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GREAT HISTORY〜大史伝〜  作者: アイラル
第二部 ミケ将軍到来編

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第三十話 戯れ

 おいらは犬を調教して虎や猫と戦わせることにしたんだ、これで頑張れるはずだったんだけど、犬は怯えてどこかへと逃げてしまったんだ、


 そう、おいらは間違えてしまったんだ、餌代だってあったのに、気を付けないと無駄になってしまう。


 そうこうしているうちに猫がやってきてしまったんだ、凶暴な猫なんだ、この猫がおいら達を襲ったんだ。


「うわー、猫だ、猫が襲ってきたぞ、シャヒン、どうする」

「どうするもこうするもあるか、魔法だろ魔法、ベヤズカプランの連中に負けてたまるかってんだ」

「くらえ、ズールゥ」


 すると、おいらの魔法の杖から水が出てきて、猫を攻撃しなかったんだ、猫が水状になってより強化されてしまったんだ、ゲル猫へと変化して強くなってしまったんだ、どうすればいいんだ、おいらは。


 そこに現れたのは一人の青い布を被った青年だった、青年は気怠そうにしながらも攻撃を加えるのだった。


「あ〜、食らえ、無流奥義第一の型 五月雨」


 すると、五閃に別れた剣撃が敵を襲ったんだ、そして、猫は倒されたんだ。


「ありがとう、トルガイ先輩、いつ見てもかっこいいな」


 おいらの言葉にトルガイは妙に照れ臭そうにするとシャヒンは悔しそうにしたんだ。


「やっぱ助けてもらうならアンカだろ、あんたベヤズカプランなのにいいのか」

「あ〜、構わねえよ、誰も気にしてないしな」


 そういうとトルガイはきびすを返してその場を去るのだった。


「あ〜、じゃあな間抜け共」


 そうして、おいらは嬉しそうにしたんだ、おいらはだよ、シャヒンは悔しがって終わったんだ。


 一方、その頃、リムリアの地の中にあるバツネにて反逆したのは、元は大将軍候補のミケ・フリードル将軍だった。


 これに対して当然怒りを募らせていたのはリムリアの支配者であるスタン・ハリア国王だった。


 スタン国王は軍勢を連れてミケ将軍を討伐しに向かうのだった、人々はこれをリムリア戦争と呼んだ。


「どうして逆らうんだろうなぁ、どうしてあのお間抜けはこの私に逆らうんだろうなぁ、利益などないはずなのに、不思議でしょうがないなぁ、だが、問題はないなぁ」


 このようなこともあろうかとスタンは文書を作っておいたのだ、サバス・ブルク文書官にこれを作らせた。


 これがあれば黄金同盟の全員が納得して彼が軍勢を動かすとしても不安に駆られることはあるまい。


 また、これを機に反逆者を一網打尽にし、国内の安定化に努めさせてもらおうと考えていた。


 ちなみに、黄金同盟とはいくつかの国による不可侵同盟である。そのいくつかの国とは


 サイカルネ

 シール

 ガプペ連合

 キマイラ

 バンガーロ

 リムリア

 エフハラド

 グロペカニムアニムル

 プテ

 バラムーユンタニア


 の十国である。


 スタン国王による討伐するための文書は完成していたのだ。


 その御内容によれば、一点目としては未だミケ将軍は大将軍候補であり、将軍の立場にしかない。


 そう、ミケ将軍はただの将軍の立場でありながら大将軍の地位の獲得を目指しており、これが横暴だという。


 そして、第二点目は危険人物との会合が度々確認されたということだった。


 テロリストなどの危険人物を集めて会議を共に行うなどの行為が見られるなどして貴族の責務として治安の維持を放棄している、大人しく従わないようなら首を刎ねるべきだ。


 そう、ミケ将軍が従ってないことには他の貴族も困っているのだ。


 仮にミケ将軍の下へと逃げ出されたのではテロリストといえども保護されて大手を振って助かってしまうのだ。


 そして、ミケ将軍からしてみれば言い逃れしようのない、この二点が問題といえよう。


 そして、こういった文書が完成している以上はスタン国王は気兼ねなく討伐へと向かうのだった。


 何よりも外交上、黄金同盟がある限り他の都市から攻められることはない。


 そのまま内政にだけ関与していればいいという状況の中で、国内の治安にだけ気を配ればいいはずのスタン国王にとって、ミケ将軍は不愉快だった。


 ミケ将軍の行為は国家の秩序を揺るがす十分に不愉快なことだったのだ。


 だが、一方のミケ将軍はこれに対して反逆するに十分な用意をしていた。


「俺様は十分にこんなこともあろうかと軍隊を鍛えておいた、それに俺様には数がいる」


 例え、スタン国王などという愚物がミケ将軍を成敗しに現れたとしても、何の問題もない、この手で倒してくれよう、そう意気込んでいた。


 黄金同盟が動かないだと馬鹿め、黄金同盟とて今だけ仲がいいだけだ、各国の治安が悪化するにつれて野望を持ったものはさっさと我々と手を組もうとするものもいる。


 国家は前進しているのだ、そう考えているのがミケ将軍だった。


 このように気を新たにすると、危険人物と言われたテロリストたちと密会をするのだった。


「俺様に従え、俺様に従っている間は保護をしてやろう、その代わり命を賭けて働くのだ、いいな諸君」

「お分かりになりました、喜んで従いましょう」

「それでいいのだ、俺様に従っている間は身の安全や食事に困ることはない、食べたいものがあれば言えば良い、案ずるな全てうまくいく、この俺様がいる限り」


 このようにテロリスト達を完全に手中に収めており、バツネの治安対策もバッチリ出来ていた。


 バツネの地を任せられているアーデルヘルム・クエンツ地方官はこの点ミケ将軍に遥かに劣っていた。


