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GREAT HISTORY〜大史伝〜  作者: アイラル
第三部 ミケ将軍タズドット侵略編

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第百五話 静かなる侵略者

――空白は、埋められるためにあるのです。


 愚かな若者が「生」を乞い、その代償として「死」を賜った時。


 その血の跡は、次なる捕食者を招き入れるための、極上の撒き餌となりました。


 守るべき者がいなくなった門は、もはや門ではありません。


 それは単なる、他国へと続く「入り口」に過ぎないのです。


 執務室の静寂の中、男は地図を見下ろして笑います。


 国境という名の線を、指先一つで踏み越える瞬間が来たのだと。


 さあ、始めましょう。


 彼らはそれを「侵略」とは呼びません。


 これは、主を失って迷走する哀れな土地に対する、慈悲深き「管理」と「秩序」の始まりなのですから。

 タズドットのセシェス戦線から、グルナル・ノイマン副将軍が戦線を完全に放棄し、その責を問われ処刑されたという、決定的な報せが、ミケ軍総司令官のミケ将軍のもとにもたらされた。


 この報告は、タズドットの指揮系統が崩壊し、防衛線が完全に消滅したことを意味していた。


 ミケ将軍は、執務室の窓から広大な領土を見下ろし、その報告書を読み終えた後、冷徹な自信に満ちた笑みを浮かべた。


 彼の心には、長年にわたり計画してきた野望が、実現の瞬間を迎えたことへの高揚感が湧き上がっていた。


 ミケ将軍は遂にこの時が来たと宣言するのだった。


 彼の声は、静寂に満ちた執務室の中に、歴史の転換点を告げるかのように響き渡った。


 この「時」は、武力による勝利だけでなく、敵国の政治的、精神的な崩壊という、完璧な条件が揃った瞬間だった。


 ミケ将軍は、タズドット侵攻を、単なる領土の拡大ではなく、リムリア帝国の永遠の覇権を確立するための戦略的な不可欠な一歩と位置づけていた。


(ついにセシェスばかりではなく、タズドットを支配する時が来たのだ。 グルナルという愚か者が「誇り」と「保身」の狭間で崩壊したことで、我々の侵攻は「無慈悲な侵略」ではなく、「秩序の回復」という名目を手に入れた。)


 彼は、タズドットの豊かな資源、特に食料と労働力を必要としていた。


 セシェスは、あくまで緩衝地帯に過ぎない。


 タズドット本国を支配下に置くことこそが、黄金同盟との長期的な対立を乗り切るための確固たる足場となるのだ。


 彼は、地図上のタズドットの国境線と、それを区切る河川を指先でなぞった。その指先には、冷酷な支配欲が宿っていた。


 ミケ将軍は、この歴史的な好機を一瞬たりとも逃すまいと決意した。


 彼は、知略と実行力において最も信頼を置くレイ将軍(彼こそがこの状況を生み出した張本人である)に、即座に、そして最も冷徹な命令を下した。


 レイ将軍に早速命令して、領土の占領を命じるのだった。


 その命令は、二つの明確な指示を含んでいた。


 即時の渡河である、国境の河川を直ちに越え、タズドットの領土内へ橋頭堡を築くこと。


 完全なる占領、タズドット軍の残存抵抗を一切無視し、主要な行政拠点と資源地帯を迅速に占領し、制地権を確立すること。


 この命令をもって、ミケ軍の戦略は、「国境での防御と殲滅」という段階から、「敵国内部への侵略と支配」という、新たな、そしてより危険な段階へと移行したのである。


 ミケ将軍の冷徹な野心が、ついにタズドットの運命を決定づける決定的な一歩を踏み出した瞬間だった。

はい、というわけで!


皆さん、今回のミケ将軍……完全に「魔王」の風格でしたね!


「秩序の回復」。


侵略戦争を仕掛ける側が、これほど美しく、そして恐ろしい大義名分を口にする瞬間。ゾクゾクしませんか?


グルナル君が勝手に自滅してくれたおかげで、「タズドットは統治能力を失った危険地帯だ。だから我々が管理してあげるんだよ」という理屈が成立してしまった。


彼の死は、国を守るどころか、敵に「正義」を与えてしまったわけです。なんという皮肉!


執務室で地図をなぞるミケ将軍の指先。


あれはもう、敵国を見る目ではありません。


「自分の新しい庭」をどうリフォームしようか考えている所有者の目です。


セシェスだけでなく、タズドットそのものを飲み込む。


その貪欲な野心が、冷徹な計算とセットになっているのが、この将軍の一番怖いところですね!


さあ、トップから「GOサイン」が出ました。

現場で待機しているあの「合理的すぎる部下たち」が、首輪を外された猟犬のように飛び出していきますよ!


それでは、続きまして次話。


「三匹の猟犬、あるいは征服者たちの会議」へ、物語を進めましょうか!

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