第三十二話 玉投げ
物をぶん投げて、おやおや、ボール投げかな、ボール投げをしていたら、穴の中に入って行ったよ、この穴何の穴かな、なんと、人が住んでいたんだ。
この人が住んでいる穴の中に入っている人が怒って出てきたぞ、うわー、どうしよう、どうしよう、この穴の中に入ってきている人が出てきたよ。
怒られた。
「こらー、お前、何やってんだ、このボケナスー」
「ひー、すいませんでした」
とっても怒られたよ、大変だったな、おや、穴の中が崩れていく、あーあ、次の寝床を探さなきゃだってさ、大変なことをしてしまったな、うわー、どうしよう。
「大変だったな、タイラン、まあ今回はこんなもんだ、ベヤズカプランだったら問題なかったんだけどな」
それを見ていたアルプはせせら笑うのでした。
「へへへ、どんなもんだい、怒られてやんの、アンカのやつら」
そうするとシャヒンが怒ったんだ、何がおかしいと決闘だ、シャヒンが勝ったんだ、すると泣いたのはアルプだったんだ。
その後、白組ベヤズカプランの一つ上の先輩のジェム=トゥラーンにも文句をつけたんだ。
「ベヤズカプランは全く物の道理も分かってないぜ、つまんねーの」
「俺が思うにつまんねーのはそっちだろ、ベヤズカプランに迷惑かけやがって、文句ばっかり言いやがって」
そして、シャヒンと喧嘩したんだ、すると、シャヒンが負けたんだ。そしたら、こっち側の紅組アンカの二年生のアルタン=バヤット先輩が出てきたんだ。
「ここはこのアルタンにお任せを」
「お前んとこのやつが悪いんだぞ」
「そいつは失礼、悪いことをしました、しかし、お前もだろ、ベヤズカプラン、お前も悪いだろ、ベヤズカプラン」
そして、決闘が始まったんだ、そして、アルタンが勝ったんだ、そして、一個上の白組ベヤズカプランの三年ナージー=レヴニに責任を取らせたんだ。
「私ですか、私に責任を取らせるんですか、くらえ必殺の魔法アース」
卑怯にも不意打ちをしたんだ、そして、効果はあったんだ、アルタンはやられてしまったんだ。
「ちくしょーめ、不意打ちとは卑怯な、卑怯すぎて声も出ねーぜ」
「うるせー、勝てばいいのさ、勝てばな」
すると同じ紅組アンカの三年タネルが出たんだ。
「私が思うに卑怯すぎて見てられません、私も参戦します、私にも戦わせろ」
そして、必殺の魔法を使ったんだズールだったんだ。
「くらえ必殺のズール」
「ぐわー、やられたー」
するとまた一個上の先輩が出てきたんだ。白組ベヤズカプランの四年ドゥユグ=トルコ先輩が出てきたんだ。
「お前何もんだ、俺がトルコってんだ、トルコでわりーな、さらばアンカ」
魔法は使わなかったけど、決闘が始まったんだ、タネル先輩はやられてしまったんだ。そこに現れたのは紅組アンカの四年バイラム=デミレル先輩だったんだ。
「お前に責任を取らせてやろう、トルコよ」
「嫌だ、責任なんて取らない」
「取れと言ったら取るんだよ、責任を、分かったな」
そして、決闘が始まったんだ、すると負けたのはドゥユグ先輩だったんだ。そうしたら白組ベヤズカプランの五年ハルク=ムトルが出てきたんだ。
「お前たち何やってんの、喧嘩、馬鹿じゃねーの、ブイブイ」
「責任を取らせようとしたのだ、私は、間違っていない」
すると、喧嘩になってしまったんだ、そして、バイラムにハルクが勝利したんだ。しかし、当然問屋が下さなかったんだ。紅組アンカの五年バークが出てきたんだ。
しかし、勝てなかったんだ、決闘には、そしたら、ついに紅組アンカの六年カン=ウーズーンが出てきてしまったんだ。
「君たちなんで喧嘩しているんだい、結婚かな、違うな決闘だな、よし任せろ、この俺にもな」
バキューン、バキューン、俺の一撃ハードボイルド、俺の一刀、俺に決めるぜ。
そして、決闘はカンが勝ったんだ。すると、最後にアフメト先輩が出てきてしまったんだ、そして、アフメト先輩にも責任を取らせたんだ。
「同じ六年なら何も言うまい、決闘だな、よし来た」
「俺と決闘か、死ななきゃいいけどな」
そして、二人は決闘したんだ、決闘の結果勝ったのは六年のハードボイルドカンだったんだ。
そして、平謝りに謝ったんだベヤズカプラン達が。正義と団結は常に勝つ。
