表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
茶道部の冷徹な彼女  作者: re
5/11

第五話

  あの不名誉な事件以降、俺は茶室から足が遠のいていた。

  加えて今日は仏滅だ。

  さすがに行く気が起きない。

  しかし今日は千歳先輩との約束を果たすため否が応でも茶室に向かわなければならない。

  もうどうにでもなれ。

  茶室には美南先輩と鈴鹿、そして千歳先輩がいた。

  千歳先輩が部活にたまたま来るなんてことはない。

  先日交換したメールであらかじめ呼んでおいたのだった。

  鈴鹿は美南先輩にマンツーマンで点前を教わっていた。

  背筋を伸ばしえらく真剣な表情だった。

  千歳先輩は興味なさそうに左手では黄色い髪を、右手では携帯をいじくっていた。

  

「よおっ」

  と手を上げると、

「あいさつ」

  間髪いれず、氷柱のように鋭い声。

「ごっごめん。こんにちは」

「あら一色君」

  美南先輩が今日も惜しみなく微笑みを分け与えてくれた。

  こんな稽古嫌いの後輩にも優しいなんて人格者すぎる。

「あれ、さくらさんは今日、休みですか?」

「うーん。ここ最近来てないわね。でも料理部との掛け持ちだからしょうがないわね……」

  違うんです……多分俺のせいで来づらくなっているんです。

「一色君も久しぶりね。やっとやる気になってくれたのかしら?」

「いや、そういうわけじゃ……むにゃむにゃ」

  茶道部なだけにお茶を濁した。

「ねえ。今でも男が茶道なんてって思ってる? でも、もともと茶道は男性のものだから恥ずかしがることはないわよ。室町ぐらいから歴史が始まって江戸時代まで、茶道をやってたのはみんな男性。女子は明治時代になってからやっと教養としてやるようになったのよ。旭先生の口癖は、茶道は結局男性のもの。でも私は、だからこそ女性がやったほうがいいと思うの。男性社会だから、必然的に女性は慎み深くおしとやかにならざるをえないじゃない。戦国時代の武将もよくやっていたし。昔は秘密の会合場所として茶室を利用していたみたいね。ほら秀吉の黄金の茶室は有名でしょ。ただ私は千利休を切腹に追いやった秀吉はいまいち理解しかねるわ……」

  急に何かのスイッチが入ったらしい。

  マシンガントークが始まった。

  

  見かねた千歳先輩が携帯をしまいながら、

「ねえ美南先輩。新入部員も入ったことだし、親睦を深めるために今度の休みに集まって遊ばない?」

  と、割って入ってきてくれた。

「えっ。ああそうね」

  美南先輩がはっと我に返る。

「でもごめんなさい、私その日は塾なの」

  申し訳なさそうに言った。

「そうですか……。先輩受験生ですもんね」

「それに、北斗はサッカー部があるかもしれないし……」

「それなら大丈夫。明日のサッカー部の練習は午前中だけって言ってたから。午後から集まることにしたらどうかな?」

「あら千歳ちゃん。私より弟の予定に詳しいのね」

  美南先輩はクスクスと笑った。

「まっ真夏ちゃんは予定大丈夫?」

  照れを隠すように千歳先輩が尋ねた。

「あっはい」

  鈴鹿も不遜で高飛車なやつだが、人の恋仲を邪魔するほど野暮じゃないだろう。

「でもさくらちゃんはどうしよう……」

  千歳先輩がはたと気づいたように言った。

「いいですよ、私が後で電話して訊いてみます。学校には来ていたから体調悪いってわけじゃなさそうだし」

  と、鈴鹿が連絡をつけてくれることになった。

  さくらさんに弁解ができていない今、しかも休日に会うなんていうのはどうも具合が悪い。

  しかしここで反対するのもそれはそれでおかしい。

  まあ案ずるより産むが如しっていうし、なんとかなるか。

  

「いいじゃない、みんなでどこか行ってきたら。私とはまた来週茶室で会いましょう」

  美南先輩には悪いが、今回は先輩抜きで遊ばせてもらおう。

「ところで……、どこに集まりますか?」

  俺は千歳先輩にパスを送る。

「うん。やっぱりこの辺で遊ぶなんて駅前のラウンドワンくらいじゃないかな。最初だしオーソドックスにどうかな?」

「俺はいいっすよ」

  素知らぬ体で同意する。

  鈴鹿も頷いた。

「じゃあ二人とも、今度の土曜午後一時にラウンドワンに集合ね。またメールするから。北斗には私から連絡しとく」

  千歳先輩はこれだけ決めると、もう用は済んだとばかりに荷物をまとめて一文字に帰って行った。

  

