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GREAT HISTORY〜大史伝〜  作者: アイラル
第三部 ミケ将軍タズドット侵略編

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第五十五話 勤労感謝の日

その日、セルバチア学校の一室では、

マザール=デュマン先生とジャービト先生の二人が、のんびりと語り合っていた。


「いやあ……気づけば、長いことここで働いてますなあ」


マザール先生がしみじみ言うと、

ジャービト先生は肩をすくめて笑った。


「ほんまやな。月日が経つのは早いもんや」


マザール先生は、先輩であるジャービト先生の盃へと静かに酒を注ぐ。

それを受け取ったジャービト先生は、今度はマザール先生に注ぎ返した。


「最強は光魔法や。これは譲らんで」


「やれやれ……そう言ってまた酒を増やすんですから」


二人は笑い合い、声を揃えて杯を掲げた。


「「乾杯」」


酒をグイッと飲むと、二人とも自然と柔らかい笑顔になった。



「お互い、生徒を見てきましたが……どうです?」


「わいのとこは、まあまあやな。そっちはどうや」


マザール先生は真面目な顔で答える。


「そうですね……タイランくんはよく成長しています。シャヒンくんも、魔法の扱いこそ拙いですが、所作は概ね合格でしょうか」


そう言って、彼は少し誇らしげに続けた。


「結局、人は所作が整ってこそ……ですからね」


ジャービト先生はその言葉に嬉しそうに頷く。


「人が立派に育つっちゅうのは、それだけで教師冥利につきるで。……ああ、そういや、うちのアフメトは天才的に絵が上手いんや」


「それなら、うちのタイランくんも絵が上手いですよ」


「ははっ、絵は才能や。努力もあるけどな」


二人はまた笑い合った。



だが、話題がふと変わる。


「それと……一年のアルプなんやけどな。あいつは純粋ないじめをしてまう気質がある。まあ、あの様子なら父親を超えんでも優秀にはなるやろな」


その言葉に、マザール先生は表情を曇らせた。


「学校でのいじめは良くありません。辞めさせられないのですか? ああいうのは、放置してはいけないでしょう」


ジャービト先生はため息をついた。


「まあ……せやな。特性っちゅうもんやけど、変えんとあかん。それが道理やな。言っとくわ」


「分かってくださって良かったです」


互いにやれやれと笑い合った。



やがて、ジャービト先生は帰り支度を始めた。


「さて、仕事も大変やけど……そろそろ帰らせてもらうで」


「分かりました。道中、お気をつけて。危険なものに出くわさぬよう……願っています」


本気の言葉に、ジャービト先生は胸に温かさを覚えながら教室を後にした。



しかし、帰り道は静かではなかった。


夜道の先――

ジャービト先生は、バルラスに絡まれ、ボコボコにされているアルプを見つけてしまう。


「や、やめろって! 血の海の底まで沈める気かよ、お前ぇぇッ!」


バルラスは無造作に手を伸ばし、超能力の力でアルプの喉を宙へと掴み上げた。


「……しゃあない。さっさと倒すか」


ジャービト先生はため息ひとつ。

次の瞬間、空気が闇へと沈む。


「――闇の最上級魔法カゴドアーク


黒い閃光が走り、バルラスを一撃で吹き飛ばした。


地に沈んだその姿は、もはや動かない。



「せ、先生……! 本当に、本当にありがとうございます……! 命が助かりました……!」


アルプは涙目で必死に頭を下げ続ける。


ジャービト先生は頭をかきながら言う。


「まあ、お前の歳じゃ勝てんわな。でも、いつかは倒せるようにならなあかんで。……それが成長や」


「む、無理です! 先生が退治してください! あんなの、敵いません……!」


「まあ……そのうち倒すつもりやけどな。どうしたもんか……」


ジャービト先生は本気で頭を悩ませる。


そんな彼に、アルプはぽつりと言った。


「……ジャービト先生、格好いいです」


その一言が、妙に胸に響いた。


ジャービト先生は思わず照れくさそうに笑った。

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