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「…エリシャ!!」


バトルウルフを倒した歓喜に浸る間もなく、オリバーはエリシャにしがみついた。


「オリバー…やっ…たの…か?」

「ぁあ…ああ!仕留めたよ!大丈夫だ。」

言葉を発する度に、口から血が流れ出る。

苦痛に歪む顔で、上腹部を押さえていた血まみれの手を、エリシャはオリバーに差し出した。

「…む、ら、の…ひと、たちは…?」

震える手て、しかし、力強く、オリバーは血まみれの手を握り締める。

「全員逃がしたから!大丈夫だから、もう、話さないでくれ…。血が止まらない…エリシャ、頼むから…」

引き裂かれた腹から飛び出る臓物を必死に押さえながら、オリバーは懇願する。

しかし、エリシャが瀕死なのは、明らかだった。

「…オリバー、カイデン…と、、生きた」

エリシャの言葉が、少しずつ、途切れていく。

「エリシャ、エリシャエリシャエリシャ!ダメだ、ダメだぁ!カイデン!神さま!許してくだ…さい」

オリバーは、思考が停止したまま、ひたすら、親友の名前を呼んだ。


「おれの…誇りだ…。…あり…が…とう…」


それが、彼の最期の言葉となった。








バトルウルフ討伐から、3カ月。


村には隊長と、10名程の隊員を残し周辺警備にあたっていた。

あの日、彼らが命をかけて守った、村の全員は一時的にここより南下した集落に身を寄せる事になった。


「あのウルフは、恐らく斥候だったんだろう。…全てやられたとなれば、次の斥候が来ていいはずだ。」


部隊の屯所となったのは、あの日消失を免れた集会所だ。


この地域には、古くから女神信仰が残る集落が多い。

この村もまた、女神信仰が残り、集会所には女神像が掲げられている。


「…とすれば、あの日、仕留めたヤツら以外に群れに戻ったヤツがいる、と、みてるのか?生意気に、組織を作り指揮するような知恵があるのか。」

と、悪態を吐くのはゾイとは1番古い仲であるミアだ。剣での重い攻撃は不向きながら国で一番とも言われる弓の名手だ。

紅一点ではあるが、呆れる程口が悪くセクハラまがいの発言にはゾイも悩まされている。


女神像に見守られながら、作成会議に熱中するは、隊長のゾイと、ミア、そして本部に戻った副隊長の代わりに残留となったアルト。


「…発言します!…群れに戻ったとすれば、群れを強化した上で再度襲撃してくると考えるのが自然かと…」

実質残存部隊のNo.2に抜擢され日の浅いアルトは肩の力が抜けず緊張状態だ。


「あぁ、俺も、そう思っている。次の斥候ではなく、…次は、本隊が来るのでは、と。」

アルトの意見に同意を示しながら、ゾイは、まぁ、少し力を抜け、都、肩を叩いた。


ザワッ…

周囲で話しを聞いていた隊員の中からザワめきが起きる。


「もし、本部からの応援が間に合わなければ…敵の本隊が先に来れば、こちらは全滅だ。…そうなる前に、敵の本拠地を叩くしかない。」


ゾイの部隊は精鋭揃いだ。

先手必勝、皆が大好物とする作戦ではある。


「…しかしな、敵の本拠地が、どうやら…」


「奴らの本拠地については、自分から説明します。」

言い難い様子のゾイに代わり、口を開いたのは…。




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