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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

今日から学校と仕事、始まります。②莞

”せきか”しちゃっていいんですか?

作者: 孤独

石化。

RPGの状態異常だとかなり厄介な部類の状況だろう。ゲームによっては、そのままゲームオーバー扱い。

そして、漫画やアニメにおいても。

一部の人達には人気を博するジャンルであろう。


「お願いだ。女性を石化する能力をくれ!!」


男性は彫刻家を目指していたのか。

自らの才能では、その道で生きていく事はできずに自殺を図ってしまった。

人物を描くことだけは死んでもなお好きであり。もう一度、人生をやり直せるのなら。一度の失敗を知っても選べるくらいの志があった。

だからといって、そんな能力を欲するものだろうか?



「自然体の姿を形にしたいんだ」

『そうなのかい?』


白い世界の神様は、彼が死を選んだものの。真面目に向き合ってきた生き様を知っていた。



『でも、個人的に好きなんでしょ』

「そ、そりゃあね。身体のラインと決められた表情に萌えておりました……って、やかましい!」


死んでも一人ノリツッコミをこなすくらい、余裕のある自殺者だった。

この魂は次の生物でも、自分の本能のまま。悔いなく生きそうだ。


『まぁ、あったかな。そんな能力。時間停止とかはあるけど』

「そっちの方が有用じゃないか!」

『いや、それはそれで良くないだろう』


神様は求めることに適した能力を検索中…………。そして、見つけ出す。


『あったあった。何種類か出てきたけど、スタンダードに光線を浴びせた人間の”せきか”になる能力でいいよね?』

「凄くシンプルじゃないか。光線で石化なんて!!アニメや漫画の定番じゃないか!これで未成年の石化した女性達が僕のアトリエに置かれるというわけか」

『やっぱり貸すの止めようかな?まぁ、次も彫刻家を目指すといいよ』



◇        ◇


前世はイタリアの売れない彫刻家。

しかし、今は日本の美大生という設定で蘇った男。それもただの蘇りではなく、人を石化させるという物騒な能力を携えた。


「ふふふふ、この両目に見つめられた者は石化されるのだ」

「なにブツブツ言ってんのあんた。キモイんだけど……」


美大の女性同級生を誰もいない教室に呼び、手にいれたこの力で石化!家に持ち運んで、その後はグフフのお楽しみタイム……。


「”ゴルゴンビーム”」

「きゃーーーーー」


彼の両目から放たれる光線によって、彼女の身体に変化がやってくる……。そして、使用者の彼にも特別な変化が……。

そして、そんなやり取りを外の窓から見ている老人と女子大生。


「あ、やばいなぁ!もう使っちゃったよ!」

「なにが”やばいなぁ”よ。ロクでもない能力を人に貸すわね、アシズム」

「だって、男の人達がマニアック過ぎる能力を開発し過ぎるからだよ。うっかり間違えちゃったよ、灯ちゃん」

「そーいう能力は貸さないことよ。あの男は殴って気絶させるから、能力を回収しなさいよ」


などという会話のやり取りがあった。

そして、教室の中に戻れば。”せきか”するビームを放った彼が


「ははーーーっ、どうか私の腰にお座りください!!」

「……はい?」


床に四つん這いになって、彼女に座ってもらうようにアピールする彼。


「キモイんですけどーーーー!!」


当たり前だが。その通り。そんな台詞を吐いて、逃走する彼女。呼び出した男は追いかけてこない。一体なんだったのかと、不安しか感じさせない状況。

全力疾走し、校内の食堂に逃げ込んだ後。自販機のジュースを買って、



「マジになんだったの……」


食堂の椅子に座る……。すると、


「お座りいただきありがとうございます!!」

「!!?ぎゃーーーーーー!!」


食堂の椅子がいつの間にか、先ほど呼び出された男にチェンジしている。瞬間移動にビックリしたのではなく、椅子が男になっている事にビビリ散らす。

ジュースをぶっかけ、再び逃走。


「なになになに!!?」


たまったもんじゃない。学校外に出て、通学に使って来た自転車に乗り込もうとすれば


「さぁ、早く私の尻にお乗りください!!」

「いやああぁぁっ!!私の自転車の座椅子に男が張り付いてる!!」


再び逃走。ならば今度は、大慌てでバスに乗り込む。心臓が止まりそうなくらいの恐怖を感じ、1人座席に腰を降ろすと、


「バスの椅子でもどこでも、私はあなたの椅子でございます!!」

「ぎゃーーーー!?なんでこれも!?」


一瞬にして、あのキモイ男が椅子になってしまう!彼女が座るという行動をとった時、その下には必ず、能力を使った男がいるのだ。それも性格を歪められて……


「床に座っても、うつ伏せになることであなたのお尻に埃すらつけません!!」

「キモイわ!!お前という埃がついてるわ!!」



”席化”

対象者に光線を浴びせる事が発動条件。

この光を浴びた対象者は、座る行動をとる度に能力者と触れ合ってしまう。

罵声好きなどMであり、陰湿過ぎるストーカーが開発した変態能力。


「いや、ホントに大変な事になった……」

「他人事にすんな、アシズム!!瞬間移動されて追いかけるのが大変なんだけど!!」


男を気絶させ、逮捕し、与えた能力を回収するまでに4時間。

被害女性への謝罪に1時間掛かってしまったアシズムと山本灯であった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 何故【トイレ】に誘い込まないのだろう…。 密室&一発逮捕案件なのに…。
2020/10/03 10:55 退会済み
管理
[良い点] 石化にかわる能力の代わりとして席になる……斜め上かつ異様な能力がコミカルに描かれていて、面白かったです。 [一言] 短めながら面白い内容でした。
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