第三十五話 山の日
山の日、それは「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」日、日付に特に意味はなく、盆休みと連続させやすいことから選ばれたという。
おいら達はアフメト先輩とゲームをしたんだ、負けたら黒いコーラと呼ばれる失明ジュースを飲むというルールだったんだ。
「おいらは絶対飲みたくない」
「負けたら飲もうな、そんで笑おうぜ、どうせアルタン=ボーラーンいるしな」
ルールはお互いにおもちゃのカブトムシを用意して、すごろくのマスにおくんだ。
そして、じゃんけんして勝つとコイントスをして、その分進めても良いというルールだったんだ。すごろくのマス目は五マスなんだ。
「なあ、タイラン、不正しような」
「そんな、不正なんてダメだよ」
「勝たなきゃダメだよ、それに相手ベヤズカプランだしな、ありだと思う」
「分かったよ、シャヒン」
おいら達は勝つために不正をすることにしたんだ、両方表のコインを用意したんだ。
そして、アフメト先輩がやってきたんだ。
「おーいアンカの小僧っ子達、俺が勝つからな見てろよ、いつかの復讐もしてやる」
そして、ゲームが始まったんだ。
まずはじゃんけんなんだ、おいら達はじゃんけんに勝ちさえすればいいだけなんだ。
「「最初はグー、お次はチョキ、最後はパー、それじゃあ、じゃんけん、じゃんけん、ポン」」
「グー」
「パー」
シャヒンは負けてしまったんだ、アフメト先輩はコイントスを始めたんだ。
「それじゃあ、投げるぞ、一回目、当たり」
そして、すごろくのマスを進むアフメト先輩だったんだ、おいら達は慌てたんだ。
「そんじゃあ、投げっぞ、二回目、当たり」
二回目も当たってしまったんだ、おいらは恐怖したんだ、どうすればいいんだ、冷や汗ダラダラで、シャヒンは涙目だった。
「そんじゃあ、投げっぞ、三回目、当たり」
三回目も当たってしまったんだ、おいらは恐怖が絶望に変わっていくのを感じたんだ、どうなってしまうんだ、シャヒンはお漏らしそうだった。
「そんじゃあ、投げっぞ、四回目、ハズレ」
おいらはほっとしたんだ、おもわずおしっこを漏らしそうだった、シャヒンは吐いてしまったんだ。
「「最初はグー、お次はチョキ、最後はパー、それじゃあ、じゃんけん、じゃんけん、ポン」」
「チョキ」
「グー」
シャヒンはまたしても負けてしまったんだ、運命はおいら達をどうしたいというんだ、あまりのことにおいら達は昇天しそうになってしまったんだ。
何もかもおしまいだ、おいら達が失明ジュースを飲むかもしれない、おいら達に黒い絶望が迫っていたんだ。
「そんじゃあ、投げっぞ、一回目、当たり」
おいらはその瞬間、吐きそうになってしまったんだ、どうしようもない、終わったんだ、おいらの人生は神様あんまりだよ、シャヒンは泣いていたんだ。
「そんじゃあ、投げっぞ、二回目、ハズレ」
神様ありがとう、まだ、おいらを見捨ててないんだね、神様サイコーだ、シャヒンは笑い始めたんだ。
「やったな、タイラン、まだ終わってないってさ」
「そうだね、シャヒン」
そして、おいら達は運命のジャンケンが始まるのを感じたんだ、これで負けたら後はない、おしまいなんだ、勝たなくては、何としても。
「「最初はグー、お次はチョキ、最後はパー、それじゃあ、じゃんけん、じゃんけん、ポン」」
「パー」
「グー」
勝ったんだ、おいらはこの瞬間にはち切れんばかりの喜びに包まれたんだ、シャヒンはダンスしていたんだ。
「やったあー」
「やったな、タイラン」
それに対して、何も知らないアフメト先輩は素直に褒めるのでした。
「やるじゃないか」
そして、コイントスが始まったんだ。
「それじゃあ、投げるよ、一回目、当たり」
アフメト先輩は堂々としていたんだ。
「二回目、当たり」
アフメト先輩は気にもしてなかったんだ。
「三回目、当たり」
アフメト先輩は机をコンコン叩いていたんだ。
「四回目、当たり」
アフメト先輩は焦り始めたんだ。
「五回目、当たり」
アフメト先輩は泣いてしまったんだ、失明ジュースの罰ゲームだ。
そして、おいら達は勝ったのさ。
「やったな、やり方次第じゃ、六年にだって勝てる、世の中そんなもんだな、良かったな、タイラン」
「そうだね、シャヒン」
シャヒンは喜んでいるけど、これで良かったんだろうか、勝負事で失明ジュースなんて本当にいいんだろうか。
そして、アフメト先輩のかっこいいとこ見てみたいで、アフメト先輩は失明ジュースを一気飲みしたんだ。
「俺の目が〜、弾けそうだ、痛いよ〜、痛いよ〜」
アフメト先輩はその後、失明して、担架で運ばれていったんだ、そして、シャヒンはそれをみて笑ったんだ、おいらは慌てるしか無かったんだ。
まあ、アルタン=ボーラーンいるしな、それに、ゲームは勝ち負けじゃない、どれだけ楽しんだかで最後には二人して笑って終わったんだ。