  土曜日。昼。

  カーテンの隙間から光が漏れている。

  うらうらとした心地いい気候だ。

  こんな日を行楽日和というのだろう……寝ぼけまなこで枕元の時計を見た。

「……。やばい遅刻だ」

  原因は明白だった。

  明け方近くまでゲームに熱中したのがやはりまずかった。

  遅刻なぞしようものなら、また鈴鹿のえげつない角度からの人格批判が始まる。

  クローゼットから適当に服を引っこ抜き、急いで着替え、取るものもとりあえず家を出た。

  自転車のギアを上げ一心不乱ペダルを漕ぐ。

  この分ならなんとか間に合いそうだ。

  はあはあと、息を切らしながらあわてて向かうと、入口にはすでに千歳先輩、鈴鹿、さくらさんが勢ぞろいして待っていた。

  

  千歳先輩は想像通りの服装なりだった。

  薄いインナーに、よくわからないがトレンドっぽいショールを肩から掛けていた。

  鎖骨がきれいに浮き出て、屈むと胸の谷間が見えそう。

  高校生がこんなに肌を露出していていいのか? 

  悪い輩に声掛けられそうだ。

  鈴鹿は……、白いワンピースに青のリボン。

  そして小旅行にでも行くような大きな鞄……乙女はいろいろと入用なのかな? 

  それにしても普段はこういう恰好をしているのか……。

  黙っていれば、その、かわいい普通の女の子なのに……。

  心なしかお化粧をうっすらしているようにも見えた。

  チャライ輩に声を掛けられても知らないぞ。

  

  さくらさんは……頭にヘッドドレス!? 

  首から下は……

「ゴスロリ!?」

  その奇抜な衣装に思わず驚愕し、声をツートーン荒げてしまった。

  なんでゴスロリ……。

  ふりふりのフリルにレース、白手袋に小さな可愛らしいポーチを持ち、しっとりと佇む姿は、まるで何かのアニメキャラのよう。

  最近の若い子って怖い……。

  久しぶりに会うがやっぱり不思議少女だ。

  いや、もしかしたら俺が無知なだけで、今流行の違う惑星からやってきたお姫様なのかもしれない。

  そういうことにしておこう。

  けれどもこの格好なら、声は掛けられなくて済むだろう。

「ぎりぎりセーフね。まったく一秒でも遅れたら、猫パンチだったのに」

  鈴鹿がボクシングポーズをしながら珍しく可愛いことを言うが、なぜか残念顔だった。

  実際に遅れていたら何パンチをされるか知れたもんじゃない。

  一方さくらさんは居心地が悪いのか、俺が来た途端そっぽを向いてしまった。

  

「あれ、北斗先輩は?」

  俺は気を取り直し千歳先輩に尋ねた。

「うん。さっき北斗からメール来て『サッカー部終わったから向かってるよ』だって。かっこいいー」

  何がかっこいいのだろう……? 

  俺のつたない国語力ではいまいち理解に苦しむ。

  きっと脳内で自動的に、格好いい補正がされているのだろう。

「千歳先輩、暑いし先に中に入りませんか?」

  鈴鹿が提案し、千歳先輩も「そうね」と歩きだした。

  さくらさんも黙って後に続く。

  早くも弁解するチャンスが到来した。

「あのっ。さくらさん」

  俺は背後からこっそり声をかけた。しかし、

「……」

  さくらさんは髪を軽く掻き上げるだけで振り向かない。

  これは声が聞こえていないから無反応なのではない。

  明らかに俺を無視している。

  廻り込んでみたものの逆方向にすたすた行ってしまう。 

  俺はそれほどまで嫌われてしまったのか。

  ……あゝ麗はしい距離デスタンス

  だが無視は慣れっこだ、全然平気、と慣れないポジティブシンキングをするものの……グズン。

  

  受付前の椅子に四人座って北斗先輩を待つ。

  さくらさんは俺から距離をとった。

  それを見かねた鈴鹿が、

「私も協力するから、今日中にどこかでちゃんと説明することね」

  耳元に唇を寄せ、手で覆いながらささやいてきた。

「ああ。そうだな……」

 そうは言うもののさっきの様子だと、大分ご立腹のように思える。

  ここはひとまず様子見だな。

  人生は進むばかりではなく、一旦立ち止まってみるということも大事だろう。

  そういえば、まだ遊ぶ前なのに妙に喉が渇く。

  ここまで自転車で飛ばしてきたから当然っちゃ当然か。

  自動販売機でジュースでも買おうとポケットに手を突っ込んだ。

「……財布忘れた」

  どうりで身軽だと思ったんだ。

  何も持たずに家を出てしまったのだ。

「はあ? 余裕を持って行動しなさいといつも言ってるでしょ!」

 鈴鹿が学校の先生のように一喝してきた。

「ごっごめんなさい」

  思わず俺も小学生のように謝ってしまった。

「申し訳ないが……鈴鹿、あのー、ちゃんと返すから……お金貸してもらえないか?」

「はー……まったくしょうがないわね。今日は特別に貸してあげるけど、今回だけよ。今度茶室で返してね」

「おっおう。悪いな。サンキュ」

  さくらさんと相対的に、いつも手厳しい鈴鹿が、今日は少しばかり優しく感じた。

  女の子にお金を借りるなんて……。

  

  俺は少々バツが悪くなり、意味もなく辺りをきょろきょろと見渡した。

  あれ? なんだこの視線? 

