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勇者先生 ~教え子が化物や宇宙人や謎の組織と戦っている件~  作者: 次佐 駆人


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43章 束の間の静けさと魔王の足音 11

「そうですか。いよいよその時が来たのですね」


 翌日、俺は校長室に行き、机の向こうに座る女優系美人・明智校長に『長期出張の申請』を申し出た。


 校長はこちらの事情は全て知っているので、特にあれこれ聞いてくることはない。


「日数はどれくらいかかるか分かりますか?」


「往復も入れて10日間は見てください。それで帰れなければ失敗したと思っていただければ」


「相羽先生の口から帰らないというお話が出たのは初めてですね」


 目を少しだけ見開いて、わずかな驚きを表情に出す校長。


「そうかもしれません。ただ、別に負けるかもしれないと思っているわけではありません。強いて言えば『魔王』に対しての配慮という感じです」


「配慮? 強敵だと認めている、ということでしょうか?」


「そうですね。一応は自分の宿敵ですから」


 そもそも、負けると分かっていて戦いに向かう人間なんていないものだ。


 客観的に100%負けると分かっていても、人間心のどこかでは勝てるかもしれないと期待しているのが本音だろう。


 少なくとも俺はそうだったし、そもそも負けるかもしれないなんて一瞬でも考えたことはない。勇者パーティの奴らは「それこそが勇者の資質だ」なんておだててきたが、あれは半分は冗談で、そして半分は本気で言っていた気がする。


「わかりました、もちろん出張ということで処理をいたします。それから青奥寺さんたちも連れて行くのですね?」


「はい。いつものメンバーは結局全員行くことになりました。それと……」


「山城先生からも話は聞いています。山城先生もちょうど『総合武術同好会』の副顧問ですから問題はありません」


「ありがとうございます。授業には穴をあけてしまいますが、自習の課題は用意してありますので」


「教頭や熊上先生始め、相羽先生の事情を知っている先生も何人かいますから大丈夫ですよ。それから、先生の出張には私も同行させてください」


 あまりにもあっさり言われたので、あやうく「わかりました」と即答するところだった。


 冗談なのかと一瞬だけ思ったが、明智校長は真面目な顔でこっちを見ているし、そもそも()()()()()だった。


「『ウロボロス』に乗って見ていてもらうだけになりますけど、それでもよろしいですか?」


「もちろんです。相羽先生の邪魔をするつもりはありません。行くこと自体が邪魔というなら諦めますが」


 う~ん、自分としては別にどちらでも構わないんだが、またルカラスがハーレムとか言ってくるのがなあ。まあさすがにそれを理由に断わるようなものでもないか。


「わかりました、別に問題はありません。今日中に行く先が決まるはずなので、明日の夜に出発することになると思います。『ウロボロス』に生活用品は揃ってまし、洗濯などもできますが、一応宿泊の用意だけはしておいてください」


 俺が了解すると、明智校長は微笑んで、「よろしくお願いします」と頭を下げた。


 それで話は終わりになるはずだったのだが、そこで校長室のドアがノックされた。


 入って来たのは白衣を着た、黒髪ロングヘア、片目を前髪で隠した美人マッドサイエンティスト風養護教員の関森先生だ。


 関森先生は校長と俺の顔を交互に見て、


「む、香津美先輩……ではなく明智校長、もしや例の話か?」


「ええそうよ。相羽先生から今聞いたところで、明日の夜から出るそうよ」


「期間は?」


「最長で10日はかかるとか」


「ならば私も必要だな。相羽先生、よろしく頼む」


「……はい?」


 いきなり関森先生に意味のわからないことを言われ、俺はつい首をかしげてしまった。


 明智校長が溜息をつきながら、


「関森先生、その言い方では伝わりませんよ」


 と注意をすると、関森先生は少しだけ考えるそぶりを見せてから「ああそうか」と口にした。


「つまり私も養護教員として、『魔王』討伐の旅に同行するという話だ。もし体調不良者が出たら私が必要になるだろう?」


「えぇ……? あ~、いや、多分大抵のことは魔法で治りますので……」


「女子特有のものでもか? 男では分からぬ体調不良が女子にはいくつもあるのだが。精神的なものも含めてな」


「は、はあ……」


 う~ん、多分その辺も『癒しの力』を持つ三留間さんと、『精神魔法』の達人カーミラ、それと銀河連邦の科学技術があればなんとかなってしまいそうだ。


 でも俺もそういった知識が十分にあるわけじゃないからなあ。10日間も女の子を連れ出すなら、確かに専門家は必要かもしれない。


 正直、関森先生も明智校長と同じく好奇心優先な気もするけど、まあそのあたり適当なのが勇者である。


「……ええと、わかりました。では関森先生、引率の補助をお願いいたします。ただ、『ウロボロス』内では生徒は自由にやらせますので、そこはお目こぼしください」


「風紀さえ乱れないのであれば私も明智校長もなにも言わんよ。それと、宇宙船内は個室があると聞いたが?」


「ええ、一人一部屋用意できます。バストイレ付きで」


「なら性欲の発散も問題ないな。10日間となるとそちらにも気を使わないといけないからな」


 関森先生の顔はあくまで真面目だったので冗談で言っているわけではないのだろう。もちろん長期の旅行において、そういうのが重要なのは俺もわかっている。


 ただそれを面と向かって言われると……まあ養護教員としては重要なことなのだろう。


 もっとも俺と明智校長は、顔を見合わせて互いの顔が引きつっているのを確認し合ってしまったが。

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