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勇者先生 ~教え子が化物や宇宙人や謎の組織と戦っている件~  作者: 次佐 駆人


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41章 惑星ドーントレスの危機 08

 メンタードレーダ議長から、総統府ビルの地下施設調査を依頼された俺。


 まずは同行者であるダイアルビー嬢の到着を待たねばならないが、通信を切ってからしばらくすると銀河連邦の救援艦隊が都市上空に降下してきた。


 20を超える宇宙戦艦が空中に並ぶ光景はなかなかに壮観である。新良によると、宇宙戦艦が惑星上に降下することは滅多にないらしく、銀河連邦加盟惑星でもそうは見られない景色らしい。


 救援艦隊は『ウロボロス』と情報を共有した後、直ちに被災地域の救助活動に入ったようだ。地上に次々と兵士や重機、汎用アンドロイドなどが転送され、要救助者の捜索を始めている。


 一方で俺たちは総統府のビルの前庭に転移で移動、ダイアルビー嬢の合流を待っていた。


 見上げるとビルもかなりの被害を受けていて、あちこちにヒビがはいったり穴が開いたりしている。倒壊するほどには見えないが、復旧には莫大な費用がかかりそうである。まあモンスターの被害なんて大概そんなもので、天災と思って諦めるしかないのだが。


 なんて考えていると、双党が脇腹をつついてきた。


「ねえねえ先生、その総統の娘さんってどんな人なんですかっ?」


「どうって、そうだな……、ちょっと九神に似てるかもな。金髪だし、少し高飛車な感じだし」


「あっ、先生九神お嬢のこと高飛車とか思ってるんですか?」


「最近はそうでもないけどな。最初なんて俺は認識すらされてなかったからな」


「あ~……。それは否定できませんねえ」


「そのお嬢様とは、特になにもないんですよね?」


 と横から入ってきたのは眼光鋭い青奥寺だ。


「前にも言ったけど、人質にしたせいで親に見捨てられたみたいな話になったからな。向こうは俺を恨んでる可能性はある」


「あれってそういう話だったんですか。でも先生の言う通りなら逆恨みな気もしますけど」


「俺から見るとそう言えなくもないけど微妙なところだな。どっちにしろ悪いのは彼女の父親であって彼女ではないし、俺としては多少申し訳ない気持ちもなくはない」


「だから協力するんですね」


「理由の3パーセントくらいはあるかもな。事務的なやりとりは俺がやるが、それ以外でなにかあれば彼女の相手をしてやってくれ」


「そこはかがりとレアが上手くやってくれると思います」


 まあ確かに、青奥寺と新良は接待に向いているタイプではないかもな……なんて思ってると、目の前に光の塊が6つ発生し、そして人の姿に変わった。お嬢様たちが転送されてきたのである。


 全部で6人だが、うち4人は護衛の兵士である。全員ウサギみたいな顔の宇宙人で、体形からして女性のようだ。全員が濃い青の戦闘服にヘルメットを被り、魔導銃を携帯している。


 残り二人は宇宙エルフのお嬢様とお付きのメイドだ。2人とも兵士と同じヘルメットと戦闘服姿で、メイドの方は魔導銃を手にしている。前も思ったが、彼女はお嬢様の護衛を兼ねた人物である。


 お嬢様は背中に下ろした長い三つ編みを揺らしながら、俺たちの方に歩いてきた。その緑の瞳は色々と感情が詰まっているように見えたが、さすがにそれは顔には出さず、俺の前で一礼した。


「本日はよろしくお願いしますわ、ミスターアイバ」


「ええどうも、よろしくお願いします」


「後ろの方たちはミスターアイバの船のクルーでしょうか? エルクルドの方たちに見えますけれど」


 エルクルドは新良の出身惑星で、エルクルド星人は地球人に似た容姿を持つ。


「彼女たちは私の仲間で全員が強力な戦士です。出身惑星については一人はエルクルドですが、他は違います。さて、ではすぐに調査を始めましょう。私が先頭を行きますので、その後ろで案内をお願いします」


