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勇者先生 ~教え子が化物や宇宙人や謎の組織と戦っている件~  作者: 次佐 駆人


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41章 惑星ドーントレスの危機 01

 惑星ドーントレスは、以前銀河連邦のトップであるメンタードレーダ議長が誘拐された時に訪れた星である。


『総統』と呼ばれる独裁者が治める惑星であり、宇宙海賊ともつながって悪事を行っていた疑いもある、いわくつきの星だ。


 しかもあの『魔王』の手下である『ゼンリノ師』とやらのコピーがいて、総統に入れ知恵をしていたらしいことも判明している。


 裏では魔力を動力源とする『オメガ機関』なるものを作り出し、『洗脳チップ』なる非人道的なアイテムを生産しているのも確認している。


 もちろん複数のダンジョンがあることも確認されていて、ある意味『魔王』汚染の進んだ星と言うことができるだろう。


 そしてそのドーントレスのモンスター大発生となると、俺としても無視はできない事態である。しかも地上に大穴が開くというイレギュラーな話も出ているし、調査に行かないわけにはいかなかった。


「でしたらとりあえず明日から一週間の出張扱いということにいたしましょう。相羽先生もここのところ大変ですね」


 翌日校長室に行って明智校長に相談すると、そういう答えが返ってきた。


 上司が理解してくれるのは大変ありがたいことだが、代わりにホームルームや授業の穴を他の先生に塞いでもらうことになるのは忘れてはならない。俺は学年主任の熊上先生や教科指導担当の山城先生にも相談をしておいて、放課後の『相好武術同好会』の終了時に、青奥寺たちにも再び宇宙旅行をする話を伝えた。


 もちろん同好会メンバーがそんな話を聞き流すはずもなく、俺は青奥寺たちに詰められることになった。もともと新良が銀河連邦の人間ということで同行が確定しているので余計である。


「モンスターが相手になるのであれば、私たちも一緒に行くことができると思います。先生、絶対に連れて行ってください」


「そうです~。そんな楽しそうなこと、璃々緒と二人占めはズルいと思いますっ。私は『ウロボロス』に密航してでも付いていきますね」


「ワタシも付いていかないとボスに怒られまぁす。連れて行ってくださぁい」


 青奥寺は真剣な顔で、双党はふくれっ面で、レアは同情を買うようなウルウル目で迫ってくる。


 まあこうなることはわかっていたので、校長には事前に相談済みである。


「わかったわかった。とにかく青奥寺はすぐに親御さんの許可を取れ。双党は東風原さんだ。レアも上司に言っておけよ」


 と答えると、3人は「はい」と嬉しそうな顔をしてすぐに帰り支度を始めた。


 そこでもちろん黙っていないのが中等部組の2人、三留間さんと絢斗である。


「先生、激しい戦いということになれば、私の癒しの力が役に立つと思います。先生のおかげで、すごく力も上がりましたから」


「まさかボクを連れて行かないということはありませんよね。とねりの護衛もやりますし、モンスター相手なら一番活躍できる自信がありますけど」


「三留間さんは事前に親御さんに言っておいてね。俺がお願いに行くって。それから絢斗は双党そ一緒に東風原さんに連絡しとけ」


 実際現場では三留間さんの力は必要な気がするので、彼女が望むなら一緒に行ってもらうつもりだった。絢斗もその護衛として当然行ってもらわなければならない。


 さらに大学生の雨乃嬢だが、


「もちろんお嫁さんである私は当然行きます。ここで一緒に行かないと寝取られフラグが立ちますからね! 大丈夫、準備はいつでもできています! あ、寝取られる準備じゃありませんよ!」


 といういつもの意味不明な言葉で行くことが決定する。


 九神と宇佐さんはこの場にいないが、彼女らは今回は諦めてもらおう。さすがに九神家の次期総帥を戦場の真っただ中には連れていけない。清音ちゃんとリーララの小学生組も見送りだ。


