第三十六話 不思議な釣り
とある貴人が、都でのんびりと花を見つめながら暮らしていた、その貴人はのんびりと花を見つめることがとても好きで、また、その時に調子に乗って踊ったり歌ったりするのも好きだった。
そんな男がみんながよく釣りをする場所で釣りをしに向かったところ、なぜか、魚釣りをするには絶好の池を見つけて釣りをしたのだった。
いろいろな魚が釣れて面白がっていたところ、なぜか、もうそろそろ帰るかというところでなんと、魚が消えてしまったのだった。
そして、男は残念がって帰った後に、のんびりと桜を見つめたりするのだった、ここが王宮でなければもっと落ち込んでいたのだろうか。
一方、その頃、三地方官から従う気になれない要求を突きつけられたが、そうなると、交渉する必要がなくなってしまうのだった。
三人をそれぞれ断ると一人で十分相手にできると豪語するのだった。
「俺様は強い、俺様一人で十分だ、俺様の大将軍の夢にすら手を貸さない愚か者共め、従わないなら倒してやろう、お前達程度相手にもならない」
「わかりました、それならば戦争は避けられません、避ける気もないのなら我々も故郷に帰って戦支度をしなければなりません、どうしますか」
「いい加減にしろ、俺様に従え、俺様に従わないなら、お前達などいらん、俺様が全員を相手にしてやる」
交渉は失敗し、ミケ将軍は嫌われるが、問題などなかった。
なぜならば、ミケ将軍は嫌われても大丈夫なように、ガプペ連合との間の交渉を強めていたためである。
ガプペ連合はこの点、どちらでも良かった、強い方が自らの安全を守ってくれるのだ、それで良かったといえよう。
また、助けてもらうなら強い方がいい、それの一点張りだったが、世の中そんなもんであった。
スタン国王の正当性にすら首を傾げていてもおかしくなかったのだった。
もしかすると、このままいけば、黄金同盟の一角を気取っているお間抜けな男狼のスタン国王を一人が一人で悲しくわんわん泣いているのだ。
むしろ、このまま襲ってやって、リムリア併合も一つの案ではないかというのが意見だった。
治安を維持出来ていない以上は、助ける価値もない、そんな輩と交渉する必要などあるのだろうか、そのような意見で終わっていたのだ。
助けられるためにも力がいる、そんな時代だった、まずは自分の手や足できちんと歩けるようになってから助けはもらえるというのが当たり前のルールともいえる時代だった。
文書の内容も問題だった、一点目として挙げられた未だミケ将軍は将軍の立場にしかないのだ。
それなのに、ミケ将軍はただの将軍の立場でありながら大将軍の地位の獲得を目指しており、これが横暴だという。
だが、ガプペ連合によれば、将軍が任された以上は君主に従わなくても良い場所がある、そう、君命に逆らってもいい場所があったのだ。
バツネの地にいる限りは問題など何もなかった。
バツネはもはや、アーデルヘルム地方官によってきちんと治められてなどいなかったからである、きちんと治められていない以上はもはや、独立しているといえる。
そんな中、わざわざ話まで聞いて、ミケ将軍はスタン国王を立てたのである、十分な話し合いはなされたとガプペ連合のゲイブ大臣は判断するのであった。
もはや、誰もアーデルヘルム地方官どころかスタン国王にすら従ってなどいなかったのだ、皆、ミケ将軍に従っていた。
「俺様に従え、俺様に従うのか」
「従います」
「喜んで従います」
「謹んで従いましょう」
「俺も従うぞー」
「俺だってだー」
「私もです」
このように従うものは数知れずという状況だった。
そして、文書の内容として挙げられた第二点目も同じだった。
危険人物との会合が度々確認されたということだった。
テロリストなどの危険人物を集めて会議を共に行うなどの行為が見られると言う点だった。
貴族の責務として治安の維持を放棄している、彼らが大人しく従わないようなら首を刎ねるべきだ。
どちらもガプペ連合のゲイブ大臣によれば、それに値せずに、なんと、ガプペ連合の住民をお客様としてお招きし、ただ会談していただけだという。
そう、また、ガプペ連合内のお客様をリムリア内に入れることによって、ミケの兵力を上げ、ガプペ連合内の治安を良くしようという試みもあった。
ゲイブ大臣によれば、これで良いのではないだろうかという意見だった、自国民は危険人物などではない。
また、ミケ将軍が会っていたのはただのお客様であるの一点張りだった。
「私が思うに、これで良いのではないでしょうか、国家の安全こそがガプペ連合の望みであり、黄金同盟になんら差し支えありません」
ゲイブ大臣は基本的にミケ将軍寄りの発言を行い、スタン国王の機嫌は不愉快へと変わっていくのだった、果たして、ここから先どうなってしまうのだろうか。




