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【第21話:アカシック・ヴォルト】

「……さて、気を取り直して。次は本丸だ」


カイは震える手を強く握りしめ、自分に言い聞かせるように呟いた。

廃棄迷宮で見た《水晶の中の女性》の記憶。

その不吉な映像はまだ脳裏に焼き付いているが、今は立ち止まっている暇はない。


「行こう、リリアさん。スレンの言っていた『大金庫アカシック・ヴォルト』へ」


「ええ。……大丈夫? 顔色がまだ悪いわよ」


「平気だ。俺は逃げ足と切り替えの早さだけが取り柄だからな」


二人は賢者の塔の地下深く、都市の中枢エリアへと潜入した。


アカシック・ヴォルト。

魔法の都が誇る、世界中の禁忌の知識と、危険なアーティファクトが封印されている巨大保管庫だ。


目の前にそびえ立つのは、継ぎ目のない黒曜石の巨大な扉。

高さ10メートルはあるその威容は、侵入者を畏怖させるには十分だった。


ギギギギ


カイとリリアは、2人で力を合わせて巨大な扉を押し開けた。


『警告。ここから先は物理的な罠と魔法的な罠の複合エリアだ。

我の演算リソースの80%を索敵に回す』


ノクスの警告通り、扉の奥の通路は静寂に包まれているが、肌を刺すような魔力の圧力を感じる。


「……見えるか、リリアさん」


「ええ。何もなさそうに見えるけど……私の直感が『一歩でも動いたら死ぬ』と告げているわ」


カイはノクスの視覚モードを起動した。

瞬間、何もないはずの空間に、無数の赤いレーザーラインが網の目のように浮かび上がった。


「うわ……。足の踏み場もねぇ」


『熱感知、魔力感知、振動感知の三重トラップだ。

触れれば即座に天井から溶解液のシャワーか、あるいは高圧電流の宴だ』


「悪趣味なワナだな」


カイは冷や汗を拭い、リリアの手を取った。


「俺が先導する。俺の足跡を髪の毛一本分も違わずにトレースしてくれ」


「髪の毛一本って……無茶言わないで!」


「あんたの体幹ならできるだろ? ……行くぞ」


カイは慎重に足を運び出した。

赤いラインをくぐり、跨ぎ、時には不自然なポーズで静止する。

リリアは文句一つ言わず、カイの背中にピタリと張り付くように追従する。

彼女の呼吸が首筋にかかる距離。


(……集中しろ。邪念を捨てるんだ、俺)


緊張と別の意味でのドキドキに耐えながら、二人は死の舞踏を踊るように通路を進んでいった。


そして、最深部の扉の前。


「……ふぅ。やっと着いた」


カイは大きく息を吐き、目の前の扉をそっと開けた。

そこには、無数の巨大なガラス管が立ち並ぶ、異様な空間が広がっていた。


ガラス管の中には――人間を模した《肉塊》が浮いている。


『……ホムンクルス(人造人間)。それも、失敗作の山だな』


カイはラベルを読み上げた。


『実験体:No.402』

『素体:第七王家の血液因子を使用』

『結果:魂の定着に失敗。廃棄処分』


「第七王家……。スレンの姉さんも、この実験の犠牲になったのか」


魔法の都の闇。

知識欲の暴走が生み出した地獄の光景に、カイは吐き気を覚えた。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


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