表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/95

【第13話:変人魔術師スレン】視点:スレン ★新規POV

面白い。

これは、実に面白い。


スレンは片眼鏡モノクル越しに、路地裏で警戒態勢をとる二人組を観察していた。

泥まみれで疲労困憊の少年と、殺気を隠そうともしない金髪の剣士。

明らかに、長い逃走の末にここに辿り着いた《ワケアリ》たちだ。


だが、スレンの興味を引いたのは彼ら自身ではない。

少年の胸元にかかる、あの《黒い球体》だ。

一見すると古い魔道具のペンダントに見えるが、スレンの目にはそれが本物の古代魔具だと映った。


(間違いない。あれは本物の古代魔具だ)


スレンの心臓が高鳴った。

知的好奇心という名の獣が、理性の檻の中で暴れ回る。


「ボクのことは、どれくらい知ってる?」


少年――カイが怯えながらも答えた。


「剣の都で……ノクスが言ってた。あんたならノクスの秘密を知ってるって」


(ノクス……古代七王家の遺産。伝説の《鍵》が、自ら情報を渡した?)


これは想定外だ。

スレンは数年前から、評議会に隠れて古代文明の研究に没頭していた。

その過程で《ノクス》という存在を知り、いつか出会いたいと願っていたが、まさか向こうからやってくるとは。


「……解剖させてくれない?」


「はいぃぃ?」


スレンはポケットから銀色のメスを取り出し、チャキリと刃を出した。


「君ごと切り開けば、この魔具との神経接続の構造が分かるかもしれない。

麻酔は打つよ? たぶん」


「お、お、お断りします!!」


少年の必死な拒絶。

隣に立つ剣士、リリアが剣を抜き放ち、スレンの喉元に切っ先を突きつける。


「冗談に聞こえませんわ。……次、動いたら斬ります」


速い。A級クラスの踏み込みだ。

だが、スレンは動じずに微笑んだ。


「冗談さ。……半分くらいはね」


スレンはメスをしまい、大げさに両手を広げた。


スレンは彼らを自分の研究室へ案内することにした。

賢者の塔の最上階。

ここは、塔内でも特別に許可された者しか立ち入れない聖域だ。


「さて、取引をしよう、カイ君」


研究室のソファに二人を座らせ、スレンはコーヒーを淹れた。


「ボクはこの塔の最上階に住むことを許されている《特級研究員》だ。

君たちを匿う権限がある。

魔力探知網のデータも、ボクが改ざんしてあげよう」


「……その対価は?」


カイが警戒心を解かずに問う。

臆病だが、交渉の基本はわかっている目だ。


「君とノクスのデータだ。

毎日、ボクの実験に協力してもらう。

……ボクの研究テーマは、評議会がひた隠しにする《人造聖女計画》の解析だからね」


その言葉を出した瞬間、カイの表情が変わった。


(ふむ。……やはり、何か知っていそうな顔だ)


スレンはカップに口をつけ、心の中で冷たく計算した。

この少年を使えば、評議会の老人どもを出し抜けるかもしれない。


(使える駒は使い倒す。それがボクのやり方だ)


だが、目の前の少年は、スレンの計算よりも少しだけ《人間臭い》反応を見せた。


「……わかった。協力する。

ただし、リリアさんには手出しさせない。実験台は俺だけでいい」


「おや、かっこいいこと言うね」


スレンはクスクスと笑った。

自己犠牲か、それとも計算か。

どちらにせよ、退屈な研究生活が一気に賑やかになりそうだ。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでもお楽しみいただけましたら、

広告の下にある 【★★★★★】 を押して応援していただけると、執筆の励みになります!


↓↓↓ 広告下のこちらより ↓↓↓

(※感想もお待ちしております。)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