7章 → 8章
―― 特務機関『白狐』 本部所長室
その部屋で、眼鏡をかけた男が、少年と思しき人物と話をしている。
「東風原所長、拠点を一つ潰されたんだって?」
「ああ、してやられたよ。恐らく彼女の後をつけられていたのだろうな。スポンサー狙いが陽動だとは、日本支部の長はなかなか大胆な奴のようだ」
「だからボクを連れていけばいいと言ったのに。もう調整はほぼ終わってるんだし、エージェントの新型くらい相手にならないよ」
「まあそう言うな。確かにそれは私の落ち度だった。あの新型が実戦可能レベルとは思ってなかったのだが甘かったよ」
「よく生きて帰ってこられたね。その『先生』とか言う人、そこまで強かったの?」
「彼は正直……私たちの想像を絶する人物かもしれん。救いなのは敵対していないことと、双党とは仲がいいというところか」
「ふぅん……。ちょっと興味あるね。ボクより強いのかな?」
「分からん。しかし空を飛べて、怪我を回復でき、爆弾を別の空間に放り込める……と言ってて頭がおかしくなりそうだな。研究させてもらえるとありがたいのだが」
「近くで見てみたい気もするけど、しばらくはクリムゾントワイライトの動きに対応しないといけないから無理か。でもその『聖女』も護衛対象になりそうなんだよね?」
「そうだな。そこまで優先的な攻撃対象にはならんと思うが、今回関わってしまったからな」
「じゃあボクが『転校』するっていうのもアリかな。あそこの校長先生とは話はついてるんだよね?」
「それも可能だが、学校にはすでに双党もいる。どちらにしろそれは少し後にしよう。まずは彼に渡してもらった新型を研究せねばな」