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GREAT HISTORY〜大史伝〜  作者: アイラル
第三部 ミケ将軍タズドット侵略編

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第百二十話 勝ち方は?

――盤上の勝利は、もはや前提に過ぎません。


 次に問われるのは、その勝利をいかに「効率的」に、そして「芸術的」に収穫するか。


 一方は、金貨の音を愛し、一石の穀物を命の恩人と崇める「実利」の徒。


 一方は、戦場を数式のように捉え、ネズミ一匹の逃亡も許さない「完璧」の徒。


 勝利を前にしてなお、互いの信念を譲らない副将軍たちの熱い火花。


 それはミケ軍がもはや「勝つための軍隊」から、「支配するための怪物」へと進化した証でもあります。


 熱い筋肉の納得と、冷めた知略の合意が交差する中、主導権を巡る静かなる戦いが幕を開ける。


 さあ、ご覧ください。


 最強の布陣が奏でる、欲張りで、贅沢で、あまりにも残酷な「勝利の余興」を。

 レイ将軍とジギフリット、そしてレナードの勝利の笑い声が響き渡る中、ビテン副将軍は、その会話の焦点が戦いの勝敗から戦後の実利へと移るのを見計らい、機敏に話に参加するのだった。


 ビテン副将軍は、その痩身を僅かに前のめりにし、鋭い眼光をネスサロス城の方向に固定したまま、熱意をもって主張した。


 彼の熱意は、武功のためではなく、資源確保という行政的な使命感から来ていた。


「敵はあまりにも油断している様子、これ以上の時間の浪費は、資源の流出を招くでしょう、ここはこの私に突撃させてください、必ずや勝ちましょう、リムリアの為に」


 ビテンの突撃は、ジギフリットの武力による突破とは意味が全く異なる。


 彼がしていたのは、資源流出への警戒だった、彼は、タズドットの地方官たちが降伏する際、城内の金銭や備蓄を持ち逃げしたり、破壊したりする可能性を最も警戒していた。


 ミケ軍の遠征にとって、敵地で得られる資源は生命線である。


 彼の突撃とは、最も迅速に城内の倉庫、行政施設、そして財宝の保管場所を確保し、管理下に置くことを意味していた。


 彼は、戦闘ではなく、占領後の行政・財務の迅速な立ち上げを急いでいたのだ。


(この油断しきった間に、 愚かな地方官どもが貴重な物資を持ち出すかもしれない!レイ将軍の勝利は、このビテンが資源を確保して初めて完成するのだ。武人たちの血よりも、一石の穀物、一枚の金貨の価値の方が、国庫にとっては重いのだ!リムリアの為にも主張しなくては)


 ビテン副将軍の言葉は重かった、彼は実利を何よりも重んじた発言をするのだった。


 ジギフリット副将軍はその横でつまり、戦いは勝てるから、確実に資源などを確保するスピードを優先するってことだなと理解した。


「なるほど、なるほど、大切だよな資源は」

「当たり前だな」


 レナード大隊長は横でジギフリット副将軍と共に頷くのだった。


 次に、リーヴェス副将軍が、落ち着いた、しかし確かな自信に満ちた口調で、ビテンとは全く異なる観点から攻略の主導権を求めた。


「ここは我輩に任せてくれないか、勝ってみせる」


 彼の言葉は、無感情でありながら、緻密な計算が背後にあることを感じさせた。彼は勝利という結果だけでなく、いかに勝利するかという戦術的な美しさを追求していた。


 リーヴェスの主導権要求の背景には、レイ将軍の戦略を戦術的に完成させるという使命感があった。


 彼の戦術は封鎖戦術である、彼は、前回の無秩序な逃亡による資源の損失と捕虜の取りこぼしを懸念していた。


 彼に任せれば、部隊を緻密に配置し、城の四方を完全に封鎖することで、タズドットの指導層や重要な捕虜を一兵たりとも逃さず、城内の全てをミケ軍の管理下に置くことができる。


 また、必勝の論理である、勝ってみせるという言葉には、レイ将軍の策に微細な隙を作ることもなく、完璧に勝利を遂行するという戦術家としての自負が込められていた。


(ビテンの言う実利も重要だが、敵の指揮系統を完全に捕獲し、情報を引き出すことこそ、今後の侵攻において最も重要だ、無秩序な逃亡を許してはならない、このリーヴェスが、最も効率的かつ完璧な戦術で、将軍の戦略を完成させるのだ!)


 リーヴァス副将軍は戦術を重んじた、戦いはやってみるまでわからないもの、実際に確実に勝てる芸術的とも言えるやり方で勝つことが大切だと考えていたのだった。


 ジギフリット副将軍は確実に勝てるかなんてやってみないとわからない、実際には勝てる動きをした方がいいのかもしれないなと納得するのだった。


「勝てるかなんて誰にもわからないから確実に勝とうってことだな」

「これも納得だな」


 ジギフリット副将軍とレナード大隊長はお互いに納得し合うのだった。


 こうして、ビテンの行政的突撃と、リーヴェスの戦術的封鎖という、ミケ軍の実利と知性を代表する二人の副将軍が、ネスサロス城攻略の主導権を巡り、レイ将軍の前で静かに火花を散らすのだった。

はい、というわけで!


皆さん、今回の副将軍お二人……どっちも正論すぎて、ジギフリット君じゃなくても「納得!」って言いたくなっちゃいますよね!


まずは実利派のビテンさん!


「突撃させてください」なんて勇ましいことを言いつつ、頭の中は金貨の勘定と倉庫の在庫リストでいっぱい。


「武人の血より金貨が重い」なんて、これまたエグいことを言いますが、遠征軍を支える裏方としてはこれ以上ないほど誠実な意見なんです。ジギフリット君やレナード君が「資源は大事」と頷くのも無理はありません。


対するリーヴェスさんは、まさに戦場の芸術家!


「勝てるかなんてやってみないとわからない」という慎重さを持ちつつ、一兵たりとも逃さない完璧な包囲網を作ろうとするその執念。

単に勝つだけじゃなく、敵を「完全に管理下に置く」ことを目指す。この潔癖なまでの戦術眼……これまたしびれますね!


「実利」のビテンか、「完璧」のリーヴェスか。

二人の優秀な部下から熱烈な「俺にやらせろ」攻撃を受けたレイ将軍。


この二つの才能をどう御して、ネスサロス城という「獲物」を料理するのか……。


それでは、続きまして次話。


「将軍の裁定、あるいは一つに束ねられた意志」へ、物語を進めましょうか!

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