一方、その頃、リムリア戦争の時、リムリア近辺でミケ将軍が軍隊を仲間を集める際の護衛として引き連れながら、配下になりにバーニー・ロバートと呼ばれる漢が颯爽と現れるのだった。
「俺様に従え、俺様に従った以上は間違いなく褒美をやろう、何が欲しい、何が望みだ、お前たち」
「いえいえ、まだ、勝利してはいないのです、なぜ欲しがりましょうか、ここで欲しがってはご褒賞目当てだと思われてしまいます」
「ほう、そうか、素晴らしいな」
「我々は勇敢な戦士であり、今まで、様々な活動をしてきました、その為にこの身を粉にして働こうと思い、テロリストとして追い詰められてしまった次第です」
「そうだったのか」
「しかし、本心はこの国の為、この国の民が為だったのです、それがどうして、ご褒賞が欲しいなどと言いましょうか」
「気に入った、面白いぞ、きっとそれでいいだろう、貴様ならば、望むものを言うといい、勝利ののちには、貴様には喜ぶほどのものが必ずや来るだろう」
「その時はその時で喜んで受け取りましょう、我々も財産が無くては生きてはいけませんから」
(欲望だ、人はそうでなくてはならない、労働の対価として、金を与えることを怠らず、そう、これらを与えさえすれば、必ずやうまくいく、俺様の覇道は始まったばかりだ)
この時、拠点にてミケ将軍は兵士が増えていき、戦力が増えることを大喜びするのだった。
そういって、テロリストたちは喜んでテロリストから兵士へと変貌し、スタン国王に立ち向かうべく従軍するのだった。
それだけではない、ミケ将軍に従うものは貴族の中にもいたのだ。
スタン国王ではどうしようもあるまい、そう、ミケ将軍なら必ずや、大将軍としてこの国を建て直してくださると考えるものは数は決して少なくはなかったのだ。
「俺様に従え、俺様に従った以上は立身出世は思いのままよ」
「ははっ」
それに応えるのは貴族のダン・スワンポールであった。
「貴様はなぜ俺様に従ったのだ」
「この国を変えるために貴族の身でありながら参戦させて頂きました、お願いします、子分に加えてください」
「俺様に従ったのだ、決して悪いようにはしない、誰か五十人ばかり子分をつけてやろう、これでいいだろう」
「ははっ、我々が従いましょう、我々が従うのです、必ずや勝利いたしましょう」
「これは有り難きお幸せです、必ずやお役に立ちましょう」
このようにして、軍勢を連れては、また、軍勢を配備する、そして、子分を増やしていくのだった。
そして、誰もが猛然とやる気のある子分たちであり、一騎当千の強者たちだったことは言うまでもない。
こうした子分が加わるにつれて、ミケ将軍の評価は上るだけだった、宿敵ともいえる存在もいない。
ライバルはいないのだ、リムリアの勝者としてはミケ将軍が間違いなく挙げられるくらいにはミケ将軍の一人勝ちとも言える状況が続いた、それに対して、敵軍は愚かだった。
スタン国王はたった一人で軍勢を連れて、お山の大将として参戦したのだ。
大した実戦経験も存在しないのに、根性もそこまであるわけではない、藪から棒に戦おうとして戦うことになったのである。
もう、勝ち目は目に見えていた、やる気だけはあった、だが、やる気だけではどうしようもあるまい。
本人はもともと内政担当の方がその身に合っていたのだろう、しかし、リムリアの精強さは群を抜いている、油断はできなかった。
だが、この時だけは運悪く違ったといえる、そのまま軍勢を連れて戦争をしてミケ将軍が勝利するのだった。
スタン国王は途中で怖くなって敵前逃亡をしてしまう始末だった。
ウィルモット宰相はあまりのことに嘆かずにはいられなかった。
「なぜ逃げ出したのですか」
「だまらっしゃい、死んだら終わりだろうが」
「ですが、逃げ出したのでは、私たちとしてはやる気を失ってしまいます、後方で大将がしっかりと我々を見てくださるということは大切です」
「何が言いたい」
「皆、恩賞をしっかりと下さるという確実な可能性を与えられているからこそ、皆喜んで働くのです」
「だまれ、私に説教か」
