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勇者先生 ~教え子が化物や宇宙人や謎の組織と戦っている件~  作者: 次佐 駆人


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35章 『応魔』殲滅作戦 10

「え~、結局交渉は決裂しました。『王位』は俺が倒しましたので、後は残る『応魔』を片づけて帰還したいと思います」


 俺が『ウロボロス』の『統合指揮所』に戻ると、青奥寺たちはホッとしたような表情で迎えてくれた。どうやら心配してくれていたようだ。


 勇者的にかなりグッと来るところだが、あえてそれを悟られないようにしつつ、俺はなに食わぬ顔で『応魔』大虐殺宣言をした。


 そんな俺の態度をじっと見ていた青奥寺だが、なにかを察したようにため息をついた。


「それはやはり話が通じなかったっということですか?」


「話自体は通じたんだが、彼らはほかの世界を支配して自分たちの世界にすることが生きがいというか、本能というか、存在理由というか、そんな存在らしい。俺たちとは相容れないということで、とりあえず滅ぼすしかないと判断した感じだな」


「そうですか。それなら仕方ないと思います。この間戦った時、私も『応魔』とは共存できるとは思えませんでした。先生の判断を支持します」


 青奥寺がそう断言すると、後ろで絢斗がうなずいた。


「それはボクも同じですね。アレは明らかに同じ世界を共有できる連中ではないと感じました。相羽先生の言う通りだと思いますよ」


「私も同じですね。残念ながら、こちらが生き残るためには滅ぼさなければならないという存在はどうしても出てきます。銀河連邦の歴史を通覧すると、そういった話は何度もでてきますし」


「まあ先生が言うことなら仕方ないと思いますよっ。ここに反対したりそれを嫌だと感じる人はいないと思います」


 新良と双党が続くと、ほかのメンバーも深くうなずいて俺を見てくる。


 なるほど、確かに彼女たちにそう言われると、少しだけストレスが軽減されるのが自分でもわかる。俺はもう、種族を滅ぼす程度のことにはなにも感じない人間だと思っていたんだが、意外とそうでもなかったようだ。


「皆がそう言ってくれると気兼ねなくできるな。じゃあ『ウロボロス』、通常兵器で地上の『応魔』をすべて駆逐してくれ」


『了解でっす。各艦に通達。艦砲射撃にて地上の「応魔」反応をすべて攻撃して消滅せよ~』


 実はすでに先ほどから、『侯爵位』によって生成されたモンスターの襲撃が再開されていた。ドラゴンも現れていたが、一部はルカラスが外に出て対応していたようだ。


 なので艦砲射撃自体は散発的に行われていたのだが、今の『ウロボちゃん』の指示によって、9隻の宇宙戦艦は、一斉に全力射撃を始めた。


『統合指揮所』の正面大型モニターに移るのは、無数の、本当に無数の光線の雨だ。さらに『ウロボロス』『ヴリトラ』、それからガルガンティール級戦闘艦2隻は、上部ハッチを開いて『ソリッドキャノン』を射出し始めた。垂直に打ちあがった上がったミサイルが上空で方向転換をして地上に降り注ぐと、緑色の閃光を含んだ大爆発を起こす。トライレル級砲撃艦という艦首に大型の砲身を備えた戦艦も、その砲から太い光線を放ち、地上を舐めるようにえぐっていく。


 地上には『応魔』たちがいて、『子爵位』『伯爵位』などは赤黒い盾のようなものを出して防御したり、同じく赤黒い炎の玉や、状態異常効果のある黒い球を飛ばしたりしている。しかし飛び道具はこちらに届いても戦艦の装甲を貫くことはできず、状態異常は当然効果もない。盾で防ごうにもこちらの飽和攻撃の前では焼け石に水でしかない。すべて光と砲弾と爆発の濁流に飲み込まれて消えていく。


 しかもこちらは『応魔』の『生体波』とかいうのを探って攻撃しているので討ち漏らすこともない。サブモニターにはサーモグラフのような表示もあって、『ウロボロス』がそこに浮かび上がった『応魔』を正確に狙っている様子もわかった。


「……いや~、これはちょっと、思ったよりもエグいですねえ」


 最初射撃シーンを見て興奮していた双党だが、破壊の様子を見ているうちにさすがに顔が引きつってきたようだ。


「たしかにこれは先生が私たちに見せようとしなかったのも納得できますね」


 青奥寺の鋭い眼光も、今回ばかりは多少その光を弱めているようだ。まあそれだけで済むのだから大した胆力か。その青奥寺の両肩に後ろから手を載せているのは雨乃嬢だ。青奥寺を支えているのかと思ったらそうではなく、青奥寺に隠れながら映像を見ているらしい。こういう刺激の強いやつも苦手なのかもしれない。


