第四十九話 夢幻の如く
岸辺の波はいつだって何回も陸に押し寄せてくるように、戦士に何度も会いにくるとても仲のいい女性がいた。
そして、ついには戦士とは結婚を約束する仲となった、けれど、その約束が叶うことなく戦士が戦場に出ている間に死んでしまったのだ。
しかし、戦士が家に帰ると女性は戦士を待っていた、そして、そのまま結婚して子供を作ったという。
そして、王様にお目通を願ってこのことを報告しようとした時に王様が疑問に思った、確かその娘は死んだはずだと、王様と一緒にその娘を確認すると一枚の紙になって消えていた。
子供はいることを確認し、王様は死んでも約束を果たしたかったのだろうと深く頷き理解するのだった。
そして、戦士は奥さんが消えてしまったことを悲しむのだった、そうまた奥さんと何としてでも会いたいと思うのだった。
一方、その頃、リムリアでは、なんということだろうか、平和な民が暮らしていたのにも関わらず、一切関係なし、ミケ将軍の暴力は止まることを知らない、恐るべし、ミケ一派、恐るべし。
このように新聞に書かれたのはミケ将軍が出陣して勝利した翌日の話であった。
悲しみかな、アルバム、悲しいかな、アルバム、力が無いとは実に無念なり、悲しみも醒めやわず、悲しみとてこの世界を覆う。
この世界の真ん中で悲しみの涙を覆っては泣き崩れるのはアルバムの市民たちだった、だが、リムリアのテロリストたちは万歳三唱を唱えるのだった。
「やっぱ勝利したんですね、リムリア国万歳、なんて喜ばしい日なんだ、嬉しくて仕方ないな」
「おまえ、なんという酷いことを言うんだ、実に恐ろしい、なんとも悲しいことですぐらいアルバムのために呟いてやればいーのに」
「何言ってるんですか、我々リムリア人が勝利したんですよ、祝わなくてどうするんですか、それにとっても喜ばしいことじゃないですか」
「それもそうなんだけど」
「未だにミケは我々テロリストの仲間に貴族としているんですよ」
「それはそうなんですけど」
「実にありがたい話では無いんですか、リムリアとタズドットが戦争をして、勝利した日とでも改めるべきかもしれませんよ、違うんですか」
「何を言っているんだ、そんなことを言ってしまったら、お終いだ、我々は平和を愛するべきです、戦争を愛してしまってどうするというんですか」
「しかし、戦争を楽しまなくてどうするんですか」
「それはそうかもしれないですね」
「我々テロリストともあろうものが庶民と同じ楽しみを味わっていていいわけないだろ、我々だけの楽しみということでいいんじゃないんですか」
「そんなわけないだろ、人は人で喜ぶもの悲しむもの色々いる、戦争は人それぞれです」
「それはそうなんですが」
「そして、テロリストと言っても千差万別、色々と違うようです、まあ、喜ぶテロリストもいれば悲しむテロリストもいる、それで良いか」
「そりゃそうですね、けど、やっぱり、僕たちテロリストは喜べばいいんじゃないんですか、リムリア国万歳、リムリア国万歳、リムリア国万歳」
リムリアのテロリストたちは喜ぶもの、残念がるもの人それぞれだった、だが、スタンが任命した新貴族たちは喜ぶことはなかった。
戦争など平和を愛するものとして最低の行為だというのが普通の態度だったからだ。
一方で、これを見ていた他の勢力はというと、反応はまずまずであった。
タズドットは黄金同盟に未加盟だった為である、案外ガプベ連合はなかなか悪くない反応を示していた。
連合未加盟のタズドットなんたる国は良くない国だからこのまま滅ぼそう。
そして、その財産を分け与えあって楽しみを分かち合えばいい、リムリア内で、そうすべきかもしれないな。
ガプベ連合は結構なこと主張してしまったが、これがゲイブ大臣の意見だった。
このようにゲイブ大臣からの反応は決して悪くなどなかった、しかし、それはそうと、バラムーユンタニアはなかなか苦しい顔をするのだった。
元々はタズドットはバラムーユンタニアとは貿易上競っていた仲でもあった。
だから、仲がいいかというと大変悪かったが、だからと言って勝利をただ喜ぶような国でもなかった。
「…なるほど、ミケ将軍はやるな、出来る男だ」
そういうと、酒を一杯飲んで、どこかへと消えていくのがバラムーユンタニアのルードリィフ・アゲエンコフ国王だった。
一方のサイカルネはというと、皆不思議がっていた、なぜ争いなぞ起こすのだろうか、もっと平和にいけばいいのに、そのような感じであった。
「平和なのに無念だな〜、どうせならもっと争わなければいいのにな〜、平和なら平和でいいと思うな〜」
そう言って、サイカルネの国民たちは反発はしないものの、喜んで賛同もしないという形を取るのだった。
最後にスタン国王は悔しがるのだった。
(これ以上、タズドットを刺激してどうする、戦争をしたいのかミケは、何ということだ、許し難い、ミケのやつ、帰ったら覚えておけよ)
だが、帰ってくるはずがない為、ただの文句にしかならないが、この文句をウィルモット・ラーべ宰相などに伝えて、悔しがるのだった。