「いえ、ですが、それだけではありませんです、後方から逃げ出したのでは、もしや、敵方の方が有利なのかと思ってしまいます」
「まだ続けるのか」
当然のことだった、負けたのである、文句は山ほどあった。
「おっしゃる通りです、やる気というよりも戦意を失ってしまいます、皆勝つために命懸けですが、そういった間違った情報だけでも人は戦意を失ってしまうものです」
「何が言いたい、貴様」
「ですから戦意を失ってしまい、勝ち目が無いとなると皆根性無しになって負けを認めてすぐに降参してしまいます」
「黙れ」
「黙れというなら黙りましょう、ただ、一層の勝ち目が消えてしまうものかと、これでは勝てるものにも勝てません」
「黙れ、この私が一番だといっているんだ、どうして、私がいなくなった程度で敗北するのだ」
「…」
「喋るが良い」
「あなたが一番だからです」
「黙れ、そもそも、そんなことを考えているから負けたのだ、負けてしまった以上、お前たちの責任だ、もう一度言う、黙れ」
「はっ、おっしゃる通りに」
とスタン国王はこの後、反発があった時にはだまれと言って抑圧するのだった。
一方のミケ将軍は勝利して気を良くするのだった、そして、褒賞が手に入ると喜ぶミケ将軍の配下達だった。
しかし、ちょうど寝静まった夜更け頃に、腐敗した森の中で奴隷たちは反逆をこれから先、従うくらいならばと猛る怒涛の獣のように発生させるのだった。
「こんなところで貴様らに従って奴隷になってたまるものか」
そう叫ぶと、奴隷は手にかけられた手錠を筋肉で無理やり破壊するのだった。
「どういうことだ、手錠が破壊されただって、とても敵いそうにない」
だが、そこに部下を助けに現れたのはミケ将軍だった。
「愚か者め、従わないからこうなるのだ、喰らえ、暗黒の闇魔法!」
ミケ将軍の持つ黒い杖から闇の衝撃が哀れなる奴隷を襲い瘴気となって包み込むのだった。
「ぐわー、だめだ、とても敵わねえ」
哀れなる奴隷は悲痛な叫び声を上げた、そして、死と破壊を司る堕天使の如く颯爽と現れたミケ将軍によって反乱は未然に防がれるのだった。
「俺様は勝者だ、従え愚か者ども、俺様に早めに従った方が何かと便利かもしれんぞ、さもなくば後で苦しむ方がみんなの望みかな」
そう言って、奴隷を苦しめる闇の呪文を使い続けるのだった、そして、奴隷の反乱で急遽どうしようと慌てた部下はミケ将軍の行動に喜んだ。
「おっしゃる通りです、あなた様が勝ってくださり、これ以上に喜ばしいことはありません」
「気にするでない」
「何をおっしゃいますか、貴方様が勝利してくださった以上は間違いなく人々が喜び、我々も自らを忘れるほどの喜びというものを得られるというものです」
ミケの配下達は皆喜び、負けて奴隷となったものは苦悶の顔を浮かべるのだった。
「俺様に従ったのだ、望みを言うといい、金か女か、いくらでも好きなようにするといい、俺様に従え、女が欲しいか」
「喜んで欲しがりましょう、うふふふ、私は美女が欲しかったのです、こういうこともあろうかと何人か攫っておきました、これらを下さるのなら、私としてもやりがいがありますし、大喜びです」
あれほどリムリアの為と言いながら、勝てば官軍、何をやってもいいと考えるのが彼らであった。
「俺様に従え、俺様に従ったのだ、自由にするといい、それだけではあるまい、金も貰うといい」
「実にありがたい」
「そーれ、金だ、金をくれてやる、金はいくら欲しい、大量に欲しかろう、欲しければくれてやる、それほどの勝利だったのだ、喜ぶのだ」
「実にめでたい、ありがとうございます」
「敵の負けた捕虜は交渉用として残しておき、いらないものは奴隷として売り払うがいい、そして、金を作るのだ、金を作った後は自由が思うがままにするといい」
「やりましたね、ミケ様は我々が神とも言えるお方、まさしく天使の如き、いえ、戦の神とも言うべきお方」
「やるではないか、俺様を喜ばせるとは」
「まさしく、我々の喜びどころを知っていらっしゃる、我々としてもこれまでにないやる気をあげて頑張らせていただきましょう、ミケ様万歳」
だが、ミケ将軍がこの時強大になっていくのを黙って見ているほどリムリアの地は穏やかではなかった。