  どことなく周りがじろじろとこっちを見ている気がする。

  しかも女の子達を一通り眺めてから最後に俺の方を見て、いかにも訳が分からないという失礼千万な顔をしやがる。

  だけど、考えてみりゃそりゃそうだよな。

  傍から見ればどんなハーレムだよ。

  でも実際は、俺なんか全く眼中にないギャル先輩と、お堅く厳しい帰国子女と、俺を変態だと無視するゴスロリ少女の三人。

  ああ北斗先輩が待ち遠しい。

  白馬に乗って颯爽とやって来てくれ。

  

「お待たせ。おそろいだな」

  俺が三面楚歌状態でいると、やっと北斗先輩が到着した。

  いつも通りの、スポーツマンらしい爽やかな登場だった。

  白シャツのシンプルな格好は、浅黒い肌によくマッチしている。

  部活後だというのに汗一つかいてなかった。

  途端に、千歳先輩の目が煌き女の顔になった。

  それを鈴鹿がじっと見ていた。何か勘づいたのだろうか。

「ごめんね。部活の後なのに。疲れてるでしょ。のど渇いてない?」

 千歳先輩はもじもじしながら訊いていた。

「全然。元気元気。っと俺まだみんなの名前覚えてないんだよな」

  俺達はそれぞれ自己紹介をした。

「イッシキコウイチ!? 変な名前だな。一色君ね」

「はい……」

  確かに変だけど、そんなはっきり言わずもがな……。

「そっちは真夏ちゃんとさくらちゃんだね。俺かわいい子の名前はすぐに覚えるから」

  と事もなげに言った。

  面映ゆいのか、二人とも火照ったように顔に手を当てていた。

  とても俺には真似できない。

  一方、千歳先輩は頬を膨らませ、口を鳥のように尖らせていた。

  ……いくらなんでもわかりやすすぎる。

  

「じゃあ、まずは卓球でもしようか?」

  さすが北斗先輩、リードもいたって自然だ。

  もちろんこの中に反対する者はいない。

「せっかくだからダブルスでやりませんか。二年生チームと一年生チームというように」

  俺は事前のプランに則り、千歳先輩と北斗先輩を自然に絡めようと尽力する。

  「審判は引き受けますよ」

  と買って出た。

  こういう役目は俺が似合っている。

  ところで……さくらさんはここに来てからほとんどしゃべらない。

  千歳先輩は北斗先輩に夢中だし、北斗先輩は卓球を楽しむ気まんまんで気にするそぶりもない。

  鈴鹿は事情を知っているから、時々こっちに目をやってくれるが何もしてはくれない。

  のんきに月下氷人なこうどしている場合じゃないんだよな。

  俺の仲も取り持ってほしい……。

  

  北斗先輩は卓球でも抜群の運動神経を見せた。

「よっしゃー。一年だからって手加減しねえぞ」

  ドライブがかかったキレのあるサーブ。

  鈴鹿が素早く打ち返す。

  千歳先輩は空ぶる。

「なーにやってんだよ」

  北斗先輩がきれいな白い歯を見せた。

「ごめん北斗。次はがんばる」

  千歳先輩があごの前で手をぎゅっと握った。

  できない振りをしてかわいいアピールだろうか? 

  いかにもあざといが、鈍感な北斗先輩に利いているかどうかは分からない。

  まあ共同作業すること自体はプラスだよな。

  さくらさんといえば……、想像通りだった。

  打つ前にもう目を瞑ってしまっている。

  ラケットはむなしく空を切る。

  そもそもゴスロリで卓球すること自体が奇妙奇天烈だ。

  記念にこっそり写真でも撮っておこうかな。

  だがまたしても、盗撮魔なんてあらぬ誤解を生む元になるかもしれない……止めておこう。

  