「かしこまりました。リ・ザ、行くわよ」


「はいお嬢様」


 長話をしていると勇者の勘で青奥寺に睨まれそうな気がしたので、俺はさっさと出発することにした。


 俺が先頭、お嬢様とメイドと護衛4人がそれに続き、その後ろに青奥寺たちが詰める隊形で、破壊された総統府の入口に入っていく。


 廊下はモンスターの足跡や爪痕があちこちに残り、壁には弾痕なども多くあり、戦闘が行われていた形跡があった。


 ただこの総統府の人間はドーントレス軍が真っ先に救助に入ったらしく、ビルの地上部分には生存者はもういないようだ。


 問題は地下施設に逃げたであろう人間たちで、そちらは連絡もつかず完全に安否不明である。


 お嬢様の指示にしたがって廊下を歩いていき、いくつかの扉をくぐっていくと、エレベータの扉の前に辿り着いた。扉の縁が赤く塗られていて、いかにも重要な場所に続くエレベータといった雰囲気だ。


「このエレベータでしか地下施設には行けませんの。動けばいいのですけれど……」


 と言いながら、お嬢様が扉の横の操作パネルを操作する。パネル自体は作動しているので、ビルの動力は生きているようだ。


 しばらくするとエレベータの扉が開いた。中はかなり広く、30人くらいは乗れそうな感じである。


「大丈夫そうですわ。入りましょう」


 お嬢様にうながされて、全員がエレベータに乗る。扉が閉まって10秒ほど、エレベータの扉が再び開いた。銀河連邦のエレベータは動いているのがまったくわからないので困る。


「ここから先が総統府の地下施設になります。緊急時に総統府として機能するように作られた施設で、お父様は中枢区にいらっしゃるはずです。ただし中枢区まではいくつかの隔壁を開かなければ辿り着けません」


「了解した」


 説明してくれるお嬢様にうなずいてから、俺は青奥寺たちの方の様子をうかがった。


「俺は嫌な感じがするんだが、青奥寺たちは感じるか?」


「私はなんとなく感じます。『深淵窟』やダンジョンに近い感じですね」


「美園ちゃんと同じくです。奥の方に気味の悪い気配があります」


 青奥寺と雨乃嬢がそう答えると、絢斗や三留間さんもうなずいた。


 エルフお嬢様はそれを聞いて眉を寄せたが、現実から目を逸らしてもどうしようもない。覚悟だけはしてもらって、先に進むことにする。


 地下施設は、基本的には普通のビルのフロアとそう変わらなかった。近未来的な廊下を進んでいき、いくつかの扉の前を通り過ぎていく。


 廊下の先に隔壁が見えた。見るからに分厚そうな壁が通路を通せんぼしている。お嬢様がいれば開くはずのものだが、問題はその向こうにモンスターの気配があることだ。なにしろ向こう側からガリガリと壁を引っかく音が聞こえてくるのだ。どうやらこの向こうはモンスターが溢れかえっているようだ。


 壁の操作パネルに近づこうとしたお嬢様が、俺のほうを振り返った。


「このまま開いてもよろしいのでしょうか?」


「構わないが、開いたらすぐにこっちに逃げてきてくれ。青奥寺たちは用意はいいな?」


「大丈夫です」


「射撃準備できていまぁす」


「いつでもいいですよ。任せてください」


 青奥寺とレアと絢斗が口々に答える。


 俺の合図を受けて、お嬢様はパネルを操作してすぐに俺たちの後ろへと下がっていく。


『隔壁を開放します』


 というアナウンスとともに隔壁がゆっくりと上に上がっていく。


 が、それを待たずに下の隙間からモンスターが飛び出してきた。C、Dランクの獣型モンスターが主のようだが、新良と双党とレアの射撃によって次々に消滅させられていく。


 なんとかこちらに辿り着いても、青奥寺と絢斗、そして雨乃嬢の刃によって真っ二つである。俺とルカラスの出番はまったくない。


 モンスターは100匹近くいたが、掃討されるといったん出現は収まった。


「これはやっぱり奥でダンジョンが発生しているな」


「そんな……、ではお父様は……」


 エルフお嬢様が青い顔をしてよろけ、お付きのメイドに支えられる。


「どこかの部屋に避難してる可能性もある。先を急ごうか」


 俺はそう言って、隔壁の先へと歩き出した。

【『おっさん異世界最強』小説4巻発売について】

 別に連載している『おっさん異世界で最強になる』の小説4巻が12月10日に発売予定です。

 本作でも人気の高いメカリナン国編になりますが、Web版から大きく改稿をしています。

 全体の流れはもちろん変わりませんが、リューシャ少年とラーガンツ侯爵との新規エピソードが追加されております。

 もちろん巻末書き下ろしもあります。

 いつもの通りperoshi様のイラストも素晴らしく、リューシャ少年とラーガンツ侯爵の凛々しいお姿を拝むこともできる一冊になっております。

 よろしくお願いいたします。


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