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勇者先生 ~教え子が化物や宇宙人や謎の組織と戦っている件~  作者: 次佐 駆人


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20章 ある者の決着  02

 俺がアパートに戻ると、すぐにカーミラも『フォルトゥナ』から転送されて部屋に戻ってきた。


 カーミラも『フォルトゥナ』での避難生活は3日目になるが、初めて転送された時は相当に驚いていたようだ。『あっちの世界』ではまだ星の外に出るという考えがないようで、『宇宙船』という概念すらすぐには理解できていなかった。しかし人間すぐに慣れるものだ。戻ってきたカーミラはすでにいつもの感じでくつろいでいる。


「今日も一日退屈だったわぁ。テレビとネットだけじゃさすがに飽きるわねえ」


「仕事しないでボーっとしてたらそりゃそうだろう。ところで今日決着がつきそうだぞ」


「あら本当? 意外と早かったわね」


「権之内氏が動いたらしい。九神家の御曹司をさらったかおびきだしたかしたみたいだな」


「もうなりふり構ってられないって感じかしらねぇ。クゼーロの方も、だけど」


「そうだな。多分九神家を乗っ取るために強硬手段に出たみたいな感じなんだろう。クゼーロは策士みたいだが、こうなったらもう終わりも近いな」


 俺の言葉が面白かったのか、カーミラは手の甲を口に当てて笑った。


「ふふふっ、実際は先生に睨まれた時点で終わってたんじゃないのぉ?」


「ウチの生徒に手を出さなければ俺も関わるつもりはなかったんだけどな」


「あら、勇者の割には結構ドライなのねぇ」


「勇者をやってるときに色々あったしな。なんでも勇者が解決すると結局はロクなことにならないんだよ」


「碧ちゃんを見た時にも結構平然としてたけど、それも色々あったからってことかしら?」


「ん~、そうかもな。ああいうのを見てなにも感じないわけじゃないんだが、表には出さなくなったかもしれない」


「ふぅん、勇者も大変だったのねぇ」


 とカーミラは納得顔をするが、なんか自然と俺のことを勇者扱いしてんなこいつ。そういえば碧さんの前でも『伝説の勇者』と言ってたし、完全に認めた感じっぽいな。とすればそのうち『勇者教団』とかいうところからなんか話が来るのだろうか。


 そうなったら面倒だな……と思っていたらスマホにメッセージの着信が。どうやら青奥寺たちの準備が整ったようだ。


「生徒が転送されてくるから変なこと言うなよ」


「先生もお盛んねぇ」


「単に皆で今日の作戦に参加するだけだ」


 部屋の中に4つの光が生まれ、青奥寺、雨乃嬢、新良、三留間さんが転送されてきた。さすがにワンルームに6人は狭いのだが仕方ない。双党から連絡が来るまでの辛抱だ。


 それぞれ適当なところに座るが、 雨乃嬢と三留間さんがカーミラを見て目を丸くする。


「相羽先生、こちらの方は……まさか新手のネトラーですか!?」


 雨乃嬢の言葉は相変わらず意味不明である。


「彼女はカーミラといって、もとは敵方の協力者だったのですが、あちらが危険になったので保護を求めてきたんです。色々情報を持っているので助けることにしました」


「うふふっ、カーミラよ、よろしくねぇ。敵方の協力者って言ってたけど、そこまで悪いことはしてないから許して欲しいわぁ」


「俺を亡き者にしようとしたクセによく言うな」


「それだけはごめんなさいねぇ。でもおかげで先生のことをよく知れたし、こうして仲良くなれたんだからいいじゃない」


「仲良くはなってないからな」


「うう、逆寝取りのトラップがこんなにいっぱい。相羽先生の恋人になれても安心できない……」


 俺たちのやりとりを見て雨乃嬢がまた妙な事を口走る。しかもベッドから枕を持ってきて、抱きしめながら顔をうずめてるんだが……なんか臭いをかいでないか? 青奥寺が枕を取り上げようとして奪い合いが始まってるし。


 ふと視線を動かすと、反対側では三留間さんが不安そうな顔でこちらをじっと見ていた。


「三留間さん、もしかして少し不安かな?」


「はい……? あ、いえ、そうじゃないんです。ただ先生って色んな女性と知り合いなんだなって思って……」


「そうかな? 生徒と同僚の先生を除いたらそんなにいないと思うけど」


「でもみなさん美人ばかりで……。すごいです」


 まあ確かに言われてみれば美形の女性ばかりと知り合ってる気はするな。ただ教員になって分かったんだが、生徒ってみんな可愛く見えるんだよな。もちろん異性的な意味ではなくだ。


「たまたまだと思うけどね。それを言ったら三留間さんもその一人だし」


 と言ったら三留間さんは「あ……っ」と言いながら顔を赤くして下を向いてしまった。隣に座っていた新良が光のない目でじろっと睨んでくるのだが、これは自分も褒めろということだろうか。


「ああ、もちろん新良も――」


 と言いかけたところでスマホの着信音が鳴った。相手は双党だ。


「どうした?」


『あ、先生。敵本拠地への入り口が判明したので座標を送ります。そこにある建物の中に変な装置があって、それで移動するみたいです。入り口には『白狐』のメンバーが立ってますので指示に従って来てください』


「わかった、すぐに行く」


『了解ですっ』


 さて、いよいよ作戦開始である。後は出たとこ勝負にはなるがまあなんとかなるだろう。魔王軍拠点へのカチ込みなんて基本全作戦ノープランの正面突破だったからな。今思えば勇者パーティって脳筋の集団だったんだな。


 それを考えればこれから連れていく娘たちは……う~ん、三留間さん以外はやっぱり脳筋かもなあ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 脳筋勇者PTのパワー!に打ち倒されたんなら力こそ全ての魔王軍もまあ割と納得してそう(
[良い点] 雨乃嬢はもうダメだ……完全にNTRに脳を破壊されてしまった…… わりとマジで免疫ない人にはNTRは劇薬ですからね、むべなるかな
[一言] 場所は割れてるんだからわざわざ敵の待ち受けているゲート使わなくても宇宙船の転送で奇襲掛けたほうが良いのでは?
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