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勇者先生 ~教え子が化物や宇宙人や謎の組織と戦っている件~  作者: 次佐 駆人


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43章 束の間の静けさと魔王の足音 06

「先生、最近雰囲気が変わりましたね」


 数日後、昼休みに教室に行った時に、青奥寺にそんなことを言われてしまった。


「自覚はないが、どんな感じなんだ?」


「少しピリピリしているというか、普通より鋭い感じがします」


「それって他の生徒も言っているのか?」


「かがりや璃々緒、レアは気付いてますね。普通の子は多分気付いてないですけど、合気道部の早記(さき)には『なにかあったの?』って聞かれました」


『早記』というのは合気道部部長の主藤早記のことだが、彼女は『普通』の生徒である。青奥寺たちはともかく、彼女に気付かれるのは勇者的には少し情けない。


「そうか。まあ青奥寺たちは理由わかってるだろ?」


「ええまあ。だから先生でもそういうことがあるんだなってちょっと意外でした」


「そりゃ宿敵だからな。今までにない大きな話になるだろうし」


「そうですね。あまり力にはなれないかもしれませんが、私たちも協力しますから」


「力にならないなんてことはないさ。期待させてもらうよ」


 と真面目に答えると、青奥寺は眉を寄せて変な顔をした。


「ん? なにかマズいこと言ったか?」


「いえ。先生は真面目な顔をすると格好いいんだなと思いました」


「は?」


 青奥寺から聞こえるはずのない言葉が聞こえたような気がして、俺はつい聞き返してしまった。


 しかも当の青奥寺は、「だから先生が格好……あ、違います!」とか、いきなり顔を赤くしてあたふたし出すので、周りの生徒がチラチラとこちらを見るようになる。


 う~ん、もしかして無意識のうちに本音が出たということだろうか。いや、青奥寺に限ってそんなことはないと思うんだが、しかし場所が場所だけに、あまり慌てられると俺がなにかしたと疑われてしまう。


「あ~、まあ褒められるのは悪い気はしないが、逆に普段どう思われているのかも分かった気がするな」


「いえ、その、あの、別に普段も格好悪いとは思ってませんから……っ。さすがに先生にそんな失礼なことは思いません……ので」


 と、顔を赤くしたまま答える青奥寺。


 そこに双党がやってきて、俺と青奥寺のことを交互に見て首をかしげた。


「なにかあったんですか?」


「いや、最近俺の雰囲気が変わったって言われてな」


「あ~、それは鋭い子なら言ってますね。でもどっちかっていうと、最近の相羽先生がカッコ良くないかって話になってますけど」


「なんでだろうな。まあ例の件で俺自身ちょっとナーバスになってる自覚はあるが」


「それじゃないですか。やっぱりどこか影がある男性に魅力を感じる子もいますから。ちなみに私もですっ」


 そこで胸を張るのは意味がわからないが、双党のドヤ顔を見て青奥寺も落ち着いたようだ。


「ええと、ところで先生、先日の『ウロボちゃん』との一日は結局どうだったんですか?」


「ん? ああ、別に買い物して映画見て、その後は例の騒ぎがあってそれで終わりだ」


「そうですか。では、私は先生が落ち着いてからにします。今は強くなることが先なので」


 と、真剣な顔で言ってくるが、どうやら青奥寺も俺に『デート』なるものを頼む気のようだ。


 双党も「私もそうしますっ。変な邪魔が入っても困るので」と言っているのでその気のようだし、まったく変な話になってしまったものだ。


 ちなみに『ウロボちゃん』のデートは中途半端なところで終わってしまったので、『再挑戦をお願いしたいでっす。ダメでしょうか~?』とあざとい仕草で言われてしまっていたりする。


 結局断れなかったんだよなあ……と俺が思い出していると、青奥寺にいつもの鋭い視線が戻った。


「そういえば先生はまた世海の家に行ったそうですね。そういうのはよくあるんですか?」


 青奥寺と九神は幼馴染で互いに対抗心を燃やしているところがあるので、お互いのことが気になるようだ。


 というか九神が青奥寺にそういうのを普通にしゃべってるんだな、と微笑ましくなる。


「ああ、ちょっと前に九神のお兄さんの結婚式に出席したから、その関係で改めに夕食に呼ばれた感じかな」


「あ、それは師匠も言ってましたね。碧さんって年齢的には師匠と同い年のはずなんですけど……」


 青奥寺の言う「師匠」は現役女子大生の雨乃嬢のことだが、確かに碧さんは同い年という話だった。それを考えると確かに結婚するには早い気もする。


「彼女の場合は事情が相当に特別だからな。碧さんの家は、九神のお兄さんがさっさと入って仕切らないとマズい状況だったから、少し強引な形になってるのかもしれないな」


「そうなんですね。そうか、お兄さんは碧さんの家に婿に入ったんですね。そうすると、世海が家の跡を継ぐのは確定ですね」


「そうなるな。想像もできない世界だが」


 俺が肩をすくめると、なぜか青奥寺と、そして双党までもが半目になった。


「つまり、それで九神のお嬢の家に呼ばれたってことは、そういうことなんじゃないんですかっ?」


「そういうことってなんだ?」


「え~……、そこ聞いちゃいます? って言っても先生じゃしょうがないか~」


「先生がこんな様子ってことはまだ話はないんでしょ。でもそれなら、私の家でも先生をお呼びしていいでしょうか? 両親も話をしたいと言っているんです」


 青奥寺が、いつもにない積極性を発揮してそんなことを言ってくる。これも九神に対抗してのことだろうか。


 ただまあ、青奥寺を色々と連れまわすことになっている以上、俺もそろそろもう一度ご両親と話をする必要があるかなとは思っていた。


「そうだな、俺も最近の話はしておいてもいいと思っていたから、むしろ頼むわ。それにもし例の件で連れて行くとなると、さすがに両親の許可は必要だろうし」


「わかりました。近いうちに時間をお知らせします」


 ホッとしたような顔でうなずく青奥寺、それを見て双党が「あ、美園もいよいよ外堀埋めに来たか~」などと意味のわからないことを言って青奥寺に睨まれている。


 しかし『魔王』が動き出したとして、俺は当然その討伐には向かうが、それに青奥寺たちを関わらせるかどうかということに関してキチンと話をしていなかった。


 ただなんとなく「どうせ来るんだろうな」くらいにしか考えていなかったのだが、さすがに『魔王』との決戦となると、今までのダンジョン攻略みたいに気楽にはいかない。


 といっても、相談をしないといけないのは青奥寺の家くらいだろうか。さすがに今回は三留間さんと清音ちゃんを連れていく気はない。リーララも行く気はないだろう。


『魔王』に関してはそろそろ動きがありそうだし、青奥寺家の話が終わったあたりで一度確認を取っておくことにしよう。

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対魔王戦で何かあったら、責任を取るって事で
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