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GREAT HISTORY〜大史伝〜  作者: アイラル
第二部 ミケ将軍到来編

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第三十七話 夜の道筋に

 桜の花は長雨が降る間にむなしく色あせてしまった。


 花の色も変わるほどに時間が経過したなと一人の戦士が歩いていた。


 誰もいないので怖くなって思わず戦士は音を鳴らして進んだ、怖くない怖くないと。


 すると、遅れて音が鳴り周囲に人もいないのにと恐怖が実現し、驚愕するのだった。


 まさしく、戦士の姿も変わってすっかりと臆病者となるのだった、そして、周囲に剣を振り翳し、荒れ狂って走って消えていくのだった、まさしく、恐ろしいことだな。


 一方、その頃、スタン国王の機嫌は不機嫌となっていた。


 ミケ将軍が表だった反逆行為ではないと認識されている以上は、黄金同盟の不可侵同盟に則って、誰もミケ将軍を攻撃できないのだった。


 一部の国は違ったが、内政干渉をするわけにもいかないからである。


 そして、捕虜たちにもう一度交渉に行くと、意見が変わっていたりしていた。


 もはや、スタン国王は頼りにならない、まさか、戦の途中で逃げ出した上に、文書の内容ですら、ミケ将軍にしてやられる始末だったという。


 これでは何の役にも立たない、ミケ将軍に従った方がマシというものであった。


 ミケ将軍との交渉はもう少し意見が静まった内容が入れられるようになった。


 だが、それはそうとして、少女を襲うなどの非道が許されたわけではない、何も変わらない点は変わらなかった。


 少女どころか女を襲うのはやめるように何度も何度も捕虜ですら要求したのだった。


「もうこれ以上悪いことをするのはやめたらどうだ、ミケ将軍」

「断る、俺様に従え、俺様の勝ちだ」


 健康な男たちもどうせ、奴隷にされるなら、もう少し条件を良くしてくれなど、逆らう気も失せていた。


 領内の者に迷惑をかけることになっても交渉で使われるのは全くごめんだ、となっていたが、さすがに死にたくはなかった。


 ミケ将軍の方が道理が通り始めてしまった以上は、領内の者と通信して、金を用意して助けてもらうことにすることを選ぶものは少なくなかった。


 助からなかった先駆者達のように、ぞっとするような笑みを浮かべた骸骨のようにはなりたくなかったからだ、不快な闇がリムリアを飲み込もうとその触手をのばしていた。


 こうして、ミケ将軍は仲間達からの支持は絶大なものとなるのである。


「ミケ様こそ素晴らしい」

「俺様を認めるか、素晴らしい世界の幕開けだ、俺様と共に来るがいい」

「ははっ、ミケ様万歳、ミケ様万歳、ミケ様万歳」


 万歳三唱の嵐が起こり、人々は皆ミケ将軍にひれ伏した。


 このような状況に文句を言っているのはやはりスタン国王だった、彼は何が何でもミケ将軍を認める気になどなるはずなかったからである。


 しかし、人々の意見は強きに従えば助けてもらえるのだ、そして、実際に助けてもらっている以上は文句など出せるはずもなかった。


 それどころか、スタン国王は役にも立たないのになぜ、あのように偉そうなのかという意見すら出ている始末である。


 スタン国王としては悔しくて悔しくて仕方なかったが、それでも従うしかないような現状を作り出してしまった以上は従っておくほかなかった。


「なぜ、みんなミケに従うのだ」

「それはミケ将軍の方が強いからです」


 こうして、ミケ将軍の方が道理が通り始めたのだった。


 そして、ガプペ連合との間の約束事であるお互いの貿易、防衛上の非戦、それらが全て守られることがなくなる可能性だってあったのだ。


 リムリアはどうなってしまうのだろうか、恐ろしさで震えが走るのがスタン国王だった、サバス文書官にとばっちりがくるのだった。


「お前が作った文書ではないか、お前が責任を取らなくてどうする」

「この私が作った文書は言われた通りに作ったものです、責任は取れません」

「覚えておけよ、この始末は必ずや落とし前はいずれつけてやるからな」


 スタン国王はこのままでは良くないと交渉を再開して、ガプペ連合と話し合いを始めるが強くない君主とは交渉しない、まずは手土産をどうぞという状況だった。


 こちら側の要求に従わせるのにも力がいる、何より、これ以上テロリストを国内に増やしてたまるかという意見を持っていたスタン国王にとっては予想外の出来事であった。


「実に無念だ、黄金列強にここまで屈辱的な目に遭おうとは」


 かくなる上は無理にでもテロリスト用の国内収容所でも作って入ってもらい、その信用も得なければならないという状況であった。


 しかし、明らかに不足しているのがスタン国王の経験や実績ともいえた。


 だが、スタン国王が用意した三人の地方官は国内で力が有り、それぞれ軍隊を引き連れていたのだった、果たしてどうなるのだろうか。

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