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7章 聖女さん  05

「何ごとだ!」


 一瞬で反応した東風原氏が廊下に出て叫ぶ。双党も素早く立ち上がり部屋を出ていった。武器でも取りに行ったのだろう。


「どうやら屋上から何かが侵入してきたようです。数は3体。結構強い奴ですね」


 後ろから声をかけると東風原氏は振り返って俺を睨んだ。


「なぜ分かるのかね?」


「勇者のスキルですよ。半径200メートルくらいの敵味方の場所とかを感知できるんです。それよりそいつらはこちらに向かってきてます。明らかに敵でしょう」


「むぅ……、まさか『クリムゾントワイライト』にここを知られたか?」


 そう言うと、東風原氏は廊下に出てきた『白狐』の機関員らしき者たちに指示を出し始めた。


 双党と同じような黒ずくめの戦闘服姿に銃を下げた人間が、廊下にバリケードを作り始める。いつの間にか双党もその中に加わっているが、全員で10人ほどいるようだ。


 椅子や机を積み上げたバリケードのこちら側で機関員が銃を構えて廊下の奥を睨む。


 その先には階段があり、そこから何者かが下りてくる足音が響いてくる。というかかなり重量級の足音だ。金属音が混じっているところからして鎧でも着た人間なのだろうか。


 そいつらが廊下の奥に姿を現した。黒いプロテクターで身を包んだ、身長2メートル程の人間だ。恐らく人造兵士(エージェント)だろう。この間の『加藤』と同タイプかもしれない。


「何者か!」


 東風原氏の誰何に、3人の黒い侵入者は何も答えない。無言のうちにこちらに向けてダッシュをしてきた。手には棒のようなものを持っている。格闘戦タイプということだろう。


「撃てっ!」


 号令一下、『白狐』の機関員がサブマシンガンを連射する。10丁の高速連射を受けて、3人はズタボロに……と言いたいところだが、どうやら黒いプロテクターはかなりの防弾性能を持っているらしく倒れるそぶりはない。それでも着弾の衝撃はかなりのもののはずだが、まったく意に介した様子もなくこちらに迫ってくる。


「何だこいつは! 新型なのか!? 森、木下、対物ライフルを!」


 さすがの東風原氏も眼鏡の奥の目を見開いている。指示に従って二人の機関員が走って行ったが……果たして間に合うだろうか。


 見る間に3人のCTエージェントはバリケードに取りつき、手にした棒で机や椅子を殴りつけて吹き飛ばしている。


 スチール製の机が一発でひしゃげているところを見ると、アレを人間がくらったら一発で昇天だろう。


 全弾打ち尽くしてしまったのか、双党がこちらに悲しそうな目を向けた。なんでそういう庇護欲を掻き立てる表情ができるかなあ、この小動物系女子は。


「先生~、助けてください~」


「税に関する標語で手を打とう」


「うぇえ~、分かりましたぁ!」


 これはラッキー、誰に頼むか悩んでたんだよな。


 俺は東風原氏に「下がらせてください」と言って、バリケードの破壊に夢中になっているCTエージェントの元に歩いていった。


 バリケードを飛び越えて、そいつらの後ろに立つ。


 3人は瞬時に振り返り、俺に向かって棒を振り上げる。反応速度は『加藤』より速そうだ。さらに上位の個体なのかもしれない。


 空間魔法から『魔剣ディアブラ』を出し、それらの棒をすべて斬り捨てる。返す刀を一閃させれば、首を失った3人は崩れ落ちて動かなくなった。


 一応『アナライズ』



--------------------

クリムゾントワイライトエージェント タイプ3 サブヴァリアント


人間に近い身体構造を持つ人造の生命体

意志はなく命令に従って行動する

上位個体で、極めて高い能力を有する

筋力に能力を振った派生モデル

自爆装置が内蔵され、個体が機能停止すると爆発する



特性

打撃耐性 


スキル

格闘 

--------------------



 おっとやってよかったアナライズ。


 俺は3人の死体を素早く空間魔法に放り込んだ。空間魔法内は時間が止まるからこれで爆発することはない。


「君は……本当に人間なのか?」


 そうつぶやく東風原氏の横で、『白狐』の機関員たちが呆然とした面持ちで俺を眺めている。


 一人双党のみがニコニコしていたが……周りの様子を見て急に真面目な顔になるのはよしなさいよ。シリアスっぽい場面なのに笑ってしまうでしょ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 後方腕組私の先生強いでしょ!生徒可愛くてズルいわw
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