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勇者先生 ~教え子が化物や宇宙人や謎の組織と戦っている件~  作者: 次佐 駆人


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10章 『白狐』の切り札  04

「やあ、貴方が相羽先生ですね。ボクはアヤト、よろしく頼みます」


 少年が俺のところに来て挨拶をした。少年と言ったが近くで見ると少年か少女か区別がつかない。それくらい中性的で、なおかつ整った顔の子だ。年齢は中等部くらいだろうか。


「初めまして、だよな? よろしく、この双党の担任で元勇者の相羽 (はしる)だ」


「あははっ、ホントに勇者って言うんですね。面白いなあ」


 うん、さっき見せた力といいちょっと変わった子のようだ。興味がないではないが、残念ながら今はそれどころはない。


「リーララ、下りてきてくれ」


「いいの?」


 言いながら背中に羽をはやした褐色魔法娘が下りてくる。


「えっ、この娘は初等部の、確か神崎さんですよね!? 先生いつの間に仲良くなってたんですか?」


 双党が驚いた顔をする。


 するとそれと同時に俺の隣に光が生じ、銀鎧――アームドスーツ姿の新良がラムダ転送とやらで現れた。


 2人の新たな登場人物に、双党はともかくアヤト少年は大きな目をいっそう丸くし、そしてさも楽しそうに笑い出した。


「ははっ、なんだかよく分からないけどメチャクチャだね。それでこの状況を一番よく分かってるのは相羽先生ということでいいんですか?」


「あ~、多分そうかもしれない」


「じゃあこの場は相羽先生に仕切ってもらっていいですか? ボクはそういうキャラじゃないので」


「オーケーそうしよう。まず現在の状況だが、まず海上からクリムゾントワイライトの小型船が6隻近づいてる。それぞれ3人ずつさっきのエージェントが乗ってるようだ。あと5分くらいでこの船に取りつくだろう。それから空からデカい宇宙船が3隻近づいてる。これもあと5分で上空に来るが、これは多分見えないので注意してくれ。船からは武装した宇宙人が50から100人くらいは下りてくるが、ほぼ軍隊だ。そいつらは多分『深淵獣』という化物も連れてくる。それは普通の攻撃は通用しないから注意だ」


「ボクが思った以上にメチャクチャだね。初めての実戦なのになあ」


「えぇ、なにそれ、この世界ってそんなデタラメなの?」


 アヤト少年は楽しそうだがリーララは呆れ顔だ。呆れ顔で済むのだから肝は座ってるが。


「さて作戦だが、まずは全員身を隠す。このまま行くとCTと宇宙人部隊がかち合ってやり合う可能性が高い。俺たちはその隙に漁夫の利を得る。分担としては上空の宇宙船は俺がやる。CTは双党とアヤト君で対処してくれ。新良はフィーマクードの兵士、リーララは『深淵獣』――モンスターの相手だ。ただどうせ乱戦になるからその辺は臨機応変に」


 そう言いながら『空間魔法』から『魔導銃タネガシマ』を双党に渡す。「あっ私のゲイボルグ」とか言ってるがお前のものじゃないし名前も違うからな。


「アヤト君は剣は使えるか?」


「一通りの武器は使えますよ」


「じゃあこれ。あとで返してくれよ」


 渡したのは細身の片手剣だ。名前があったかも覚えてない剣だが……一応『デュランダル』としとくか。魔力を帯びた聖剣なので『深淵獣』も斬れるだろう。


「ありがとうございます。へえ、持っただけで力が流れ込んでくる感じがしますね。すごい剣だ」


「あと全員に『アロープロテクト』の魔法をかけておく。飛び道具しか防がないから注意してくれ」


 俺が魔法をかけるとリーララが「うわぁ、また簡単にロストテクノロジー使うし」とかと言っている。


「双党、下の『白狐』の隊員は離れてもらったほうがいい。宇宙人相手だと分が悪過ぎる」


「分かりました、伝えます」


 さてこれであとは出たとこ勝負だ。最悪なのはフィーマクードが有無を言わさず艦砲射撃とかしてくることだが、彼らの目的が前回来た連中の敵討ちなら、まずはその仇を特定しようと調査部隊を派遣するだろう。気になるのは奴らがいきなりここを目指してくることだが……なにか別の目的があるのだろうか。考えることが多すぎるな。




 各種欺瞞(ぎまん)魔法を使いつつ艦橋の影に隠れていると、まずはCTの船が接舷し、エージェント18体が甲板に乗り込んできた。全員が黒い防弾服を着た格闘型だ。


 彼らが散開して何かを調べようと動き始めた時、上空に3隻の強襲揚陸艦が現れた。といっても光学迷彩でその艦影はまったく見えないのだが。


 その中の一隻から、前回と同じような兵士が30人、そして『ヘルシザース』と呼ばれたカマキリ型深淵獣が6体甲板に下りてくる。


 当然CTエージェントとフィーマクードの兵士たちは戦闘になる。敵中にいきなり降下してくるフィーマクードの連中は戦術もクソもない感じだが、地球人を舐めているということだろう。エージェントに向けて発砲する兵士ははじめ余裕たっぷりだったが、銃撃を受けても突っ込んでくるエージェントを見て急に慌てだした。


 何人かの兵士がエージェントの警棒をモロに食らって吹き飛んだあたりでジェットを吹かして兵士たちは飛び上がり、代わりに『ヘルシザース』がエージェントの前に立ちはだかる。


 どうなるかとちょっと興味がわいたが、驚くことにエージェントは慣れた動きで『ヘルシザース』と戦い始めた。こいつら『深淵獣』との戦闘経験があるのか?