  予想外だったのは鈴鹿だ。

  彼女は長い髪を後ろで縛り準備万端。

  左右に動くたび、馬の尾のように髪がなびいた。

  別に運動のイメージもなかったのだが、ひらひらのスカートをひるがえしながらのカット。

  カットに次ぐカット。

  おい、そんなに動くとスカートの裾がめくれるぞ。

  卓球台に隠れてはいるが、角度によっては危ない……。

北斗先輩のコーナーぎりぎりの強烈スマッシュもひたすらカット。こいつカットマンだったのか。確かに俺の言うことをよくカットするよな。

  飽きもせずカットでひたすら粘る。

  執念深い。

  卓球というより、そういう動きのダンスみたいだ。プロのスポーツ選手や棋士には、プレイスタイルと性格が全く違うタイプと同じタイプがいるらしいが、鈴鹿は絶対後者だ。

  なかなか気難しい奴だけど、こっちが勝手に見構えているだけで、案外わかりやすい奴なのかも知れない。

  最終的には北斗先輩と鈴鹿の、根競べ一騎打ちみたいになってしまった。

  

  あっ、さくらさんのラケットに当たったボールが浮き上がった。

  その瞬間、北斗先輩のスマッシュが炸裂する。

  鈴鹿はぎりぎりカットできそう……だったのだが、もう一歩ラケットが届かなかった。

  技術的には同じくらいでも、体力面では少々劣っているようだった。

「おい、交代だ!」

  俺は審判を鈴鹿に任せた。

「北斗先輩。まだ疲れてなんていませんよね?」

  腕をぐるぐる回す。

「問題ない。一色君は運動はどうなの?」

  そう楽しそうに言うや、北斗先輩の弾丸サーブが飛んできた。

「人並ですよ」

  と答えるが、運動は苦手だ。

  だが、ペアのさくらさんがいる前で無様な醜態をさらすわけにはいかない。

  嫌らしいスピンをかけて返した。

  千歳先輩が打ち返すもボールが高く浮く。

  バウンドして跳ね上がったところを、さくらさんが叩きつけた。

  会心の一撃。

「やったー」

  さくらさんが満面の笑みでハイタッチを求めてきた。

  現在気まずいのだが……断るのも変だよな。

  「いえーい」

   パチン。

  「……」

  するとさくらさんは、しまったとでも思ったのだろう、顔を赤くして怒ったように髪を撫で始めた。

  そして俺と目を合わせないようにあさっての方を向いてしまった。

  鈴鹿に助けを求めようと、ちらっと見るが、「一―〇」と淡々と言うだけだった。

  はーあ。

  

  その後、北斗先輩は俺達じゃ役不足だと感じたのか、もしくは単純に飽きてきたのか、今度はバドミントンをやろうと提案した。

「いやもうへとへとですよ」

  俺は肩を下ろし中腰になる。

「なんだ一色君。体力ないな」

「ビリヤードかボウリングならいいですけど……」

「ビリヤード? そういえば久しぶりだな。やってみるか。どうだ千

歳?」

動き回って暑かったのだろう、千歳先輩はトップスをパタパタやっ

ていた。ふいに声を掛けられ、一瞬恥じらうものの、もちろん首を縦に振った。

  ビリヤードでも北斗先輩と鈴鹿は抜群のセンスを見せしのぎを削った。

二人のボールは自然とポケットに吸い寄せられていくようだった。結局センスのあるやつは何をやっても上手いんだなという教訓を、

俺はこのとき得た。

       

「北斗。はいコーラ」

  千歳先輩が北斗先輩の頬に缶を当てた。

「うわっ、つめてー」

「えへへ」

「サンキュー、気が利くな」

  と言い蓋を開け、「ぷはー」といい飲みっぷり。

「今日は部活よりいいトレーニングになったなー」

「なんだかんだ集まって良かったねー」

「でも卓球のときはひどかったな。なんだよあのフォーム。教えてやるよ。こうだよこう」

  北斗先輩が千歳先輩の手を取り教え始めた。

「こっこうかな……」

  千歳先輩は終始照れ顔で、ふにゃふにゃと、体に全然力が入っていない。

「違う違う。お前はダメウーマンだな」

  ポンポン頭を叩く。

  なんだかすごくいちゃついてるぞ。

  傍から見ればバカップルだ。

  でも北斗先輩に好印象を持ってもらえたなら、今回計画を立てたかいがあった。

  作戦はいたって順調のようだ。

  

  俺はいちゃいちゃしてる先輩達を、見てるのも恥ずかしくなったので、その場から離れ、鈴鹿とさくらさんの方へ歩み寄る。

  しかしあまり近づきすぎるのもいかがなものかと、適度なポジションをとり、得意の聞き耳を立てた。

「真夏ちゃんは何でもできるんだね」

「そんなことないわよ」

  鈴鹿は足をストレッチしながらはにかむ。

「だって卓球もうまいし、ビリヤードだってはじめてやったんでしょ。運動神経もいいし、英語だってぺらぺらだし。勉強もできて……スタイルもよくて……すごいな……」

「そっそんなこと……」

  鈴鹿が否定しようとすると、

「そんなことあるよ」

  さくらさんが優しく肯定した。

「……ねえ、さくらさん。確かに私は、昔から足も速かったし、体操も水泳も球技もなんでもできたわ。でもそれは生まれつき。別に努力で身につけたものじゃないわ。英語だって帰国子女だからできて当然。別に誉められるようなことは何もしてないわ」

