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勇者先生 ~教え子が化物や宇宙人や謎の組織と戦っている件~  作者: 次佐 駆人


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18章 食い破る者  01

「えっ、校内合宿ですか? それ面白そうっ」


 双党がツインテールを跳ねさせて叫ぶと、他のメンバーもそれぞれ悪くはない反応をした。


 翌週月曜の放課後、俺は『総合武術同好会』の面々に向かってとある提案をした。


 それは校内にある合宿所を使った『校内合宿』である。2泊3日で校内に泊まり込んで、夜遅くまで鍛錬をしましょうという奴だ。要するに今後に備えて彼女たちを強化したいという話である。


「でも先生、今週いきなりというのは急すぎませんか?」


 青奥寺(あおうじ)の言うことはもっともで、いきなり2日後に合宿をしますなどというのは普通ならまず学校側が通さない話である。


 しかし校長に話をした上で、各部署の『訳知り』な先生にお話を通した結果、あっさりとOKが出た。ちょうど合宿所が空いていたのもラッキーではあった。


「急な話なのは重々分かってるんだが、皆の親御さんなら理解はしてもらえるだろ?」


「私のところは間違いなく大丈夫ですが……かがりは大丈夫なの? 絢斗さんは?」


「私は大丈夫っ」


「ボクも望むところですよ」


 実は『白狐』の二人はすでに東風原(こちはら)氏に内諾は得ているので問題ない。


 新良は「私も問題ありません」と言い、雨乃(あまの)嬢も「ここからの方が大学は近いから大丈夫です」と乗り気である。いや雨乃嬢はどうかと思うのだが。


 さすがに三留間(みるま)さんは無理だろうと思っていると、「絶対に参加します。両親は説得します」と力んでいるので参加しそうだ。三留間さんの家だけは連絡を入れておいた方がいいかもしれないな。


「でも先生、どうして合宿をやろうと考えたんですか? 何か理由があるんですよね」


 まだちょっと納得いっていない感じの青奥寺だが、彼女はきちっとした性格だから仕方ないだろう。


「簡単に言えば、勇者の勘的に今後さらに面倒が増えそうだと感じたからだ。皆最近力をぐっと伸ばしているが、まだまだ足りているわけじゃない。それは分かっているだろ?」


「ええ、それは常に感じています」


「だからちょっとキツめのトレーニングをしてさらに一段階力を引き上げようってわけだ。魔力もそれなりに使えるようになってきたしちょうどいいタイミングだろう」


「なるほど。でもちょっと急すぎる気がして……、まさか先生は近々なにかあると感じているんですか?」


 おっとさすが青奥寺、そこに気付いてしまうとは。


「そう思ってくれて構わない。勇者の勘は悪い方によく当たるんだ。信じてもらって大丈夫」


「それって信じたくないやつだと思いますっ」


 双党が手を挙げると、絢斗が訳知り顔に苦笑いをする。すでにクリムゾントワイライトの精鋭が現われたという情報は『白狐』内で共有されているだろう。


「そんなわけでこれが一応計画書と参加申込書な。名前と判子つけて当日までに持ってきてくれ」


 おれがプリントを配ると、彼女たちは目を通してそれぞれバッグにしまった。いち早くしまい終えた双党が俺の前に戻ってくる。


「そうだ先生、ご飯はどうするんですか? 合宿所で作るんですよねっ」


「あ~、弁当を取ろうかと思ってるんだが、作った方がいいか?」


「美園とか璃々緒とか料理が上手な人がいますから、作った方がいいと思います」


「いやお前も作るんだよな?」


「私は味見担当で頑張ります。あと買い出しも任せてください」


「お前なあ……。皆はどっちがいい?」


 俺が聞くと、全員が「作る方で」と言ってきた。ええ、そこは面倒だから弁当で、って言うと思ったんだが。


「皆料理するのが好きなのか。男とは考え方が違うんだな」


「女子だって料理は基本的に面倒ですよ。でも()()()()()()()がいれば別じゃないですか。そこは先生も理解しないと」


 そう言って双党が意味ありげな目で見上げてくる。というか全員の視線が俺に向いているような……。


「ふむ、皆で作って皆で食べ合うのが楽しいってことか? まあそういうことなら分からなくはないか」


 俺の渾身の分析になぜか皆一斉にはぁ~とか溜息をつき、一斉に帰り支度を始めた。


 え、なんなの? 違うなら違うで指摘してもらわないと勇者も学習できないんだが。いや先生さようならじゃなくてさあ……。


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― 新着の感想 ―
[一言] (フラグを)食い破る者
[良い点] これは、分かってて分からないふりとかしてそう?余りにも攻略対象がアレ過ぎて無理じゃね? やはり年齢か…
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