表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GREAT HISTORY〜大史伝〜  作者: アイラル
第四部 ミケ将軍バラムーユンタニア決戦編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

200/204

第百九十二話 鬼の宣告

――「鬼」を背負う覚悟、あるいは魂を供物とした戴冠式。

執務室を震わせる「万歳」の三唱。それは勝利を祝う歓喜の声ではなく、生殺与奪の権を握る絶対者への、生存本能が絞り出した悲鳴にも似た合唱でしたにゃ。一糸乱れぬ敬礼、膝を折る兵士たち。そこにあるのは軍隊という組織ではなく、ミケという「鬼」を頂点とした異形の宗教共同体そのものですにゃ。

「鬼である以上――鬼を背負わねばならぬ」

その宣言は、自らが血塗られた修羅の道を歩むことへの肯定であり、同時に付き従う者たちへ「貴様らも人間であることを捨てろ」と命じる呪いの儀式。ミケ天常大将軍が浮かべた笑みは、もはや現世の幸福を求むる者のそれではなく、地獄の業火を背景に立つ守護鬼の如き威圧感を放っていますにゃ。

レイ将軍をはじめとする者たちが魂を売り渡し、理性を放棄してまで縋り付くその背中。彼らは今、自分たちが「最強の鬼」の一部になったという錯覚に酔いしれ、同時に、その重みに押し潰される運命をも受け入れてしまったのですにゃ……。

 その瞬間、

 ミケ天常大将軍の言葉が空気を裂いた。


 まるで雷鳴の直後に走る衝撃のごとく、

 執務室にいた全兵士の身体が、反射的に震えた。


 そして次の瞬間――


「ははっ!!」


 全員が、

 軍人としての礼でも、忠誠の応答でもなく、


 “恐怖と崇拝が混ざり合った異様な敬礼”


 を、完璧な統一で叩き込んだ。


 それはもう、

 “人間が揃えた動き”というより、

 “儀式として刻まれた動き”だった。


 そして、どこからともなく沸き上がる。


「ミケ将軍万歳ッ!!

 万歳ッ!!

 万々歳ッ!!!」


 その叫びは、

 祝福であり、歓喜であり、

 同時に“絶対服従の呪詛”でもあった。


 兵士たちは理解していたのだ。

 この場で万歳を叫ばぬ者は、

 そのまま“消えていく運命”になることを。


 だから、彼らは叫ぶ。

 声が枯れるまで。

 魂が擦り切れるまで。


 ミケはその狂熱を、

 広い胸で吸い込むように眺めていた。


 そして――静かに、しかし地響きのように重く語る。


「お前たち、胸に刻め」


 一言一言が、

 兵士たちの背骨を釘で打ちつけるかのように響いた。


「鬼の人生に、楽はある。

 幸せもある。

 だが……」


 兵士たちの喉が固まる。

 世界の空気ごと、ミケの掌に握られているようだった。


「鬼である以上――

 鬼を背負わねばならぬ」


 その宣言は、

 魂を凍らせるほど冷酷でありながら、

 どこか“英雄譚の名台詞”のように美しく響いた。


 まるで、

 血塗れの人生を歩むことそのものが“誉れ”であるとでも言うように。


 レイ将軍が、

 まるで神託でも聞いたかのような表情で膝をつく。


「ははぁっ……!

 全くもって!

 おっしゃる通りにございます……!!」


 その言葉に合わせるように、

 周囲の兵士たちも次々と膝を折り、頭を垂れる。


 群れとしての忠誠ではない。

 理性の放棄でもない。


 それは――

 鬼に魂を売り渡した者たちの、完全なる服従の姿だった。


 天常大将軍は、

 その景色を、自らが築く支配の象徴として静かに受け止める。


 彼の唇に浮かんだのは、

 勝者の笑みではない。


 神と鬼の境界に立つ者の、

 背負った宿命そのものを誇示する笑みだった。


 そして、その笑みとともに――


 ミケは“鬼の宣言”をこの地に刻みつけたのである。

はい、というわけでお届けしました第百九十二話、「鬼の宣告、あるいは絶対服従の儀」!

皆さん、今回のミケさん……。

「脳が震えるほど『カリスマ的悪役』だにゃぁぁあああ! 自らを鬼と称し、そのカルマを背負うと言い切るその姿……狂信的なまでの自己肯定が混ざり合った、とんでもない怪物に進化したにゃ!!」(笑)

逃げ場のない絶望的な状況下で、敵対する者が放つ圧倒的な「存在の格」に気圧されるあの瞬間。兵士たちが「万歳」を叫ばざるを得ないのは、そうしなければ自分たちの「個」がミケさんの覇気に消し飛ばされてしまうからなんだにゃ……。

「ミケ将軍……いや、天常大将軍! その『鬼の背中』についていく部下たちは、果たして人間として死ぬことができるのかにゃ!? 破滅の香りがプンプンするにゃ!!」(笑)

次回、「鋼の沈黙、あるいはますます絶望する奴隷。」

この狂熱が軍全体を侵食する中、人間である奴隷はますます絶望していくのだった、倍の労役に苦しむ姿が描かれます。


お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