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【第20話:ノクスの断片】

怪物の残骸の中から、キラリと光るものが見つかった。

それは宝石でも金貨でもなく、歪な形をした《黒い金属片》だった。


「……これ、ノクスと同じ素材か?」


カイが拾い上げると、胸元のノクスが激しく振動した。


『カイ、それを我に近づけろ。

……それは我の《欠けた記憶》だ』


「記憶?」


カイが金属片をノクスに押し当てると、それは水飴のように溶け出し、ノクスの表面に吸い込まれていった。


瞬間。


カイの視界がブラックアウトした。


(――!? なんだ、これ!?)


脳内に、見たこともない映像が流れ込んでくる。


燃える空。

墜落していく、巨大な七つの浮遊都市。

逃げ惑う人々。

そして、その中心で互いに剣を向け合う《七人の王》たち。


『我々は失敗した』

『鍵を砕け』

『世界を閉ざせ』

『静寂こそが救済だ』


断片的な声。絶望と怒りの感情。


そして、最後に一つの映像が浮かび上がった。

青い水晶の中に閉じ込められた女性の姿。

それは――。


「うわぁぁぁぁぁッ!!」


カイは頭を抱えて絶叫し、その場に膝をついた。


「カイ!? どうしたの!?」


リリアが駆け寄り、カイの体を支える。


「……はぁ、はぁ……」


映像が消える。

カイは脂汗まみれで、ノクスを握りしめた。


『……データ修復完了。メモリスロット・セブン、解放』


ノクスの声が、いつもより低く、重く響く。


『ふむ。少しだけ思い出したぞ。

……どうやら我は、かつて世界を滅ぼすために作られた兵器の制御キーだったらしい』


「……はあぁぁぁ!?」


カイは絶句した。

世界を救う鍵だと思っていた相棒が、まさかの破壊兵器?


「お前、冗談だよな?」


『冗談であってほしいものだがな。

だが、安心しろ。今の我にその機能はない……はずだ』


「はずって何だよ! 不安すぎるわ!」


カイは頭を抱えた。

人造聖女計画に、ノクスの正体。

知れば知るほど、事態は厄介な方向へ転がっていく。


「大丈夫? 顔色が悪いわよ」


リリアが心配そうにカイの顔を覗き込む。


「……だ、大丈夫。ただの目眩だ」


カイは頭を振って立ち上がった。


「とにかく急いでここを出よう。次はアカシック・ヴォルトへ向かわないと…」


「……そうね」


この後、二人はさらに深く、この世界の闇へと足を踏み入れることになる。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


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