「別にさくらはそんな意味で言ったんじゃ……」

  と目が潤む。

 鈴鹿は、はっとした表情をした。

  それはさくらさんの泣きそうな声というよりも、自分の思いがけない言葉に驚いたようだった。

「ごっごめんなさい。私……素直じゃないわね。素直にありがとうと言えなくて……」

  と、さくらさんの肩を抱いた。

「私、本当はさくらさんがとってもうらやましいの。すごいのはあなたの方よ。素直に気持ちを表現して行動できて。天真爛漫とはあなたみたいなかわいい女の子のための言葉ね。今日も人の目を気にしない個性的なオシャレ。私は大好きよ」

「そっそうかな……」

  さくらさんは手を広げ自分の服装を眺めた。

「ふふっ、いちいちかわいい仕草ね」

「やっぱり真夏ちゃんにそう言ってもらえるのが一番嬉しい」

「なんで? 私なんか……」

「真夏ちゃんは特別だから……」

「特別……?」

「うん……。でも負けないから」

「ふふ。さくらさんて不思議ね。私も負けないわよ」

  俺はなぜかここにいてはいけない気持がした。

  ジュースでも買ってくるか。そういえばお金なかった。

  

「ねえ、ところで、この間の一色君のことだけど……」

「誰それ」

  先ほどまで快晴だったさくらさんの顔つきがみるみる曇ってゆく。

  しかし鈴鹿は臆することなく「まあ聞いて」と制した。

  そして大きく息を吸い立ち上がり、

「『俺には友達がいない。だから本が唯一の友達だ。マイフレンドイズブック。しかし不良に本を奪われてしまった。だから急遽コンビニにあるラインナップから選ぶしかなかったんだ。一番面白そうだったのがあのエロ小説だったんだよー』と、こういうことみたいよ」

  鈴鹿は悪意を持って俺の真似をした。

  ……けれど自分で言うのもあれだが似ていた。

「あっはっはっは。何、それ、真夏ちゃん。好一君にそっくりー」

  とさくらさんは大きな口を開け無邪気に笑う。

  もちろんさくらさんからしたら悪気はないんだろうが、それにしても笑いすぎだろ。

  イマイチ釈然としないけど、さくらさんがこんなに笑ってくれるなら……多少内容は違うがまあ良しとしておこう。

「さくらは別に好一君の趣味にどうこう言うつもりはないけど……」

笑いが一段落したのを見計らって、鈴鹿が俺に手招きした。


「ほら一色君。この間のことちゃんと謝りなさい」

  俺はそっとさくらさんの隣に腰掛け、

「あのーこの間はなんか調子に乗って卑猥なことを言っちゃってごめん」

  と頭を下げた。

「ううん。さくらの方こそ、一色君は放送禁止用語でしか表現できない、社会不適合者の変態ニートみたいなこと言ってごめんなさい」

  そんなこと言ってたっけ……?

「まあ事故の一種と捉えてもらえるとありがたい」

「うん。また茶室に行くね……」

  やれやれ、これで一件落着……

「お・に・い・ちゃ・ん☆」

  うわー、やっぱり許してない。

「勘弁してくれー」

「真夏ちゃん、ありがとう」

  頬のえくぼが眩しい。

  まあでも、鈴鹿のおかげでなんとか仲直り出来た。

  

  一安心して北斗先輩と千歳先輩の方へ戻った。

  こちらのお二人さん、少し目を離した隙に、距離がだいぶ縮まったように見受けられる。

「ねえ北斗。これからどうしよっか?」

  千歳先輩は北斗先輩の腕に絡みつく。

  北斗先輩は別に嫌がるでもなく、かといって恥ずかしがるでもなく威風堂々としたものだった。

  事前の打ち合わせでは、ここで先輩達には別ルートをとってもらう予定だが……。

「ねえ、せっかくだから駅前のお菓子屋さんに行ってみるっていうのはどうかしら? お茶に合う和菓子も探したいし」

  鈴鹿が茶道部っぽいことを申し出た。

「もちろん皆さんがよければだけど……」

「いいじゃん。そうしよう。なんたって俺達茶道部だしな」

  北斗先輩も案外乗り気だ。

「そうね」

  千歳先輩はもちろん同意する。

  

