第四十話 美人草
王宮で不思議なことがあった、そして、王宮では不思議なことが起こると道士を呼んで何でもかんでも解決してもらうという癖があった。
道士はせっせせっせと活動して、不思議な呪文を唱えると不思議を解決しようとするのだった。風が吹き、雲を遮りたまえ。
そう言って道士が問題を解決しようとすると不思議な怪物が現れて、美女をよこせと要求してきたが、道士は断るのだった。
しかし、怪物はそれを許さない、美女を襲うと、美女は悲鳴をあげて拒絶した、すると、殺された場所から生えてくる花は美人草。
まさしく、証拠は残るというものだろう、そのうち怪物はどこかへと消えていってしまった。
一方のリムリアでは、その日、ミケ将軍は仲間を作らなければならないと確信していた、故に仲間を作ることにしたのだ、強い仲間がいる、さしずめ、有能で強い仲間を作ろうと考えていた。
(さあ、どうするか……)
ミケ将軍は六枚の人材リストの表を見るのだった。
獣使いロート・モフ
便利屋レオンハルト・ウルブリヒト
権力者アンヲルフ・クレーマン
暴鞭レイ・リッテルスト
金欲グスタフ・グロケントン
乱風クンツ・ヒラー
誰もが有能だが、この中でもグスタフ、クンツが飛び抜けて有能だと言われている。
(二人とも有能であり野心家だ、仲間になることだろう、だがどうせなら、一挙両得といきたい)
ミケ将軍はレイの項目を見るのだった、彼はグスタフ、クンツと友人であり、彼の人脈から二人を吊り出せばいい。
(この選択でいいだろう、ハハハハハハ)
ミケ将軍はまだ見ぬ仲間を求めて、レイの下へと向かうのだった。
そして、レイを仲間にしに行くのだった。
「俺様はミケ・フリードル、仲間になるのだ、そして、俺様の野心を達成させるのだ」
「そういうわけにはいきません」
「なぜだ、なぜ、仲間になろうとしないのだ」
「そう簡単にあなたの仲間になるわけにはいきません、世間体というものがありますから」
「そうか、貴様は簡単に首を縦に振る気はないということだな、命知らずなことだ、まあいい」
ミケ将軍は嬉しそうに笑うのだった、面白い、この俺様の実力を知っていながらいまだに楯突こうという愚かな漢がいるとは思わなかったのだ。
「どうすれば、仲間になる?」
「当ててみてはいかがでしょう」
ミケ将軍は少し首を傾げて考えるのだった、そして、答えを出した。
ミケ将軍は手元からジャラリと大量の金貨を転がすのだった。
「俺様の仲間になれば莫大な利益が出る、それでどうだろうか」
「利益ですか、魅力的ですね」
レイの反応は悪くなかった、テロリストという世間体になったとしても仲間になるだけのものがある、それが金だ、金は仲間を買えるのだ、ミケ将軍は嬉しそうにするのだった。
「どうした、欲しいのだろう、仲間になぜならないのだ?」
「私は……」
レイはここで悩むのだった、自らが仲間になるということは、その人脈も使われることだろう、となれば友人のグスタフ、クンツも誘われるに決まっている。
(……あの二人をテロリストにしても良いものか、二人とも前途有望な若者、私の一瞬の欲望に駆られての判断で決めて良いものではありません)
だが、金は欲しい、たまらなく欲しいのである、レイはこの時、非常に悩んだ、仲間を売る気にはなれないが、かといって金を諦めるわけにもいかない。
「さて、どうしたものですかね」
レイはこの時、ミケ将軍がどれほどの情報を持っているか気になり尋ねるのだった。
「あなたはなぜ、私を選んだのですか」
「お前は有能であり、野心もある、そして、何より仲間がいる」
「仲間ですか……」
「そうだ、仲間だ、誰だと誤魔化す気はないだろうな、それとも、金を独り占めしたくなったか、レイよ」
そういって、目の前で金貨を振るミケ将軍だった、レイは再び悩んだ。
「この俺様の仲間となるのだ、そして、仲間を連れて来い、それだけでこの金を全てやろう、これからの繁栄も約束しよう」
「そうですか、それは素晴らしい」
「将軍だ、将軍から始めさせてやろう、お前は軍隊を率いるのだ、何千という兵を率いる将軍だ、どうだ、良かろう、楽しいぞ、お前の鞭を与える相手にも困ることはないんだぞ」
「左様ですか」
ミケ将軍の発言は、レイの心を掴むのだった。
「だが、その前に、契約書にサインをしてくれないか、仲間になるに、はいと書くだけでいい、チェックマークでいいんだ、簡単なことだろう」
そう言って、ミケ将軍はまるでおどけた道化師のようにニンマリと笑うのだった。
「おっと、忘れてはいけないことを言わないといけないな、後から知らなかったでは済まされないからな、当然、仲間のことだ」
「誰のことですか」
「バツネの地にいるグスタフ、クンツのことだ、仲間になった暁には、彼ら二人を仲間にしてもらいたい」
「そこまでお見通しでしたか、これは一本取られましたね」
レイは高らかに笑うのだった、これは面白い男を見つけたかもしれない、そして、何より仲間になるに値する男かもしれない。
果たして、悪魔に魂を売り渡すべきかどうか、それが問題だ。




