あーかい部! 37話 屋上
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!
趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!
同じく1年、青野あさぎ!
面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!
独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河!
そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
「……はぁ。」
ひいろは凹んでいた。
「あからさまに落ち込んでるねぇ。」
「ああ……。」
「……。」
「……。」
・・・・・・。
「ここは『どうしたの?』とか聞く流れじゃあないのか?」
「ひいろちゃんまでめんどくさくなったらこの世のお終いですぜ?」
「そうだな、すまない。」
「…………で?何かあったの?」
「きはだは優しいな。」
「当たり前のことを言うでない。」
「実はきはだの方がめんどくさい性格してたりしないか……?」
「勘のいいガキは嫌いだよぉ?」
「なら今日は馬鹿になって甘えるとしようか。」
いい雰囲気をぶち壊すように、ひいろは机に突っ伏した。
「?」
「なんで屋上使えない学校ばっかりなんだよぉぉぉ……!!!」
「……はい?」
「聞いてくれよきはだぁ……、」
「聞き流してもいい?」
「いい。……昨日新作を投稿したんだ。屋上でサボる先輩後輩シチュで。」
「当たり前のように官能小説を垂れ流しよる。」
「そしたら、届いたコメントが……『うちの屋上入れません』ばっかりだったんだよ……!」
「池図女学院も入れないねぇ。」
「なんて世知辛い世の中なんだ……。」
「でもまあ、屋上行けたらサボるよねえ?」
「そういうシチュエーションだからな。」
「だからじゃない?」
「なっ……、先人が屋上でサボりすぎたから、今ワタシ達が屋上を享受できないって言いたいのか……!?」
「そうだねぇ。ほら、白ちゃんの高校生時代とか、屋上でサボってそうじゃない?」
「くっ、容易に想像できる……!」
「あーかい部の部室だって白ちゃんのサボり場所だしねぇ。」
「池図女学院の屋上が普通に入れたら、今のあーかい部は無かったかもしれないのか……。」
「ガーリックフライ……いや、バター……ええっとぉ、
「バタフライエフェクトな。」
「そうそうそれぇ♪」
「なんだよガーリックフライってw」
「にんにくは元気出るでしょ〜?」
「食べないと意味ないだろう。でもありがとう……♪」
「それはそうと、うちの屋上ってどうなってるんだろうねぇ?」
「気になるな……。」
「まぁ気にしても真相は闇のな
「ちょっと鍵借りてくる。」
「え、」
ひいろはどこかへと出ていってしまった。
「借りてくるって、生徒が簡単に借りられたら入れなくはなってないよねぇ……。」
あーかい部室のパソコンをいじりながら待っていると、数分も経たないうちにひいろが大きい鍵を持って戻ってきた。
「屋上いくぞきはだ。」
「うそぉ……。」
2人は屋上へと校舎の階段を登っていった。
「よし。ご開帳!」
ひいろは鍵を差し込み、閉ざされたドアを豪快に開け放った。
「おお……普通だね。」
「普通だな。」
周りは転落防止用の金網で囲まれ、大きいパラボラアンテナが1つ聳え立っていた。
「さて、と。始めるか。」
「始める?」
「掃除だが?」
ひいろはいつの間にやら持って来ていたデッキブラシの1つをきはだに差し出した。
「条件付きかぁ……。」
「いや、これはワタシから言い出したことだぞ?」
2人はぼちぼちブラシがけを始めた。
「え、じゃあ無条件で鍵借りられたのぉ?」
「まあな。日頃の行いってやつかもな?」
「さすが生徒会でもないのにお仕事手伝ってる良い子のひいろ様、したたかだねぇ……。」
「したたかというか、喜んでもらいたいだけだよ。」
「けっ。」
「そう言うきはだだって、掃除してるじゃないか。……良い子の素質あるんじゃないか?」
「きはだちゃんは普通の子でいいんだよ、悪目立ちせずのらりくらりが楽なのさ。」
「……そうか♪」
「あ、こら!そこ笑うな!?」
その日、池図女学院の屋上は人知れずピッカピカになった……。
あーかい部!(4)
ひいろ:投稿完了だ!
白ちゃん:今日は何してたの?
きはだ:掃除
あさぎ:備品でも壊した?
ひいろ:奉仕活動だな
白ちゃん:え、2人とも屋上入ったの!?
きはだ:まあね
ひいろ:ああ
白ちゃん:ずるい!?私まだ入ったことないのに!
きはだ:ならブラシがけやってみる〜?
白ちゃん:ジャアイイデスゥー↓
あさぎ:現金だなぁ
ひいろ:見たところで普通の屋上なんだけどな
きはだ:働き損だよぉ……
あさぎ:でも一般生徒に屋上マウント取れるじゃん
きはだ:あ〜ら白ちゃん、まだ屋上に登ったことないのぉ?……登らせてあげよっか(小声)
ひいろ:えっっ
白ちゃん:屈辱的だから1回入っておこうかしら
ひいろ:屋上の鍵はお教頭先生が持ってるぞ
白ちゃん:ジャアイイデスゥー↓
あさぎ:白ちゃん教頭先生恐れすぎwww
白ちゃん:上司だもの
ひいろ:優しいんだけどなぁ……
白ちゃん:そりゃ生徒には優しいわよ
きはだ:鍵もすぐ貸してくれたもんねぇ
あさぎ:その割にはどこの部活も屋上使ってないけど……
きはだ:日頃の行いなんだって〜
白ちゃん:くっ……、
あさぎ:生徒に張り合わないでください