  駅近くのお菓子屋さんに向かっている道すがら

「あっ、これさくらちゃんに合うんじゃない」

  ショーウィンドウを見た千歳先輩がテンション高めで叫んだ。

  つられて見るが、ピンクのフリフリとしか俺は認識できなかった。

「あっちのフレアスカートは真夏ちゃんに似合うかも。ねえ北斗、ちょっとだけ洋服見ていってもいい」

「えー女の買い物は長いからな」

  とても高校生の台詞とは思えない。

「お願い。かわいい後輩ちゃんのためにも」

「じゃあじゃんけんで勝ったらな」

「何それ」

「じゃーんけーん……」

  千歳先輩はとっさにグーを出した。

  北斗先輩は出さない……と思ったら後だしでチョキを出した。

「俺の負けだな」

「なにかっこつけてるのよ」

「行ってこい。男二人でここで待ってるから」

  北斗先輩がさらりと手を振りながら言った。

  なんだ、始めから行かせるつもりだったのか。

  女たち三人は意気揚々とオシャレな洋服屋にご入店してしまった。

      

  北斗先輩が俺の横に並び、ガラスに寄りかかる。

  そういえば二人きりで話したことはなかった。

「ねえ、一色君はどっち?」

「ひっ?」

  びっくりして変な声が出た。

「だから真夏ちゃんとさくらちゃんどっちが好みなの?」

「なっなんの話ですか?」

「何って二人とも君のこと好きなんだろ?」

  北斗先輩はさも当たり前のように訊いてきた。

「そっそんなわけないじゃないですか。鈴鹿は俺が辞めたら、部員が少なくなるから付き合いがあるだけで、俺のこと、どちらかといえば嫌悪しているくらいですよ」

「でもそれだけ関心があるってことじゃないの?」

「まっまさか」

「それじゃあもう一人の子は?」

「さくらさんも料理部のついでみたいなもんだから……」

「そう? でもチラチラ一色君のこと見てたよ」

「それは……さくらさんは八方美人というか、誰にでもあんなフレンドリーで距離感の近い子だから、勘違いする男子はいるでしょうね」

「俺の目にくるいはないと思うんだけどなあ」

  北斗先輩は言葉を区切り、天を見上げた。

「天秤にかけて遊んでるんじゃないの?」

「なっ何言ってるんですか。そんなに器用じゃありませんよ。北斗先輩みたいにそんな経験ないですし……」


  動揺を抑えようと視線を変えた。

  目の前の歩道を休みということもあってか、大勢の人間が通り過ぎていく。

  だが俺達に別段注意を払う人はいない。

  今までの俺なら、女の子向けのオシャレな店の前で、こんな風に佇んでいるのはとても不自然だった。

  しかし、街の風景と一体になり溶け込んでいる、そんな今の自分も不思議だが悪くなかった。

  それどころか、何か春風のような心地よさも胸裏では感じていた。

「一色君は、お茶好き?」

  急に北斗先輩が角度を変えた質問してきた。

  話の筋が見えないので警戒しながら言葉を選ぶ。

「ええ。普段はペットボトルの冷たい緑茶を買って飲んでますし。緑茶以外は飲まないですけど……」

「茶道部の抹茶は?」

「も悪くないですね、ただ猫舌なので温めのお茶の方がいいですけど。あまりに熱い場合は氷入れるくらいですから」

「氷!? はは。変わってるね。せっかちなの?」

「そうかもしれません……それより、北斗先輩がお茶の話するなんて珍しいですね。先輩もお茶好きなんですか?」

「俺はなんでも飲むよ。緑茶、ウーロン茶、紅茶、ほうじ茶……。熱いのでも冷たいのでも。まあその日の体調とか気温次第かな」

「そうですよね……」

「それにしても一色君は一途なんだね?」

「はっ!? なっなんの話ですか?」

「お茶の話だよ」

「そっそうですよね……」

 まるで一人相撲しているみたいだった。

  なんか変な汗出てきた。

「で、一色君はどんな女の子がタイプなの?」

  北斗先輩はどうやらこれを聞き出したかったらしい。

「うーん、そりゃ、おしとやかで、優しくて、話の合う子とかですかね……?」

  上げ足を取られないようにぼかして答えた。

「じゃあうちの姉ちゃんなんてどう? 条件にぴったり合致してるん

じゃない? それに弟の俺からいうのもあれだが、なかなか悪くない

と思うけど」

「じょっ冗談辞めてください。そりゃ素敵な人だと思いますけど……」

  再び会話が途切れた。

  薄雲からちょうどいい日差しが地面に降り注ぐ。

  北斗先輩は飽きてきたのかガラス越しに店の中を覗いていた。

  

「千歳は好きだよ」

  突然の告白。

  話が思わぬ方向に移動した。

  先輩の思考回路はこんな風にいつも軽やかなフットワークなのだろうか。

  というか今日のこの計画も全部お見通しだったのか?

