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【第14話:賢者の塔、最上階】

「ぎゃああああああああッ!?」


賢者の塔の最上階に、カイの絶叫が響き渡った。


「動かないでくれたまえ! 魔力回路の接続バイパスがズレる!」


スレンがカイの頭に謎の電極を貼り付け、怪しげなレバーを操作している。

バチバチと火花が散り、カイの視界が明滅する。


「痛い痛い痛い! これ絶対、人体実験の類だろ!?」


『我慢しろ、カイ。

この魔力負荷テストをクリアすれば、我の《戦術演算モード》の持続時間が10秒延びる』


「その10秒のために俺の寿命が10年縮んでる気がするんだが!?」


実験が終わると、カイはボロ雑巾のように床に倒れ込んだ。

身体中から煙が出ている。


「……お疲れ様、カイ」


リリアが濡れタオルを持って駆け寄ってきた。

慣れた手つきでカイの顔を拭き、水差しから水を飲ませてくれる。


「大丈夫? まだ痺れてる?」


「あー……感覚がない。指先がピリピリする」


「しょうがないわね。マッサージしてあげるから、手を出して」


リリアはカイの手を取り、丁寧に指を揉みほぐし始めた。

その表情は真剣そのもので、剣を振るう時の鋭さは消え、どこか家庭的な柔らかさがある。


「……リリアさん、上手いな」


「野営の時に覚えたのよ。剣の握りすぎで手が固まることがあるから」


「へぇ……。あ、そこ、気持ちいい」


「ここ? 凝ってるわね。……次は肩もやってあげるわ」


二人の様子を、デスクでデータを整理していたスレンが、呆れたように眺めていた。


「君たちさぁ。

まだ、知り合ったばかりなんでしょ?

なんでそんな《熟年夫婦》みたいな空気感出してるの?」


「「は!?」」


カイとリリアの声が重なった。


リリアが真っ赤になって手を離す。


「な、ななな何を言ってますの!?

これはあくまで相棒としてのメンテナンスで……!」


「そ、そうだよ! ただの介護だ介護!」


「介護が必要な18歳ってのもどうかと思うけど?」


スレンは肩をすくめ、一枚の羊皮紙を二人の前に置いた。


「さて、イチャイチャはその辺にして。仕事の時間だ」


「……仕事?」


「ああ。君たちには、ある場所へ潜入してもらう」


スレンが指差したのは、窓の外に見える巨大な時計塔のある建物だった。


魔法学園アカデミー

そこの地下書庫に、評議会が隠している重要書類がある」


「学校……?」


カイは嫌な予感がした。

自分はEランク冒険者。学問とは無縁の人生を送ってきた。


「正面から入るのは無理だ。警備が厳しい」


「だから、君たちには《生徒》として潜入してもらう」


スレンがニヤリと笑い、後ろの棚から二着の制服を取り出した。

金色の刺繍が入った、見るからに高そうなブレザーだ。


「転入生の手続きは済ませてある。

カイ君、そしてリリア君。

今日から君たちは、名門魔法学園の生徒だ。

……青春を楽しみたまえ?」


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


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