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10章 → 11章

―― 特務機関『白狐』 本部休憩室


「いやぁ、初の実戦だったけどいきなり色々あって楽しかったね。かがりも強化フレーム上手く使いこなしてたじゃないか」


「アヤトは能天気でいいね。先生がいなかったら結構ヤバい状況だったと思うけどな」


「クリムゾントワイライトがあそこまで大部隊を送ってくるとは所長も想定外だったみたいだね。新型があれだけ量産できているというのはちょっと驚きではあるかな。最近は『雫』の流出はかなり抑えてると思ったんだけど」


「そうなんだよね。九神のお嬢が結構協力的になってきたから守りやすくなってるしね。どこから『雫』を手に入れているんだろう?」


「海外の支部から回してもらってるという可能性もあるけどどうだろう」


「CTの支部同士は仲が悪いって話じゃない? おかげで助かってるっていうところはあるけど」


「支部同士の確執か……。各地区の支部長とその直属は化物レベルだって話だけど本当なんだろうか」


「日本じゃまだ表に出てきてないからね~。でも今回大打撃与えちゃったから出てくるかも」


「そうなるとボクはもっと強くならないとね。やっぱり武器は必須かな。剣で戦うっていうのも悪くなかったし」


「先生のゲイボルグもらえないかな~。反動がほとんどないのに威力がグレネード並ってズルい銃なんだよね」


「ボクが借りた剣もすごかったよ。しかし本当におかしな人だね彼。空を飛んで、一瞬で50人以上を射殺? 魔法殺かな? その上宇宙船を3隻拿捕したんだろう?」


「先生は本当にデタラメだからね~。でもいい人はいい人だよね、今回も何も言わずに助けてくれたし」


「そうだね。でも彼の行動原理がどの辺にあるかは押さえておかないと怖いかもね。敵に回ったら終わりな気がする」


「そうなんだけど、そこまで深く考えてないっぽいんだよね。私の身体を狙ってるとかなら分かりやすいんだけどな~」


「かがりは面白いこと言うね。しかしそれだと逆に先生としては失格にならないかい?」


「正直もう失格っぽいことはやってるからいいの。あ~もう面倒だから3人で落とそうって提案してみるかな。多分美園も璃々緒も先生を欲しいと思ってるはずなんだよね~」


「それは女の子が言うことじゃないだろう、まったく……」 





―― ???


 とある無人島に、その建物はあった。


 建物といっても巧妙に隠蔽(いんぺい)され、外部からそれと察知されることはない。


 いかにも秘密基地といった趣のその建物の一室に、一人の男がいた。


 長身巨躯、錆色の癖のある毛を無理矢理後ろになでつけ、目鼻がくどいほどにくっきりとしている魁偉(かいい)な男であった。


 その男はいま露骨な不機嫌さを顔に張りつけ、足を組んで椅子に座っていた。


 彼の前にある机にはノート型のPCがあり、その画面には部下らしき人間の顔が移っている。


「宇宙船が消えただと? あれほど巨大な物体が一晩できれいさっぱりなくなったとでもいうのか」


『はい、我々も驚くばかりで……。周囲の海底を調べたところ、確かに巨大な物体が横たわっていた跡は残っているのですが、宇宙船そのものは残骸一つ見つかりません』


「監視はつけていたはずだろう。何が起きたのか記録は残ってはいないのか?」


『それが……、その映像をお送りしますので、ご覧になってください』


「ふむ、見せてもらおうか。……。……!? なんだこれは、私を騙すために合成でもしたのではないだろうな?」


『とんでもございません。正真正銘間違いなくこの通りの映像です。完全に未知の現象でして、我々もどう考えてよいか途方にくれております』


「なんなのだ一体……。いや、別の宇宙船が回収しに来たということか?」


『なるほど、確かに支部長のおっしゃる説がもっとも有力な気がいたします』


「ふむぅ……、仕方あるまい、再度周囲を調査して帰投せよ。いくつかのサンプルは得られたのだな?」


『はい。宇宙人の死骸や、『深淵獣』に取りつけられていた装置は得ております』


「うむ。しかし『深淵獣』を宇宙人が捕らえて使役していたというのは面白い話だ。必ず持ち帰れ」


『はっ。お任せください』


 その返事を聞くと男はPCを閉じた。


 そのまま部屋の隅に鋭い視線を投げかける。


 その視線の先には、彫像のように動かない人影がわだかまっていた。


「まったく、ここのところオレをイラつかせることばかり起こる。お前の報告もその一つだが」


「悪いわねぇ。ワタシの仕事は監視だけでいいってことになってるから手は出せないのよねぇ」


「お前から見て『白狐』の切り札はそれほど強力だったのか?」


「思ったより完成度は高いように見えたわぁ。複数のタイプ3を手玉に取ってたし。ワタシが直接相手をしてもいい勝負になるかも、なんてねぇ」


「アイツらにそんな技術があったというのが驚きだが、事実は事実か。こちらもさらに上のエージェントを造らねばなるまい。権之内(ごんのうち)のおかげで『雫』は最低限確保はできているが……『甲型』の『雫』は手に入れておきたかったな。宇宙船などという訳の分からないものまで来るのは想定外過ぎたわ」


「その件なんだけど、あの場には宇宙人らしき謎の軍勢も出現したのよねぇ。宇宙船そのものは見えなかったけどぉ。ただそれより問題なのは……」


「宇宙人すら皆殺しにする謎の男……。このところの作戦失敗の影にもそいつがいるのかも知れんな」


「正体は掴めてるって話じゃない?」


「権之内が言っていた学校の教師が怪しいという話だけだ。しかしあの学校に手を出すのはさすがに慎重にしなければならん」


「明蘭学園ねぇ……。面白そうな学校よねえ。そういえばアナタの表の顔で堂々と見に行けるんじゃないのぉ?」


「なに……? くくっ、なるほど確かにそうだ、面白いことを考えるな。ちょうどいい、お前も付き合え。噂の学園、一度は中を見てみたいだろう?」


「ふぅん……。面白そう、付き合うわぁ。その男も近くで見てみたいし。いい男だと気分が上がるんだけどねぇ」

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― 新着の感想 ―
うーん、幾つものグループがそれぞれの思惑でしっちゃかめっちゃか暴れてカオス的な面白さを作っていくというのもいいんですけどねー。 ただそれぞれの思惑とか絡み合いをキチンと書いてくれないと面白さが瓦解する…
[良い点] 序盤の面白さは凄い [気になる点] 詰め込みすぎて飽きてきた。 主人公に謙虚さがどんどんなくなったできたし、こじつけ多すぎて
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