 その後学校を退勤した俺は、そのまま『ヴリトラ』に移動した。


 貨物室のリビングスペースにはいつもの通り銀髪少女古代竜のルカラスと、白い狐のクウコ、そして女吸血鬼のカーミラがいてくつろいでいる。


 彼女らにはすでに状況は説明してあるが、クウコとカーミラにはもしもの時のために地球にいてもらうよう頼んである。


 本当はルカラスにもいてもらいたかったのだが、


「モンスターがあふれているなら我の力は必要になろう? ハシルがいくら強くとも、数の暴力には勝てぬこともあるぞ」


 と言われて折れた。今回はなにが起きるか未知数なので、ルカラスほどの強力な戦力は必要である。


「ところでハシルよ、仕事の方は都合がついたのか?」


 俺がソファに座ってエルフ型アンドロイドから飲み物を受け取っていると、ルカラスが隣に座ってきた。


「一週間の出張扱いにしてもらった。それだけあればなんとかなるだろ」


「しかし大陸全土レベルのオーバーフローとなるとそう簡単でもないと思うが。ハシルとしてはどうするつもりだ?」


「銀河連邦の救援艦隊の装備次第だな。さすがにまだ『魔力ドライバ機関』を使った武器はそこまで配備してないだろうし、最悪こっちの艦隊とアンドロイド部隊を全力で回すことになりそうだ」


「重要拠点があれば我らが直接乗り込むことになるのだろう?」


「そうだな。実はアメリカのダンジョンが異世界につながってて、昨日異世界にちょっと行ってきたんだが、魔王城跡に魔王城そっくりのダンジョンが出来ててな。中に『魔王』と同等くらいのボスがいたくらいのヤバいダンジョンになってた。もしドーントレスにそんなのがあったら俺以外では誰も対処できないだろうし」


「待て、そういう話はすぐに言わぬか!」


 ルカラスが俺の腕に抱き着いて文句を言ってくる。


 カーミラも少し驚いた顔で、俺の隣に来て腕を取ってきた。


「ねえ先生、それって大丈夫なのぉ? ラミーエルにはきちんと情報は行ってるのかしら?」


「女王様には会って話はしてある。そのダンジョンから出た強力な魔導具も渡してきたから、それが複製できればオーバーフローを起こさない程度には管理できるんじゃないか」


「それならいいけどぉ。でも先生、私たちに黙ってラミーエルに会いに行くのは感心できないわねぇ」


「うむ。かの女王もハシルのことを狙ってはおるだろうからな。軽率に会うのはいかんぞ」


「それはさすがに女王様に失礼だろ」


 まったく、こいつらすぐにそういう話に持っていこうとするからな。いい年をして小学生並みの恋愛観である。


「ともかくそんなわけだから、明日の早朝に出発する。カーミラとクウコはアパートのほうに移動をしておいてくれ」


「わかったわぁ。本当に一緒に行きたいけれど、留守を守るのも妻の務めですものねぇ」


「……承知しました。……お気をつけて……」


 カーミラの怪しげな発言はあえて無視をして、俺はソファに背をもたれた。


 さてさて、ドーントレスに何が待っているのか。ただのモンスター退治で済むならまだいいのだが……などと考えると、それこそ雨乃嬢の言う『フラグ』になりそうだな。

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― 新着の感想 ―
うーん……なんだか女性陣が「危機に成っても主人公が何とかしてくれる」って油断と主人公は主人公で「自分が何とかすれば良い」って慢心がある気がしますね。 完全武装状態の子が1人ゼンリノ師に瞬殺されて見逃さ…
全力すぎるし、揺動を警戒しない理由がよくわからない。この宇宙で一番重要なの地球だと思うんだけど(しかも魔王側が手を打ったあと、不自然に放置といって良い)。 まー、主人公は勇者の運命に流されるままだか…
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