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36章 → 37章

―― 高機動支援ユニット『フォルトゥナ』 操縦室


『ミスターアイバは本当に我々を飽きさせない人間だな。そうか思わないかねアルマーダ独立判事』


「それは相羽先生に出会ってから常に感じているところです」


『まったくその通りなのだろうね。しかしリードベルム級戦闘砲撃艦2隻を含む12隻の艦隊を所持する個人など、銀河連邦の歴史を通覧してもおるまいな。さらにAIを未知の技術的特異点(シンギュラリティ)に到達させ、今度はパラダイムシフト級の技術開発か。もはや我々の常識では理解不能だよ』


「私も同じ感想です。残念ながら私にできることは相羽先生の近くにいてそれを見守ることだけです」


『それは仕方あるまい。リードベルム級と対等以上に戦える人間なぞ抑えられる人間など誰もおらんよ。ただ我々は祈るだけだな、彼が道を踏み外さぬように』


「その点については私はあまり心配はしておりません。どれほどの力や財を持っても、相羽先生は初めて会った時からなにも変化していないようなのです」


『うむ。それは私も同意見ではある。何度もいうが、あの力を持った人間が彼であったことは、我々にとっても僥倖(ぎょうこう)と言うしかない』


「はい」


『しかし異世界にある未知のエネルギー源や技術と我々の技術の融合か。夢があると同時に恐ろしくもある。もしその存在が知られれば、ありとあらゆる組織集団が彼との接触を図るだろう。たとえ銀河連邦憲章に反しようとも、だ』


「はい、その通りだと思います。実は相羽先生の保有する艦艇はすでに融合技術によって、現在の銀河連邦の艦艇とのキルレシオが20:1程度にまで達していると予想されます」


『実質240隻の大艦隊を保有するに等しいわけか。あまりに馬鹿げていて笑うしかなさそうだ。むしろアルマーダ独立判事が正気を保っていることが不思議なくらいだな』


「そこは慣れましたので」


『結構なことだ。ところで先日の「ダンジョン」なるものの話だが、地球ではその後新たに現れたりしているのかね』


「はい。先日3つ見つかり、それらは相羽先生が管理しています。いくつかの特殊な素材、具体的には動物の革や未知の金属などが定期的に採取できるようです。また剣や魔力を動力源とする道具などもいくつか発見されています」


『興味深い話だ。しかし問題は、そのダンジョンが銀河連邦内でも発生した時だな。利権程度の話ならともかく、その未知の素材や技術によって新たなブレイクスルーが起きるという話になったら表でも裏でも激しい動きが起こりそうだ』


「その件に関しては、後ほど相場先生が局長に直接話がしたいと言っていました」


『それは助かる。こちらからもお願いすると伝えてほしい』


「かしこまりました」


『しかし銀河連邦としても彼に対する借りが大きくなりすぎるな。アルマーダ独立判事、我々の持つもので、彼が礼として望むものに心当たりはあるかね?』


「いえ、正直なところ、相羽先生はその気になればすべてを手にすることができる人なので……」


『そうだろうな。そういう意味ではとても困った人物だ。ところでアルマーダ独立判事』


「なんでしょうか?」


『今言った「すべて」に、君自身も含まれているのかな?』


「……っ!? それは……」


『ククッ、すまない、これは冗談にしても問題があったな。まあともかく、地球に派遣されたのが君だったのは幸運だった。これからもよろしく頼む』


「はっ」

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