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勇者先生 ~教え子が化物や宇宙人や謎の組織と戦っている件~  作者: 次佐 駆人


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31章 勇者の里帰り  07

 俺は夜の間に一度『ウロボロス』に行って、東風原所長から教えてもらった4人の少年少女たちを『ウロボロス』に調べさせた。


 いずれも俺の実家からそう遠くない場所に住んでいる子たちで、全員がまだ高校生だった。2人いる女子は同じ高校で、他の男1人ずつは別の高校に通っているようだ。


 例の坂峰君の名はそこには含まれておらず、学校も別だった。彼は遅れて体型変化した子なのかもしれない。


『警察関係のデータも調べましたが、特に補導歴とかもないみたいでっす』


「お、おう、助かる」


『ウロボちゃん』がとんでもないことをサラッと言うので、俺は艦長席でちょっとのけぞってしまう。


「しかし体型変化と体育の成績が上がった以外はおかしなところもないみたいだな。本当にただの偶然なのか?」


『今のところはそう結論付けるしかないと思いますね~』


「じゃあストーカー疑惑のある坂峰少年だけ見張ってればいい感じか。でもなぁ、どうもなんかある気がするんだよな」


『それは艦長の勘ですか?』


「そうだな。勇者の勘って奴だ。的中率は高いぞ、体感で100%だ』


『体感というのが怪しいでっす。外れた時は忘れたりするものですからね~』


「そりゃまあそうか? 人間のことよく勉強してるな」


『はい、艦長のお役に立てるように常時情報を収集してまっす』


 あらなんか健気なのね『ウロボちゃん』。直立不動で首だけかしげている姿がいつも以上に可愛く見えたりして。


 なんてアホなことを考えていると、『ウロボちゃん』が急にビクッと動き出した。


『艦長、坂峰少年が家から移動を開始したようでっす』


「なに? 今、夜の12時過ぎだぞ。モニターに映してくれ」


『了解でっす』


 壁面のメインモニターに住宅街を上から見た映像が表示される。今は夜だが光学処理されていて、昼間のように表示されている。ズームすると、確かに坂峰少年が夜の住宅街を走っている。しかも結構なスピードだ。時速にすると50キロくらい出ていそうで、正直人間離れしているレベルに見える。


 俺の実家に行くのかと思ったがそうではなく、どうも川の方へ向かっているようだ。土手を上り、サイクリングロードを横切って、そのまま河原に下りる。


 そこは小さな公園になっていて、遠くの外灯が、設置されたベンチなどを(かす)かに浮かび上がらせている。と言いたいところだが、こっちは光学処理のおかげではっきり見える。


 坂峰少年はそこで立ち止まり、スマホを操作したようだ。


 しばらくすると、


『艦長、別の人間が接近中でっす』


「マジか」


 モニターに映る坂峰少年、その近くに、数人の人間が、やはり走って現れた。


 その数は4人。髪型から見て男2人、女2人。どこかで聞いた人数と内訳だな。


「もしかして、体型が変化した高校生が全員集合したってことか?」


『画像から判断すると、データ通りの体型に近いみたいでっす。艦長のおっしゃる通りかもしれませんね~』


 モニターに映った5人は10分ほど会話をしていたようだったが、互いにうなずき合うと、まとまって移動を始めた。もちろん走ってである。


 河原から出て、道をすごいスピードで走っていく。100メートル10秒切るような速さで、それでずっと走り続けているのは明らかに異常である。


 しかも驚いたことに、彼らは駅の近くにある繁華街の方へ走っていく。地方都市とはいえまだ人は出歩いているはずなのだが。


 どうなることかと思って見ていると、繁華街を走る彼らを誰も気に留める様子がないことに気づく。その理由には身に覚えがある。


「こりゃ明らかに『隠密』系のスキルを使ってる感じだな。本当に何者なんだ?」


『艦長と同じ力を持っているということですか?』


「可能性はありそうだ」


 そして彼らは、とある5階建てのビルに入っていった。


「あのビルは無人か?」


『ドローンを転送して調べてもいいでしょうか~』


「あ、そんなことできんのか。頼むわ」


『了解でっす。ドローン転送。そちらの複合センサーの表示を追加しまっす』


 モニターに別映像が表示される。


 ビルを斜め上空から見た画像で、しかも赤外線表示のように内部の熱源が赤や黄色で表示される。


 1階から階段を上がっていく5人の人間は例の高校生たちだろう。


 それとは別に、最上階の5階に10人くらいの人間が集まっている部屋がある。夜の12時過ぎに、灯りの消えたビルに人が集まっているのはどう考えても普通ではない。


 しかも――


『ビル5階に、地球上には存在しない形状の生き物がいるみたいでっす』


「だな」


 10人が集まっている5階の一室だが、そこにもう一つ、うっすらと黄色く表示されている妙な影があった。


 そいつは簡単に言うと、上半身は人間、下半身はタコの足、みたいな姿をしているようだった。勇者として戦っていた時に似たようなモンスターを見た気もするが、それと同じものかはモニターの表示では分からない。


「ん~、ウロボロス、声を拾えるか?」


『可能でっす』


「いや待て、直接行って見てくるわ。あのビルの屋上に転送してくれ」


『分かりました。お気を付けて~』


 いやいや、勘の通りとはいえ急に妙なことになってきたな。話がこじれなきゃいいんだが。

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