1章 → 2章
―― とある生徒たちのSNS
みそ「で、結局リリは先生の正体はつかめたの?」
リリ「依然として不明。私は正体不明者として扱うことにした」
加賀「え~、リリの科学力でも分からないの? やっぱり勇者っていうのが本当なのかなあ?」
みそ「そんなはずないでしょう。あれはふざけた形ではぐらかしてるだけだと思う」
加賀「自分は勇者だ、って自分自身に暗示をかけることで正体を隠す、みたいなテクニックかな」
リリ「少なくとも先生は自分が嘘をついているという自覚はなさそう。加賀の言う通りかもしれない」
みそ「でも正体はともかく、どの程度の力を持ってるかは見極めないと。師匠も乙を一撃で倒せる人間なんて聞いたことがないって言ってるし」
加賀「CTエージェントを行動不能にしたり、壁に穴開けたり、ちょっと謎の技術を持ってるんだよね~」
リリ「スーツと互角以上に戦える人間は、『違法者』以外はありえない。でも調べさせてもらったけど強化処置の跡はなかった」
加賀「えっ!? 先生の身体を調べたの?」
リリ「スキャンさせてもらったけど、完全に普通の人間の身体だった。でも筋肉は異様に発達してた」
みそ「筋肉って服脱いでもらったってこと? 先生の裸を見たの?」
リリ「そう。あれは相当な実戦を経験していないと作れない身体だと思う」
加賀「写真! 写真は撮ってないの!?」
みそ「落ち着いて。リリ、情報の共有は必要だと思う。もし写真があるなら見せて欲しいのだけど」
リリ「さすがに写真は許可されなかった。でも多分言えば見せてくれると思う」
加賀「じゃあ今度お願いしてみようかな」
みそ「さすがにそれはダメでしょ。というか普通に見せてくれないと思うけど」
加賀「不公平だって言えば行けないかな。みそも見たいでしょ?」
みそ「いえ別に私は見たくないけど」
リリ「さっき見せて欲しいって言った」
みそ「それは情報共有の必要性があったからで、私が見たいわけじゃないから」
加賀「ふ~ん。じゃあ私一人で先生の家行って見せてって頼んでみよ」
みそ「そんなことしたら最悪先生が条例違反で捕まるから」
加賀「あ、この間行った時に先生が焦ってたのはそれか。なにもしなくても捕まっちゃうんだよね」
リリ「加賀は先生の家に行ったの? 内部はどんな感じだった?」
みそ「そういう問題じゃないでしょ。加賀、その話詳しく聞かせてもらえる?」
みそ「そもそも先生の家に行くのは失礼でしょう」
みそ「先生にもプライバシーがあるんだし」
みそ「もし何かあったらどうするつもりだったの?」
みそ「加賀は可愛いんだから少しは警戒心を持たないとダメ」
みそ「わかった? わかったら詳細を早く」
加賀「わ~、みそ止まって、ストップストップ!」