「姉ちゃんさ、去年三年生が引退して辞めて、二年生も少ないし、どうなるか不安で寂しかったんだって。そんなとき千歳が入ったってすごいうれしそうでさ……」

  と中を覗いたまま言った。

「その好きって、お姉さんのことは抜きにしてもですか……?」

「あたぼうよ」

……どこの方言?

「……じゃっじゃあ付き合うんですか?」

俺はあえて愚直に訊いた。

「好きなのは間違いない。でも、俺は今のバランスでいいと思っている……やっぱ一人と付き合っちゃうと、みんなからワーワーキャーキャー、ちやほやされないじゃんか」

  北斗先輩が今日一番の子供っぽい笑顔で、こっちへ振り向いた。

  ちょうど日光がガラスに反射し、キラキラと後光が差しているように見えた。

「非モテの俺にはよくわからないですが……」

  不覚にも胸がドキドキしてしまう。

  もし今脈拍を測ったら不整脈と診断されるだろう。

  その会話を最後に、先輩と俺は口を噤んでいた。

  それにしても……いつまで買い物してんだ。

       

  三人娘が店から出てきた。

「おい待ちくたびれ……」

「今度その服着たとこ見せてね」

「うん。迷ったけど買ってよかった。一人じゃなかなか決心つかないから」

「真夏ちゃんもこういう服着ればいいのに」

「えっ私はいいですよ」

  皆それぞれ何かしら買ったのであろう、手に紙袋をぶら下げていた。

「ああ女の子に生まれて良かったな。かわいい服がこんなに安く買えるなんて」

「男物より半額くらいは安いんじゃない」

「お買い得だったね」

  女性同士のおしゃべりは止まらない。

  こうなったら男は弱い。

  俺と先輩は顔を見合わせ、掌を上に向ける。

  そして雑踏の中で見失わないように、おずおずとついていった。

  

  お菓子さんに到着。

  併設のカフェに入る。

  北斗先輩と千歳先輩が隣同士で並び、その向かいの席に奥から俺、さくらさん、鈴鹿の順で腰掛けた。

  ソファー席とはいえ少々きつい。

  隣から柔らかい温もりが二の腕に伝わった。

「私は白玉ぜんざいにしようかしら」

  と鈴鹿はあっさり決めた。

「どれにしようー」 

  さくらさんはメニューと睨めっこしたまま随分悩んでいた。

「そのパンケーキは?」

  見かねた鈴鹿がメニューを指さす。

「うーん。それもおいしそうだけど……ロールケーキもいいなあ」

「じゃあそれにする?」

「あっ、でも、ぜんざいもいいかな……」

「じゃあ、私のと半分個しましょうか?」

「うん」

  そう言ってさくらさんはようやく決めた。

  まるでしっかり者の姉と甘えん坊の妹みたいだな……。

  ちなみに俺はパフェとコーヒー。

  

  注文は通路側の鈴鹿が、いつの間にかまとめてしてくれていた。

  俺達の声が大きかったのだろうか、隣の席のカップルが訝しげにこちらに目を向けた。

  この不揃いでバラバラの集団はいったいなんなんだ、という顔つきだった。

  店員さんが、注文したお茶とお菓子を運んできて置いた。

「ほら、これが干菓子。水分二〇%以下の乾燥したお菓子をいうの。長持ちするから、あたしなんかいつも非常食としてカバンに入れてるもん。それで水分三〇から三五%くらいのは半生菓子っていうの……」と、千歳先輩が珍しく先輩らしい講義を始めた。茶道には興味なくてもお菓子は好きなのだろう。

