30章 → 31章
―― とある女子生徒たちのSNS
加賀「いや~、楽しかったね異世界旅行。大規模な戦闘とかも見られたし、モンスターとも戦えたし、先生の意味のわからない力も見られたし、服も買えたし武器も買えたし言うことなし!」
みそ「確かに楽しかったけど、私たちはあまり役に立ってなかった気がする」
リリ「それは仕方ないと思う。『特Ⅱ型』以上はまだ私たちの手に余る」
みそ「そうなんだけど、あのモンスターの大軍くらいは一緒に戦えたかなって思って」
加賀「先生としては、今回は私たちの命を預かってる感じだったからね~。さすがに危険すぎるところは出せなかった感じかな~」
リリ「先生の立場を考えれば仕方ないと思う。でもみその気持ちは分かる。先生にはお世話になってばかりだし」
加賀「それは仕方ないところもあるでしょ。でも私たち魔法も使えるようになったんだし、さらに強くなれば役に立てるようになるって」
みそ「そうね。これから何ができるかを考えましょう。それよりルカラスさんってどうなったの?」
加賀「九神家に頼んでたっぽい。九神家で呼んだ外国人ってことにして、いろいろやって日本に住めるようにするんだって」
リリ「いざとなれば『ウロボロス』でデータも改竄できるから大丈夫だと思う」
みそ「完全犯罪できるのを大丈夫って言わないから。まあでも心配するだけ無駄だよね」
加賀「そうそう。私たちが心配しなくちゃいけないのは、先生に第一のつがいができたってことでしょ」
みそ「そんなの心配してどうするの?」
加賀「またまた~。先生がハーレムOKって言ってたんだから、そっちに向けて動き出さないと」
みそ「そんなこと言ってなかったと思う。それにハーレムって……冗談にしてもどうかと思うけど」
加賀「冗談じゃないからねっ。世海お嬢も言ってたけど、先生は全員で囲まないと攻略不可でしょ。あの鈍さはまさに勇者級だから」
みそ「そんなこと世海が本当に言っていたの? いえそれ以前に攻略って何?」
リリ「攻略は攻め落とすという意味。ここでは先生につがいとして認められるようになることを指すはず」
みそ「リリまでつがいとか……。だいたい私たちは先生の教え子なんだし、そんなこと認めるわけないでしょう。先生ってあんなふうだけど、社会的には常識人だと思うし」
加賀「それはまあそうなんだけどね~。でも認めてもらう相手は、なにも先生だけとは限らないよねっ」
リリ「それはどういう意味?」
加賀「え、リリがその質問しちゃう? もう先生のこと認めさせてたのに?」
リリ「は? なんの話か理解不能だけど」
みそ「もしかして、リリが両親に先生を紹介したことを言ってるの?」
加賀「はいみそ正解~。そこまでわかれば、認めてもらう相手ももうわかったでしょ。もう一つヒントは、前に私たち、夏休みに先生の家にお邪魔するって約束したよね~ってこと」
みそ「え、あれって冗談じゃなかったの? いくらなんでも生徒が先生の実家に行くとかありえないでしょう?」
リリ「なるほど、加賀は策士。先生の両親につがいとして認められるのを狙うというのは有効な手段かもしれない」
加賀「でしょでしょ。将を射んとせばまずはその馬をってやつ。というわけで、先生がお盆に帰ったところでねじこむから、みんな参加予定しておいてねっ」
みそ「えっちょっと本気なの? それはさすがに先生も怒ると思うけど……う~ん」