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【第19話:魔導書擬態(グリモア・ミミック)】

カイはノクスの視覚モードを共有した。

無数の赤いレーザーラインで、『魔導書擬態グリモア・ミミック』を解析する。


「リリアさん、斬撃は効かないかも知れない!

あいつの体、半分インクだ!」


「やってみないとわからないわ!」


リリアが疾走し、銀閃一閃。

怪物の腕が切り落とされる。


だが、断面から黒いインクが噴き出し、瞬く間に腕が再生した。


「嘘でしょう!?」


「グルァァァ!!」


怪物が反撃の触手を振るう。

リリアは紙一重でかわすが、制服の袖が裂け、肌に黒いシミができる。


「っ……! 魔力を吸われてる!?」


『あのインクは高濃度の魔力溶解液だ。触れれば触れるほど弱体化するぞ』


ノクスが警告する。


「どうすりゃいいんだよ! 燃やすか!?」


カイはポケットからオイル瓶を取り出し、火をつけて投げつけた。

炎が怪物を包む。


「ギィィィヤァァァァ!!」


怪物は悲鳴を上げるが、すぐに体表からインクを分泌し、炎を鎮火してしまった。


「耐火性能まで完備かよ! どんな魔導書食ったらそうなるんだ!」


カイは焦った。

リリアの剣も、炎も通じない。

再生能力が高すぎる。


(弱点はどこだ? 核があるはずだ)


カイはノクスの《戦術視覚》を最大出力にした。

スレンの実験で痛い目を見たおかげか、以前より鮮明に見える。


怪物が再生する瞬間。

インクの流れが、体の一点に集中している。

それは胸の中央――分厚い革表紙のような装甲の下。


(あそこだ! あの《背表紙》の中に核がある!)


だが、あそこは一番装甲が厚い。リリアの剣でも、一撃で届くかどうか。


(動きを止める必要がある。……どうする?)


カイの視界に、天井を通る太いパイプが入った。

中を流れているのは、廃棄された魔力廃液。青白く光る、不安定な液体だ。


「……これだ」


カイは叫んだ。


「リリアさん! あいつを壁際に誘導して!

上からプレゼントを落としてやる!」


「壁際!? 追い詰められるわよ!」


「いいから! 俺を信じて!」


リリアは一瞬躊躇したが、すぐに頷いた。


「わかったわ! ……信じる!」


リリアは囮となり、怪物を壁際へと引きつける。


「こっちよ、紙屑お化け!!」


怪物がリリアに襲いかかる。その真上。

カイは瓦礫の山を駆け上がり、天井のパイプに向かってジャンプした。

手には、さっき拾った錆びた鉄パイプ。


「食らえぇぇぇッ!!」


渾身の力でパイプの継ぎ目を殴打する。


バキンッ!!


老朽化したパイプが破裂し、高圧の廃液が滝のように噴出した。


「ギャァァァァ!?!?」


未知の化学反応が起き、怪物のインクが凝固し始める。

再生能力が阻害され、動きが鈍る。


「今だリリアさん! 胸の《背表紙》を砕け!!」


「任せて……ですわ! 絶対!!」


リリアが踏み込む。

その一撃は、彼女の全体重と魔力を乗せた、必殺の突き。


ズドンッ!!


硬質な音が響き、怪物の核が粉砕された。

巨体が崩れ落ち、ただの紙屑とインクの山へと変わっていく。


「はぁ……はぁ……」


リリアが剣を下ろし、肩で息をする。

カイも泥だらけで着地した。


「……ナイス、コンビネーション」


カイがサムズアップすると、リリアは疲れた顔で、でも嬉しそうに笑い返した。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


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