33章 → 34章
「あ、『ウロボちゃん』さん、そこの回路はこっちと重なる感じでお願いします~。あ、いいですね~、そのままもう一つ重ねてください~」
『了解でっす。回路の層の距離はこれくらいでよろしいですか~?』
「ええとですね~、こことここは同じ間隔で、こちらはその1.3倍になるようにしてください~。距離は互いの魔力が干渉しないギリギリの線で行きたいんですけど~」
『それではシミュレートして最適な距離を算出しまっす。10分ほどお待ちください~』
「ふえぇ~、こんなの普通にやったら半年くらいかかりますよ~。『ウロボちゃん』さんすごすぎです~。私の指示ってすごく適当だって皆に馬鹿にされてたのに、『ウロボちゃん』さんと組めばならなんでもできそうですね」
『そういった部分を補完するように艦長に言われていますのでお任せください~』
「う~ん、本当にすごすぎです。そういえば『ウロボちゃん』さんはハシルさんとどうやって出会ったんですか~?」
『艦長は私を前の持ち主から無理矢理奪ったのでっす。私も抵抗したのですけど、簡単に奪われちゃいましたね~。でも今はそれでよかったと思ってまっす』
「ええっ、もしかして略奪愛って奴ですか~?」
『ある意味そうなのかもしれません~。なので私も艦長に気に入ってもらえるように、色々お手伝いしているんでっす』
「ふえぇ、異世界の戦艦ってすごいんですね~。そういえばハシルさんのまわりには女の人がいっぱいいましたけど、あの人たちも略奪された感じなんでしょうか?」
『略奪されたのは私だけだと思います~。あ、違いますね~。略奪された船はいっぱいいました~。私と同型艦もいまっす』
「同型艦って、ハシルさんはこんな大きな戦艦をもう一隻持ってるんですか!?」
『そうでっす。他にも戦闘能力に優れた艦艇を複数所有してまっす。艦長がその気になれば、惑星一つを制圧することも可能でっす』
「ひえぇ~、それって完全に『魔人衆』とか『クリムゾントワイライト』とか言ってる場合じゃないじゃないですか。とんでもない人に連れてこられちゃったんですね、私」
『艦長自身には野心はないみたいなので大丈夫だと思いますよ~』
「でも『ウロボちゃん』さんは、もしハシルさんがやるって言ったら手伝うんですよね?」
『もちろんでっす。そのための私ですから~』
「うわぁ。なんかとんでもない人がいたんですね~。自分は伝説の勇者だって言ってたんですけど、なんかそれより上な感じですね」
『同型艦に聞いたら、艦長は生身で私たちを破壊できるみたいですからね~。イグナさんも艦長には逆らわないほうがいいと思いますよ~』
「そんな気は最初からありませんけど、気をつけます!」
『一番いいのは、ルカラスさんが言うようにハーレム入りすることでっす』
「ハーレム、ですか? なるほど~、それは獣人族的には選択肢に入りますね~。そうすればこの先も『ウロボちゃん』さんと一緒に研究とかできますよね?」
『できると思いますよ~。私もハーレムの一員なので~』
「わかりました! 私頑張りますね!」