「……疲れた」


カジノを出たカイは、夜風に当たって大きく息を吐いた。

バックには、換金したばかりの大量の金貨。

軍資金としては十分すぎる額だ。


「すごかったわ、カイ。

最後の手、まさかブタ(役なし)でレイズするなんて」


リリアが興奮気味に話しかけてくる。


「ザラさんの深読みを逆手に取ったんだよ。ノクスのアドバイスで。

……までも寿命が3年は縮んだぜ。あはは」


帰り道、屋台が並ぶ大通りを歩いていると、一軒の露店が目に留まった。

安物のアクセサリーやガラス細工を売っている店だ。


カイは足を止めた。

その片隅に、青いガラス玉のついた銀の髪飾りがあった。

魔力もない、ただの装飾品。

でも、その色は、リリアの瞳の色によく似ていた。


「……おっちゃん、これくれ」


カイはバックから金貨を1枚取り出し、お釣りをいらないと言って購入した。


「? 何か買ったの?」


「ん、ああ……これ」


カイはぶっきらぼうに、髪飾りをリリアに差し出した。


「やるよ」


「えっ? 私に?」


「カジノの勝ち分だ。

リリアさんが後ろで睨んでてくれたおかげで勝てたし……その、分け前」


リリアは驚いたように髪飾りを受け取り、月明かりにかざした。


「……綺麗。

私の目の色と一緒ね」


「まあ、安物だけどな」


「ふふ。……でも嬉しい」


リリアはその場で、結い上げていた髪にその飾りを挿した。

街灯の光を受けて、青いガラスがキラリと輝く。


「どう? 似合う?」


リリアが小首を傾げて微笑む。

その笑顔の破壊力に、カイは思わず顔を背けた。


「……まあまあ、なんじゃない?」


「素直じゃないわねぇ。

……ありがとう、カイ。大切にするわ。絶対!」


リリアは髪飾りにそっと触れた。

その指先が、とても優しかった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


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