【第22話:水晶の守護者】視点:リリア
「……許せないわね」
リリアはカプセルの中の少女のような形をした肉塊を見つめ、剣の柄を握りしめた。
命を、魂を、なんだと思っているのかしら。
「カイ、目的の論文は?」
「あっちだ。奥の制御卓にある」
カイが指差した先。
部屋の中央に鎮座する祭壇のようなデスクに、一冊の分厚い羊皮紙の束が置かれている。
二人が駆け寄ろうとした、その時。
ズズズズ……ッ!
部屋の奥から、重苦しい駆動音が響いた。
床が割れ、巨大な影がせり上がってくる。
「……侵入者ヲ、検知。排除モード、起動」
現れたのは、全身が半透明な水晶でできた、高さ3メートルほどの巨像だった。
内側から青い光を放ち、その手には巨大な水晶のハンマーが握られている。
『クリスタル・ガーディアン……!
まずいぞ、あれは対魔法装甲の塊だ! 魔法は一切通用しない!』
「なら、物理で砕くまでのことよ!」
リリアが疾走する。
床を蹴り、一瞬でガーディアンの懐に入り込む。
「はぁっ!!」
銀閃一閃。
リリアの愛剣が、ガーディアンの脚部を捉える。
だが。
ガキンッ!!
硬質な音が響き、剣が弾かれた。
「なっ……硬い!?」
「排除、排除」
ガーディアンがハンマーを振り下ろす。
リリアはバックステップで回避するが、衝撃波だけで吹き飛ばされそうになる。
「リリアさん! あいつ、ただ硬いだけじゃない!
ダメージを受けた瞬間、衝撃を分散させてる!」
カイが叫ぶ。
『カイ、あいつの動力源を見ろ!』
カイの視界。ノクスの分析データが走る。
ガーディアンの体表を走る魔力回路。その光の供給元は――足元の床だ。
「……床の魔法陣から、魔力を吸い上げてるのか!」
無限に供給される魔力で、常時修復と防御を行っている。
このままではジリ貧だ。
「リリアさん! 本体じゃなくて床だ!
足元の魔法陣を壊してくれ!」
「床!? ……わかったわ!」
リリアは即座に狙いを変えた。
ガーディアンの大振りの攻撃を、紙一重でかわす。
ハンマーが床に激突し、亀裂が入る。
「そこよ!!」
リリアは亀裂に剣を突き立て、全力で魔力を流し込んだ。
「吹き飛びなさい!!」
ドガァァァァン!!
リリアの魔力放出と、ガーディアン自身の魔力供給が衝突し、魔法陣が爆散した。
供給を断たれたガーディアンの動きが、ガクンと停止する。
「今だ!」
リリアは跳躍し、停止したガーディアンの胸部にある核を一刀両断した。
水晶の巨体が崩れ落ち、ただの石塊へと変わる。
「……ふぅ。
硬い相手は嫌いじゃないけれど、限度があるわね」
リリアは剣を納め、乱れた呼吸を整えた。
「ナイス、リリアさん。
……さあ、今のうちに論文を持ってずらかるぞ」
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