11章 → 12章
―― とある高級車の後部座席
「ふむ、カーミラ、見たか?」
「ええクゼーロ、間違いなく相羽は魔法を使っていたわねぇ」
「そうだ。しかも見たところ古い魔法陣のようだった。一体何者だ? もしや古い魔法が一部こちらの世界に伝播しているのか?」
「その可能性もあるかしらねぇ。次元環自体は昔から開くことはあったみたいだし」
「そうすると奴は我々を追ってきた賞金稼ぎと言うわけでもない、か」
「そう思うわぁ。魔法を使ったから向こうの世界から来たかと思ったんだけど、どうも違う感じよねぇ。でも確かにかなり場数は踏んでそう」
「こちらの動きのいくつかを邪魔したのが奴なのは間違いなかろう。しかしやはり面白い学校だな。何人かこちらの気配に気づいた者がいたようだ」
「あの相羽が教えてたクラスにまとまってたみたいよねぇ。集めて相羽が面倒を見ている感じなのかしらぁ」
「そうかも知れんな。青奥寺の関係者もいたようだが、そこそこ使えそうな雰囲気はあった。まあこちらの邪魔になるほどではなかろうが」
「『雫』を扱う家はまだ手は出さないのかしらぁ?」
「『クリムゾントワイライト』としてはな。そこは権之内に任せておく。すでに『技術』を使える者は確保してあるのだから無理にこちらが表に出るまでもない」
「なるほどねぇ。しかしそっちはともかく、相羽がこれ以上邪魔するようなら放っておくわけにもいかないんじゃないのかしらぁ?」
「どこかで退場願わないといけなくはなるだろうな。問題は誰にやらせるか……カーミラ、お前がやるのはどうだ?」
「だからワタシは監視しかできないって言っているでしょぉ。そもそもそういう汚れはやらないのよ。あの3人に術をかけたのだってギリギリなんだから。それに相羽はワタシの趣味じゃないのよねぇ」
「ふん、面倒な女だ。だがどうするか……このオレが出てもいいのだが……そうだな、『廃棄物』でも使ってみるとするか。そろそろ溜まってきたからな、処分のしごろかもしれん」