 ミケ将軍がいなければ反逆者やテロリストを十分に従わせることができていなかったのだ。


「今日もこの私めに従うテロリストはいるだろうかな」

「いいえ、いません、残念なことです」

「当たり前か、さて、どうしたものか、テロリストを何とかしなければバツネの地はやがてはミケ将軍のもの同然になってしまうな、ただでさえ彼を止められていないのにな」


 他の地域でもまた同じである、テロリスト達の数は数多く、ミケ将軍のお仲間は数が多かった。


 このように戦うには十分だった、ミケ将軍の評価は高かった、当時の名士たちの一人の発言である。


「この街を歩くのにどうして、ミケ将軍の通行手形をもらおうとしないんでしょうか、もらった方が間違いなく助かるし、貰わなければ何をされてもおかしくありません」


 このようなくだらない戯言が世の中に飛び交う始末であった。


 だが、それだけに警戒は十分に強まっていた、反対にスタン国王と仲良くすべきだ、そして、治安を良くしていくべきだという名士もまたいたのである。


「ミケ将軍に従うよりも、スタン国王に従って国の治安を良くすべきだ」


 このような言葉が飛び交ったりもしていたのだ。


 また、一方でガプペ連合が今のうちにミケと仲良くする前にリムリアは一度黄金同盟内でもより関係を深めた方が良いという話も出ていたのである。


 これから先、テロリストによる治安操作により、御不安に駆られたガプペ連合がミケ将軍と手を結んだ場合とんでもないことになることは火を見るよりも明らかだったからだ。


 ガプペ連合の一地域を任せられているヤタラスの大臣であるゲイブ・ジェンキンズ大臣はこう語る。


「私たちガプペ連合としてもミケ将軍の提案は魅力的でございます、それにしても、どうして、スタン国王殿はもう一刻も早く大将軍にミケを任じないのかが不思議でございません」


 そう、次からはミケ将軍との連携を考えてもいいかもしれない、そうすれば、安全、そう、安全こそは全てだった。


 安全であればガプペ連合は得した上に助かる。


 どうせなら利益のある方に付きたかったのである。


 少しでもテロリストから襲われる危険を減らしたい、それは普通のことであった。


 当たり前のことなのに、どうして、スタン国王はテロリスト対策にもっと力を入れないのだろうか、不思議でならなかった。


 ガプペ連合もこの様子では困ってしまっていたのだった。


 だが、これに対して、スタン国王はけして、満足させる意見を押し出せる立場になどなかったのである。


 テロリストが現れようとも、この自らの手では抑えようがなかったのだ、助けようもなかったりすることもある。


 このような状況の中、スタン国王は自分が任命した新貴族の一人である宰相ウィルモット・ラーべと話し合うのだった。


「ガプペ連合たちめ、まさか、この私を見捨ててミケ将軍と手を組む気ではないだろうかなぁ、などといったことが起こるはずがないでしょうなぁ」

「そのようなことはまさかですとも」

「テロリスト対策など、俺が任命した地方官、新貴族たちは何をやっているのでしょうなぁ」

「それが領土の保全で精一杯のようです」

「一人残らず全員戦って倒してしまえばいいのになぁ、誰か、ミケ将軍を止めるものはいないのだろうかなぁ」


 間違いなく、ミケ将軍などと手を組もうなどという愚かな意見がガプペ連合が蔓延する可能性は万が一にもあり得ないはずだった、スタン国王は焦っていた。


 そう、このスタン国王がいる限り、問題ない、そうなって欲しかったのだ。


「我々ではミケ将軍の実力には遠く及びません、我々ではミケにもテロリストにも勝てません」

「なぜ勝てんのだ」

「申し訳ございません」

「気品あふれる俺の軍隊の力はどこへ行ったのでしょうなぁ、本当に困りますなぁ」

「申し訳ございません、軍隊たちは皆テロリストを恐れています、ミケ将軍の力もです」

「何がミケの力ですかなぁ」

「ミケ将軍の傘下に入ったテロリストは手厚く歓迎されて、その軍勢からも保護されてしまいます、どうしてもこのような壁を打ち破ることができないのです」

「わからん、なぜですかなぁ、なぜ、俺の意見にイエスと答えられないのですかなぁ、あなた方はイエスマンであるべきですなぁ、イエスマンでないのなら消えるべきだなぁ」


 どうして、スタン国王ともあろうものがミケ将軍などに恐れて、大将軍の位をやらねばならないのでしょうか、不思議でならなかったのはスタン国王だった。


「申し訳ございません、我々はイエスマンでいたいのですが、スタン国王の意見に従おうにも嘘をついたことになってしまうと思いまして」

「それではお前らは何のためにいるのですなぁ」

「分かりました、そこまでいうのならばです、この配下としてイエスマンになれるように全力で尽くそうと思いますです」

「それで良い、俺が白いカラスを見たといったら白いカラスを作る、こうでなくてはならない」

「早速、白いカラスを作らせましょう」

「さもなくてはあなた方がいる意味がない、さっさとミケを倒して来るのです、いいな」

「ですが、それにはミケ将軍を超える必要がありますで、軍隊をお与えになっても私では勝てるとは思えないですが、私もできる限りのことをしてみましょう」


 こうして、ミケ将軍を倒すために一人の勇者を選んで向かわせたところ、見事にその前にテロリストたちによって足止めされて倒されてしまう始末だった。


 けして、ミケ将軍は認められていたわけではないが、遥かに強大な力を持つことは明らかだった。


 だが、敵はリムリアを支配する主君であるスタン国王である、ああ、どうなるミケ将軍。


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