 『気配感知』に新たな感。見上げると他の2隻からも兵士と『ヘルシザース』が降下してくる。かなりの数だ、合わせて軽く100は超える。こりゃちょっとマズいな。


「よし、今下りてくる奴らを間引きながら俺は宇宙船をやってくる。皆はもう少し様子を見て、行ける時に一気に叩いてくれ。タイミングは新良に任せる」


「分かりました、お気をつけて」


「なんかすごいことを当たり前のように言ってますね。どんな戦いをするのか見るのが楽しみだ」


 アヤト少年がそんなことを言うが、あまり面白くはないかもしれないなあ。


 俺は『機動』魔法を発動して一気に100メートル程上昇すると、『ライトアロー』……リーララの魔道具『アルアリア』の魔法……を『並列処理』で50発同時射出。降下中の兵士を同数だけ塵に変える。


 そのまま上空の強襲揚陸艦の一隻に取りつき『掘削』で穴をあけ、乗り込んで『大掃除』を始める。


 一隻は5分ほどで制圧完了した。外に出て制圧した船を『空間魔法』にしまう。これ他の二隻からしたら恐怖以外の何物でもないな。僚艦が一瞬で通信途絶してまるごと消えるとかデキの悪いホラーだろう。


 俺はそのまま次の船に移る。見ると船体下部が開いて砲塔のようなものが二基せりだしてきていた。さすがに艦砲射撃はマズいので『トライデントサラマンダ』を小出力で放って両方破壊する。


 とりあえずもう一隻の方の砲塔も破壊しないとヤバいので、俺は素早くそちらに飛んでいって同じく砲塔を破壊。そのまま『掘削』で乗り込んでの制圧作業だ。終えて外に出たところで、もう一隻が全力で離脱を始めているのに気づいた。いやまだ下に仲間がいると思うんだが、冷たい奴らだ。


 さすがに上空で大爆発をさせるわけにもいかないので、推進装置っぽい所を『トライデントサラマンダ』で破壊すると、その一隻はゆっくりと高度を下げながかなり遠距離で着水、そのまま海中に沈んでいった。


 あ~ちょっとこれ面倒なことになっちまったな。中の乗組員が全員あの世にいったころに回収しとこう。『空間魔法』は生きた人間は入らないからな。


 もう一隻の船を『空間魔法』にしまって、双党たちが戦ってるはずの輸送船に飛んで向かう。


 見ると戦いはほとんど終息していた。フィーマクードの兵士がほとんどいなくなっているのは死んだ端から新良がラムダ転送でどっかへ送っているからだろう。


 甲板に残っているのはCTのエージェント3体と『ヘルシザース』2体だけだ。


 それもアヤト少年がエージェントを華麗な剣さばきで斬り捨て、リーララと双党が『ヘルシザース』を一匹ずつ倒して終わりになる。う~ん、強武器持たせるとかなり強いねこの子たち。勇者パーティに入れてもよさそうなレベルだ。


 俺が甲板に下りると、アームドスーツのヘルメットだけをとった新良が近づいて来た。


「強襲揚陸艦はどうなりましたか?」


「2隻は『空間魔法』にしまったよ。一隻は逃げようとしたんで機関部を破壊したんだが、あっちの方に落ちて沈んだみたいだ」


「それは少し問題がありますね。船が地球人に発見されるのは避けたいのですが」


「あとでこっそり俺が回収しておく。ちょっと事情があってすぐは無理なんだ」


「分かりました、お任せします。しかしその、かがりは分かるのですが、それ以外の二人はどういう人たちなんでしょうか。一人は明蘭学園の初等部というのは知っているのですが……」


「そうだな。俺ももう一人は初めて見る顔なんだ。折角だから自己紹介でもするか?」


 そんな話をしていると、アヤト少年が反応した。


「自己紹介ですか? 皆秘密をもった者同士みたいですから、今日のところはこれで解散にしませんか。ボクについてはそのうちまた相羽先生にはお会いできると思いますので」


「そうか。まあそのほうがありがたいかもしれないな、それじゃこれで解散で。あ、武器は回収な」


「ああ~、私のゲイボルグが~」


「ありがとうございました。すばらしい剣でしたよ」


 双党とアヤト少年から武器を回収して『空間魔法』に放り込む。


「じゃあエージェントの後始末は頼むな。あ、それからこの船はなんなんだ? 『深淵の雫』でも隠してんのか?」


「まあそんなところです。最近大きいのがいくつも見つかったみたいで」


 双党の言葉には覚えがある。ついこの間『甲型深淵獣』を倒したばかりだし。


「なるほど、クリムゾントワイライトは随分と『雫』を欲しがるんだな。しかしそんな情報が簡単に流れるのはよろしくないな」


「そうですね~、そのあたり東風原(こちはら)所長は聞いてはいるみたいですけど」


「なるほど……なるほどな」


 その時俺の脳裏に浮かんだのは、九神の家で対面した、顔に傷のある中年紳士・権之内(ごんのうち)氏だ。大方彼か彼の手下がCTに情報を流しているんだろうな。


 もっとも九神世海(せかい)はそのことを知っているはずだし、俺のことをチラチラ見てたのはこうなることを知っていたからか。


「あ~もう、終わったんなら早く帰ろっ! もう寝る時間だし」


 リーララが文句を言い始めたので、とりあえず今日はここまでになった。俺とリーララは夜空へと飛び立ち、新良は光と共に消えた。双党とアヤト少年は後始末が大変だろうが、まあ明日は土曜日だからゆっくり休んでもらいたいものだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 闇組織の思惑があっさり一網打尽にされてて草 まあチーム勇者と違って繋がりないから情が沸いても無いね?
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