「休みの日にみんなでこうしてるのって、変な感じだね」

  さくらさんが口いっぱいに、ものを頬張りながら言った。

  失礼ながらハムスターを想像した。

「俺はいつもサッカーで一日潰れちゃうからな」

「さくらも結構外にお出かけするよ。友達とショッピング行ったりね、カフェ行ったりね、カラオケしたり。千歳先輩は?」

「そうねー。あたしも洋服見るの好きだから。見てるだけで楽しいのよね。あとはバイトね。駅前のハンバーガーショップで働いてるから、近くに来たら覗いてみてね」

  と、少し首を傾けた。

「俺はもっぱら家にいてゲームだな。三日やらないと禁断症状の発作が出て、最悪死に至る」  

  と、クールにブラックコーヒーをすする。

「何バカなこと言ってるのよ。課金バカ」

  鈴鹿がいつもの如く冷たい目つきで、茶道部なだけに茶々を入れてきた。

「いや、俺は無課金派の領袖だ」

「一色君は想像通りね。真夏ちゃんは?」

  千歳先輩が訊く。

  そういえばこいつのプライベートは謎だな。

「わっ私は……家にいるかな。映画みたり、犬と遊んだり、ピアノ弾いたり、勉強したり……、休みなんてすぐ終わっちゃうから……」

 一人でできることばっかだな。その点だけは共通していた。


「ねえ、みんな。メール交換しようか?」

 千歳先輩がさも当たり前のように切りだした。

  だが今日一日でだいぶ仲良くなったから別に不自然じゃないか。

  鈴鹿やさくらさんも当然のように交換していた。

  俺は無関係とばかりに微笑ましく見ていた。

「ほら、好一君も」

  さくらさんが輪に入れてくれた。 

「べっ別に構わないけど……」

  なんで俺がツンデレみたくなってんだ。

  我ながらキモいぞ。

 自然な流れでさくらさん、北斗先輩そして鈴鹿ともアドレスを交換した。

  社交辞令かもしれないが、どこか青春の甘酸っぱさを感じ、恥ずかしくなった。

  目線を窓辺にずらす。

  外を見るとあたりはだいぶ暗くなっていた。

  意図せず脳内ににショパンの別れの曲が流れはじめた。

「名残惜しいけど今日はここでお開きにしよう」

と北斗先輩が言った。

みんな遊び疲れて気だるく見えた。

ここがタイミングと、遊び慣れた北斗先輩には映ったのだろうか?


「じゃあな」

  後腐れもなく、北斗先輩は去り際も爽やかだった。

「さてと」

  俺も帰ろうとすると、千歳先輩が近づいてきて、

「今日はありがとう。いい思い出になった。まあ及第点ってとこかな。北斗が幸せそうにしてるのがあたしの一番の幸せなんだなー」

  と、殊勝にそう言って、ぱっくり肌の出ている背中を見せた。

  そうだ、部員集めを頼まなくては。

「あのー約束は……」

「えっなんだって?」

「だから……」

  と言いかけて止めた。

「いえ、なんでもありません」

「そう。ならいいけど」

  やめておこう……今の状態もそんなに悪くない。

  

  さくらさんは駅前で寄りたいところがあるからと、あの恰好のまま一人で行ってしまった。

  あの娘は、始めから終わりまで自由奔放だったな。

  しかしこんな時間にどこに行くのだろう?

「じゃあ一色君。私もそこのコンビニ寄って帰るからここでお別れしましょう」

「ああ」

  そう言って俺と鈴鹿も別れた。

  けれども俺は、こっそり鈴鹿がコンビニから出てくるのを待ち構えていた。

  なんて言うと実に怪しいが、誤解しないでくれたまえ。

  俺にはある一つの疑念があったんだ。

  

  すぐに鈴鹿は店から出てきた。その手にはビニール傘を持っていた。

「やっぱり……」

  と近づく。

「一色君……。どうしたの。まだ帰らなかったの?」

  鈴鹿が気まずそうに答えた。

「なんでビニール傘なんて買ったんだ?」

「それは……」

  珍しく言葉を詰まらせていた。

「……ったく。さくらさんといい、鈴鹿といい、この界隈の女の子の間ではビニール傘を持ち歩くのがブームなのか?」

「別に……家にある傘が壊れたから。それを今ちょうど思い出したから買っただけよ……」

  苦しい言い訳だった。

「違う。お前は卓球のとき足を痛めたんだ。そんな靴でやってんだ、痛めもするだろう」

 鈴鹿は傘をぎゅっと握り締め、気まずそうに、

「……見てたの」

  聞こえるか聞こえないかの声で言った。

「だから傘を杖代わりにして帰ろうとしたんだろ?」

  そう言って俺は無理やり荷物を取り上げる。

「何するの」

「家の近くまで一緒に運んで行くよ」

「たいしたことないから大丈夫よ」

「まあそう言うな。方向は一緒だし。それに俺はお前も知っての通り、自分本位で独善的なジコチュー人間だからな。言っても聞かないぞ」

 俺の強引さにとうとう鈴鹿も折れて、

「じゃあ……それだけお願い。ありがとう」

  といつもと違う、か細い声で応じた。

「黙っていた罰ゲームもしないとな」

「何それ」

「いいから目をつぶれ」

  俺は程良く加減して、額にデコピンをした。

「いったーい。ばかじゃないの。いつかお返しするんだから」

 しかし言葉とは裏腹にあまり怒ってもいないように見えた。

「ばかはそっちだ。俺は自分勝手だからお前みたいに我慢なんてしないよ。……それにしてもこれ洋服か? たくさん買ったんだな」

「うん……。楽しかったから、つい……」

  ……そうか。

  今日は先輩達のためだけにやってるつもりだったけど、鈴鹿にも何かしら影響を及ぼしていたのか……。

  俺は経験したことのない嬉しさと同時に照れも出て、

「足痛いんだったら腕でも組むか? おんぶでもいいぞ」

  と冗談めかして言った。

「ばか」

  そう言って鈴鹿は俺の脚を力いっぱいに踏んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