30章 異世界修学旅行その3 17
その後女王陛下のところに戻って、『ヘカトンケイル』討伐の報告をした。
討伐時の映像はカーミラのリストバンド端末で見ていたようで、俺やルカラスの力、そして『ウロボロス』の攻撃能力については驚きの言葉をもらった。内心俺たちが怖くて不安なところもあったと思うが、それを最後まで顔に出さないラミーエル女王陛下は大人物だと思う。彼女が治めていればこの国はまっとうな方向に進んでいくだろう。
ちなみに侯爵は、『ヘカトンケイル』が制御できていなかった時点で呆然としてたようだが、さらにそれが討伐されたと聞いて完全に力を失ったようだ。まあ裁判にかけられたとして極刑は免れないだろうが、自業自得なので仕方ない。
最後別れ際に、再度女王陛下に声をかけられた。
「アイバ様には本当にお世話になりました。『魔導廃棄物』については早急に排出を止めますので、どうか今しばらくお待ちください」
「よろしくお願いします。ただ恐らく、それがなされてもこちらの世界のダンジョンやモンスターは消えない気がします。そちらも冒険者を中心にして対応できるようにした方がよろしいかと思います」
「わかりました。伝承の時代に戻るということなら、国としても対応はすることになるでしょう。アイバ様に救っていただいたのですから、それに報いるためにももう一度国を整えたいと思います」
「ええ。それでは失礼いたします」
というわけで、再度色々褒賞を渡そうとしてきた女王を振り切って、俺たちは異世界を後にした。
青奥寺たちもかなり満足はしてくれたようだが、ちょっと大事が多すぎて彼女たちの活躍の場が少なかった気もするな。
今度はダンジョンアタック目的で遊びに来てもいいかもしれない。覚えた魔法をぶっ放すにしても、元の世界は制約が多すぎるからな。