5章 → 6章
―― 明蘭学園初等部 5年2組教室 とある女子二人の会話
「えっ? リーララちゃんあの後相羽先生に会いにいったの?」
「まあねっ。ヘンなことしようとしてきてたし、話をつけようと思って」
「ヘンなことって、あれはリーララちゃんが悪いよ。どう見たって相羽先生に悪い言葉使ってたもの」
「いいのいいの、ああいうおじさんはそれくらいしないとこっちが気があるって勘違いするんだから」
「いくらなんでもわたしたち相手にそんな勘違いはしないと思うけど……」
「清音はまだそういうの知らないからね。世の中にはヘンタイがいっぱいいるんだから、気を付けないとダマされるよ」
「そうかな……。でもおまじないは本当に効いたし、お母さんもいい人だって言ってたから相羽先生は大丈夫だと思うけど」
「まあそのおまじないについては本物かもね。それだけは認めてあげてもいいかなとは思った」
「ふふっ、リーララちゃんどうしてそんなに偉そうなの? でもリーララちゃんが言うなら本当なのかあ。聖女先輩みたいだよね」
「あ~、聖女先輩ね。確かに同じ能力かも。病気を治せるっていうのはちょっと特別なのよね」
「リーララちゃんはできないの?」
「ん~、怪我は治せるんだけどね、病気は別枠なの。だからおじさん先生もちょっと特別かも」
「そうなんだ、特別な人なんだ……。なんか見た時にそんな気がしたんだよね」
「えっ、ちょっと清音、なんかヘンなオーラ出てない? ダメだよあんなおじさん」
「違うよ。なんかお母さん最近疲れてるみたいだし、相羽先生になんとかしてもらえないかなって思ったの」
「あっそっちね。清音のお母さんってすごい美人だから、あんなの近づけたら危ないって」
「でも仕事は一緒にやってるみたいだよ。それにお母さん家だと最近寂しそうだし」
「そういうのは子どもが考えることじゃないからねっ。清音ってヘンなところで気を回しすぎ」
「そうかなあ。わたしもお父さんができるなら優しい人がいいし」
「そんなこと言って、もしおじさん先生に清音の方に興味があるって言われたらどうするの?」
「えっ? それは困るけど……う~ん、その時にならないと分からない、かな」
「そこははっきりヤダって言うところでしょ。清音のそういうほんわかしたところ、わたし理解が追いつかないんだよね~……」