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28章 異世界修学旅行その1  11

『ウロボロス』へと帰って一泊した翌朝、俺は全員を『統合指揮所』へと集めた。


「さて、今日はダンジョン化、青奥寺たちの言葉で言うと『深淵窟』化した遺跡の調査に向かう。情報によるとモンスターがぞろぞろ出てくるようだが、このメンバーならなんの問題もないと思う。ただ清音ちゃんと三留間さん、そして九神は非戦闘員になるから、彼女たちを守ることは忘れないように。まあ基本俺がフォローはするから気楽に行こう」


 俺が予定を伝えると、双党がビシッと手をあげた。


「遺跡調査の目的はなんでありますか!」


「あ~、まあどんな感じでダンジョン化しているかを見てみたい。具体的には俺が召喚された時代のダンジョンとどう違うのかを確認したい」


「教官殿が経験したダンジョンはどのような感じだったのでありますか?」


「誰だよ教官って。まあいいや、俺が知ってるダンジョンは、あちこちからモンスターが湧き出てきて、ところどころに宝物があったりして、最下層にはボスがいて、ボスを倒すとやっぱり宝が出てきたりする感じかな。中には特別なダンジョンもあって、古代文明の魔道具とかがあったりもしたな」


「ではこれから行く遺跡にもお宝がある可能性があるのでありますか!?」


「どうだろう? でも基本見つけたら王家に献上しないといけないって執事さんが言ってたな」


「ええ~、それじゃつまらないですぅ~」


「そうはいっても多分俺が持ってるようなアイテムしか出てこないと思うぞ」


「教官殿が持ってるアイテムを知らないからどう反応していいか分かりませんっ!」


「あ~、まあそうだな。そのうち勇者コレクションは見せてやろう。というか『ウロボロス』の格納庫に展示場でも作るか」


 と言うと全員の目が一斉に輝きだした。


 新良の光のない目まで輝いてる気がするので、多分展示場は作らないとダメなやつだな。


「……それはともかくとして、今日は遺跡に向かうことにする。全員装備はいいか?」


 一応確認はするが、昨日のうちに装備は整えておくように言ってあるので問題はない。


 青奥寺たちはいつもの武器を携えていて、清音ちゃんたち非戦闘員にも防御用のアイテムを貸与してある。


 双党の『ゲイボルグ』だけは向こうの『定在型深淵窟』で他の隊員が使うので置いてきたが、昨日買った魔導銃を持っているので問題なさそうだ。しかし魔導銃があまりに簡単に買えるのには驚いた。一応女王陛下から移住許可証みたいな身分証明書をもらっていたおかげもあるのだが……まあ魔法がある世界だし、武器の扱いは相当に緩いのだろう。


「よし、じゃあ出発。『ウロボロス』、転送を」


『はい! 転送しまっす』


『ウロボちゃん』の声とともに、俺たちは光に包まれた。




 転送先は、とある森の中の空き地のような場所だった。


 もちろん周囲に人の目や大型の動物などがいないのは確認済みである。


 周囲を見回すと全周囲が背の高い樹木に囲まれているが、南北に車が通れるくらいの林道が通っている。しかも真新しいわだちがあるので頻繁に車両が行き来しているのが分かる。


 要するに俺たちが転送されたこの場所は、森の奥にある遺跡に続く道の途中というわけだ。


「じゃあ遺跡まで歩いていくぞ。途中モンスターが出る可能性もあるから気を抜かないように」


 俺を先頭にして11人でぞろぞろと林道を歩いていく。清音ちゃんがいるのでペースは少し遅めである。といっても遺跡までは1キロくらいなので、15分ほどで目的地に到着する。


 周囲には車両が一台もないので今日は俺たちが一番乗りということらしい。


 それは遺跡というよりは、ただの石造りの蔵のような建物だった。


 しかしその開きっぱなしの入口から中を覗くと、奥が見えないほど通路が続いているのがわかる。つまり超常的な力によって空間が拡張されているわけだ。


「これは……『深淵窟』とまったく同じですね」


 青奥寺の指摘通りで、ダンジョンと『深淵窟』は、表面的な現象としてはほぼ同じである。


 初めてのダンジョンに不安になったのか、清音ちゃんが俺の袖を引っ張って見上げてくる。


「なんかすごく嫌な感じがします。前に先生とリーララちゃんとで入ったあの『次元環』ていうのに似てる気がします。奥にモンスターがいるからですか?」


「その通りかもしれないね。でもここにいるお姉ちゃんたちはみんな強いから大丈夫だよ。リーララも魔法だけは強いし」


「はあ? なに魔法だけって」


 膨れるリーララを無視して、清音ちゃんがさらに俺の腕を強くつかむ。


「お兄ちゃんも守ってくれますか?」


「それはもちろん。お母さんとも約束したしね」


 と答えると、清音ちゃんはにっこり笑ってから、リーララの方に向かって胸を張って自慢そうな顔をしていた。張り合っているみたいで微笑ましいね。


「さて、じゃあ入るか。モンスターが現れたら倒していいけど、深追いは厳禁ってことで注意してくれ」


 カーミラにしんがりを頼み、俺が先頭となってダンジョンへと入っていった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 清音ちゃん… やっぱ君も(美)魔女の血筋だよ…w [一言] >新良の光のない目まで輝いてる気がするので、 あの新良の輝き不備な目を輝かせるとは… 是非見てみたいものですな!! もちろん目…
[一言] 物騒な修学旅行だなぁw 修学旅行というか、研修ぽい
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