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「くそっ!出やがった!」

フィールドには、2体のキマイラが並ぶ。


「気を付けろ!コイツら、みてくれは同じでも弱点違うぞ!右が炎、左は…水だ!」

赤い短髪の青年が、グローブに付いた水晶を通し見て叫ぶ。

「水属性なら私に!ハァッ!!」

茶色の巻き髪を高めに縛った、東洋風の少女が、剣を構えると、剣先から水飛沫が上がる。

「くーたーばーれー!!」

自分の身体の、1.5倍はあろうかという剣を、左のキマイラの首に突き立てる。

「グォォォ!」

キマイラも黙ってはいない。

雄叫びを上げ、炎の燈る固そうな尾先を少女の臀部に直撃させた。

「アァッ!」

形の良い尻が、鎖帷子でできた短パンごと横に裂け血飛沫があがり、身体が宙に浮く。

「クソっ!」

少女は剣にしがみ付き、体勢を整える。

裂かれた臀部からは血が滴り落ち、少女の靴を赤く染める。

「こんなの、大した事ない!後方支援、早く!」

苦痛に顔を歪めながら、少女は首に立てた剣に力を込める。


「フリーズ!!」

空色の髪をキレイに編み込んだ巨乳少女が後ろから叫ぶと、キマイラ2体の動きが止まる。


「ナーイス!」ニヤリ、と笑みを浮かべ、東洋風の少女はキマイラの首と胴を、完全に切り離した。


「俺がいく!」

少女が着地する瞬間、身体の2倍はあろう大剣に炎を灯し、黒髪の青年は頭から尻まで、キマイラを真っ二つに両断した。

「…終わりだ。」


「俺の出番、ナシかよぉー!」最初の赤髪短髪の青年が、草原にドサリと座り込む。

「ちょっとちょっと!レン!アタシのお尻の心配はしない訳?大活躍のアンナちゃんの!」

レンと呼ばれた青年の隣に、うつ伏せに倒れ込み、アンナは頰を膨らませてみせた。

「いやいや、キマイラごときにケツ掘られてちゃ、まだまだだなー、アンナ。」

「…んもぉ、分かってるっての。こんなレベルじゃ、魔王には… ね。」

アンナは、死体となって転がっているキマイラに目を向け呟いた。


「それにしても、これは痛かったでしょう、アンナさん。」

アンナの尻をみながら、回復呪文を唱えるのは、空色の髪の少女だ。

「うん、痛かったぁ!女の子のお尻を打つなんて、とんだサディストだわ!」


ありがとっと言いながらピョンと立ち上がると、アンナはキマイラの死体を検案している黒髪の青年に駆け寄った。


「恐らく、魔王軍で間違いないだろう。知能レベルは随分と抑えられているが…。目的は敵の殲滅か?自我を殆ど消し去られている。」

青年は足でキマイラの前足を持ち上げると、ホラ、と顎で合図する。

「傘下の印であるブレスレットだ。」


「気持ちの良い話ではないですね。」

すっ…と、黒髪の青年の後ろから出てきたのは、よく背格好の似た、銀髪の青年だ。

「ヒスイ!戻ってたの!?」

嬉しそうに顔を輝かせるアンナの頭を撫でながら、ヒスイ、と呼ばれた銀髪の青年はにっこりと笑った。

「戦いに参加するまでもなく、ジェイが真っ二つにしておりましたので。見学しながらゆっくり歩いて来ました。」


「あら、最初からいらしたら、アンナのお尻が裂ける事もありませんでしたのに。」


嫌味を吐きながら、空色の髪の少女がヒスイを睨みつけた。


「やはり、グラッシェレン家の淑女は手厳しいですね。失礼致しました、リリィ皇太子妃殿下。」

そう言いながら、半歩下がり最敬礼をおどけて見せた。


「…本当に、失礼な人間ですわね。」

ヒスイに向けて、サンダーと叫びそうになる直前、厳しく低い声が通る。

「やめないか、ヒスイ!…リリィも、お互いに見苦しい!」

「はっ。失礼致しました。でん……ジェイ。」

「分かりました。…そちら様の犬ですから、しっかりとお仕置きして下さいね。」


「……ぷっ!はははっ!あっはっは!」

3人のやり取りをみて、堪え切れないと言った様子で笑い出したのはレンとアンナの2人だ。

「懐かしいな!冒険を始めたばっかりの頃は、お前らそうやって、よくケンカしてたな。」

「そうそう!一番、息が合ってる2人なのに、何かとケンカして。まあ、ケンカする程仲が良いって奴だな。」

「なっ!」

そう言って、頷き合うレンと、アンナ。

「……なっ!…じゃないですわよー!!!」

一呼吸おき、真っ赤になったリリィが2人を追いかけ始めた。


「明らかに、リリィはお前を慕っている。どうするつもりだ?」

「やめましょう。ジェイ、どうにもならないと、1番分かっているのは貴方だ。」

楽しそうに追いかけっこをする3人を見ながら、飛空挺のタラップに体重を預けヒスイは自嘲気味に笑った。


「ジェイ。わたしは、何か胸騒ぎがしているんですよ…。」

そう言って、ヒスイはジェイに向かいなおす。


「ヒスイ…。昔から、おまえだけには、嘘が吐けなかった。一度だけ、言わせてくれ。」

ジェイはヒスイの手を取ると、ヒスイの手に1つのクリスタルを握らせた。

「…すまない。」


「一度しか見ることができない。然るべき時に、割って欲しい。」


「ジェーイ!!」

草原の彼方から3人が手を振っている。



「さあ、行こうか。」

柔らかく微笑むジェイ。

ヒスイは頷いたまま、クスリ、と笑った。


「ずるい方だ。貴方は、いつも…。」

その手に、クリスタルをしっかりと握りしめて…。


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