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12章 再接触  05

 なんかとんでもない言葉を耳にして軽いめまいを感じているうちに、どうやらカーミラへの精神魔法反射が解けたようだ。


 カーミラはハッとした顔で俺から離れ、「いったい何をしたのかしらぁ?」と口にした。言葉では余裕ありげにしているが、顔には焦りが浮かびまくっている。


「精神系魔法ってのは呪いに近いから、格上の相手に使うと自分に返ってくるんだよ。習わなかったのか?」


「それは知っているわよ。でもそうすると相羽先生はワタシより格上ってことになるのかしらぁ?」


「そういうことになるな。なあカーミラ、その『勇者教団』が言うところの『勇者』ってのは、いつの時代の奴のことを言っているんだ?」


 俺がそう質問すると、カーミラは切れ長の目を限界まで見開いて固まった。ああそうか、精神系魔法の一部はかかっている時の記憶は残らないんだった。


「すまないが魔法がかかっている間に色々話は聞かせてもらった。で、どうなんだ。いつの時代の勇者なんだ?」


「ちょっと……乙女の秘密を暴くのは許されないわよぉ!」


 いきなり鬼の形相になったカーミラは飛び上がり、空中で魔法陣を展開した。


 3つ、4つ、『機動』と合わせて5つの同時展開か。魔王軍四天王の副官レベルの実力者だな。リーララには是非とも見習ってほしい。


 カーミラは4属性の中級攻撃魔法を一気に発動、炎と氷と岩の槍、それと真空の刃が俺に殺到する。俺は『魔剣ディアブラ』を取りだして一振り、それだけですべての魔法を消滅させる。ついでにカーミラの『機動』魔法も強制キャンセル。キャンセルというよりカーミラの魔力を『ディアブラ』に吸わせただけだが。


 地面に落ちてくるカーミラを一応キャッチして優しく下ろしてやる。まだ聞きたいことがあるからな。


「あな……あなたいったい何者なのぉ!? それに今の剣はなんなの? 魔力を一気に吸いとるなんて、まるで勇者が使っていた魔剣みたいなんだけどぉ!?」


「お、よく知ってるな。これは『魔剣ディアブラ』、魔力を吸い取る最強クラスの魔剣だ。魔導師には相性最悪の武器だな」


 俺がディアブラを突きつけると、カーミラは「ヒッ!?」とか言って気絶しそうになる。おっとビビらせすぎたか。


「ああ悪い。それでさっきの質問だが……魔剣の話からするともしかしてカーミラ達の言う勇者ってのは、戦国時代の前にいた魔王と差し違えた勇者のことか?」


 『ディアブラ』を『空間魔法』に放り込みながら聞くと、カーミラはコクコクと頷いた。


「そう、自らの命と引き換えに魔王の魔力を地上から消した伝説の勇者のことよぉ」


「なんだ、その話残ってるのか。リーララめ勉強サボってたな。まあいいや、それで死んだはずの勇者を復活させるってのはどういうことだ?」


「教団の研究で、その勇者がこの世界から召喚されたっていうことが分かったのよ。だからその勇者の力を引き継いだ血縁を探してみるって話なのぉ」


「はあ~、アホなことを考えるもんだな。んで、なんでその教団の一員がクゼーロなんかと組んでるんだ?」


「クリムゾントワイライトは二つの世界を行き来できる技術を持っているからよぉ。ワタシたちはその力を借りる代わりに、少しだけ協力しているってわけなの」


「二つの世界を行き来できる……『次元環』を行き来できるっていうのか」


「よく知ってるわねぇ。その通りよ」


 いやいや、なんかまた色々一気に情報が増えてきたな。『深淵獣』やリーララの存在から『あっちの世界』と『こっちの世界』がつながってるというのは感じていたが、俺が思った以上に関わりがあったようだ。


 しかしカーミラの教団の話はどうするべきか。これほど扱いに困る案件もそうはない気がする。俺がその勇者です、と言ってもどうせ信じてはもらえないだろうしなあ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 勇者パーティーのメンバーが生きてそうで怖いな(笑)
[一言] 扱いに困る話かなぁ? 勇者の仲間が関係している団体だったら、勇者が生まれた世界に迷惑かけるような真似はしないだろうし、滅ぼす一択では? もう遠慮する様な相手はみんな寿命で亡くなっているだ…
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