 新良はいつも通りの無表情なのでよくわからないが、言葉を発さないのでなにか思うところがあるのだろう。


 さすがなのは九神で、多少の虚勢もあるのだろうが、眉一つ動かさない。隣に立つ宇佐さんも平静を保っているが、こちらは主人の前で粗相はできないというプロ意識もありそうだ。


「まったくすさまじい威力だなこの船の武器は。我でもこの攻撃を一斉に受けたらどうなるか」


 外から戻ってきたルカラスは、そんなことを言いながらアンドロイドに持ってこさせたジュースを飲んでリラックスしている。こっちは俺と同じでさんざんモンスター根絶やしとかやったクチだからな。この程度でなにか感じるほど細くはない。


 かわいそう(?)なのはクウコで、狐の姿にもどって、船員用の椅子の上で九本のしっぽに包まれるように丸くなって震えている。彼女は俺たちにはない感受能力があるので、もしかしたら多くの『応魔』の断末魔的ななにかを感じ取ってしまっているのかもしれない。


「クウコ、つらいか?」


「……多くの、悲鳴が……聞こえます……。しかしこれは……私たちが生きていく上で負わねばならない……業の一つなのでしょう……」


「そうかもしれないな」


 俺も勇者生活の最初の方ではそんなことを考えていた気がする。勇者パーティの賢者に「その感覚は覚えておくべきでしょうが、しかし考えすぎたら肉も魚も食べられなくなりますよ」と慰めともたしなめともつかないことを言われたが。


 全力の艦砲射撃は10分ほど続いただろうか。そこで『ウロボちゃん』が『全艦艇攻撃やめ』と指示を出した。


 モニターに映るのは、完全に破壊されつくした、一面の瓦礫の山である。唯一形を保っているのは『王位』がいた例の巨大建造物だけだった。それも表面は穴だらけになっているのだが。


『艦長、こちらの通常兵器では消滅させられない「応魔」がいまっす。強力な魔力防壁を備えた個体のようでっす』


『ウロボちゃん』が俺のほうを振り返ってそんな報告をする。同時にサブモニターにいくつか、まだ健在の『応魔』の姿をズームで映し出した。どうやら『公爵位』が6体残っているようだ。たしかクウコが8体いると言っていて、戻るときに『王位』を守っていた2体は俺が始末したので数としては合っている。


「あ~、さすがに銀河連邦の科学力をもってしてもあの大きさのものだと難しいか」


「どういうことですか?」


 青奥寺が反応する。


「実は『同じ魔力量を持つ』つまり『同じクラス』のモンスター同士だと、体の大きさが小さいほうが強くなる傾向にあるんだ。普通は体が大きい方が魔力量も多くなるから、見た目の大きさがそのまま強さにつながるんだけどな」


「例えば同じ『特Ⅱ型』でも、巨大なものより人間位の大きさのものの方が強いということですね」


「そういうこと。魔力の密度が上がると強くなるとかそんな感じだ。クゼーロとかそうだっただろ?」


「いえ、さすがにそれは私のレベルだとわかりません」


「あ~、そうか……」


 クゼーロは魔王軍の『四天王』レベルだったが、モンスターのクラスからいくと『特Ⅱ型』より少し上くらいでしかない。しかし彼は人間の大きさしかないわけで、例えば同じ『特Ⅱ型』の『三つ首の邪龍』よりはクゼーロの方が間違いなく強くなる。


 まあともかく、『公爵位』を相手にできるのは俺とルカラスくらいだろう。青奥寺たちももう少し魔力が上がれば相手をさせられるんだが。


 などと思っていると、『ウロボちゃん』が新たな提案をしてきた。


『艦長、ソリッドラムダキャノンなら通用すると思いまっす。試しますか?』


「そういえばそんな兵器もあったな。というか最初から使っておけばよかったか」


『いえ~、通常兵器を定期的に使用することも必要ですから~。なのでできればウロボロスのソリッドラムダキャノンも使っておきたいのでっす』


「あっそう。まあいいや、せっかくだからやってくれ」


『了解でっす』


 俺が指示すると、艦隊は高度を上げ、『応魔』の集落から高速で距離を取り始めた。 

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― 新着の感想 ―
地球の生態系の一部ですら無い完全な侵略者ですからね。向こう側がやろうとした事をやり返されてるだけではある
某宇宙の地上げ屋も 第三形態よりも ちっちゃくなった 第四形態の方が強いよね
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