大事なのは・・・
戦闘(大してやらない)
ドラゴンヒーローズへと見学へ行き一週間がたった。高人は未だに立ち直れずにいた。自分の目指すべきヒーロー像に最も近いヒーローに自分の理想を否定されたせいで心ここに在らずという状態だった。
学校が終わり通学路を歩いていると凛太朗が声をかけてきた。
「おーい。高人ー。」
「凛太朗か・・・なんか用?」
「一緒に帰ろうと思ってな。しかし相変わらず死んだ魚見たいな目をしやがって、いい加減元気出せよ。」
「あぁ・・・。」
「そうだ。うまいラーメン屋見つけたんだ。鏡音も呼んで帰りに食いにいかねーか?」
「あぁ・・・。」
「・・・お前が大切にしてたゲーム貰ってもいいか?」
「あぁ・・・。」
「だめだこりゃ。」
親友の凛太朗に話掛けられてもこの調子だ。凛太朗は大きく息を吸い込むと直人の耳元で叫んだ。
「いい加減にしろ!!!」
「うぉあ!?」
流石に耳元で叫ばれれば高人も反応せざるおえない様だった。
「うじうじしやがってよぉ。そんなにあのおっさんに言われた事がショックだったのかよ。事務所は入れないのは残念だったけどよぉ、まだ他にも事務所はあるだろうし諦めんのはまだはえーだろ元気出して行こうぜ!」
「1人にしてくれよ。今はお前と話す気分じゃねーんだよ。」
「は?んだよそれせっかく人が心配してやってんのに、そんな態度はねーだろ。」
「そんな事頼んだ覚えはねーよ。頼むから一人にしてくれ。」
そう言って高人は走って行ってしまった。
自分が情けなかった。凛太朗が自分を励ましてくれているのに八つ当たりしてしまったことが。ブレイドに言われたことが一週間頭の中から離れなかった。ずっと高人はヒーローに憧れていた自分の命を救ってくれたヒーローに。
「ヒーローになれない・・・か。やっぱり諦めきれないよ。ん?」
携帯に着信がきていた。凛太朗のようだったさっきはひどいことを言ってしまったので謝りたかった。
「凛太朗か?」
「高人か!?いまどこいる!?」
「な、なんだよ。そんなに慌てて?」
「怪人がこの街に出たらしい。しかも先に隣の街でも怪人が出て近くのヒーローはみんなそっちに出払ってるらしいからみんな避難所に集まれってさっき連絡が入ってたんだよ。それなのにお前は避難所にこないし。」
「え ”?」
見ると避難するようにメールがきていた。
「わ、わかったよ。すぐ向か「きゃぁぁぁぁ!?」
「!?おいいま悲鳴みたいなのが聞こえたぞって、おい!?高人、おい!?」
気がつくと高人は走っていた。悲鳴を聞いた瞬間に体が動いていた、今の高人では怪人には勝てないだろう。それは高人が一番理解していた、が
「だからって見過ごすわけにはいかないだろうーが!!」
悲鳴がしていたところに行くとそこには怪我をした女性とその女性に庇われるように小さい女の子がいた。そしてその近くには、
鋭い鉤爪に血走った目、そして裂けた口からはよだれをだらだらと垂れ流し恐ろしい眼光でこちらを睨む異形がそこにいた。
「獣型の怪人・・・。」
獣型は怪人は、人型の姿だがそのモチーフとなった動物の長所持つ。今回の場合は怪人は狼をモチーフにしたもので嗅覚とスピード、そして鉤爪が特化された怪人だ。
「うっ・・・」
「お母さん!?お母さん!?しっかりしてよ死んじゃやだよぉ。」
どうやら親子のようだった。母親も鉤爪で背中を切られたようだがまだ息があるようだった。しかし流れている血の量からそのままにしては命に関わることは素人から見ても明白だ。それに、
「あいつ・・・子供を狙うきか!?」
助けないと、高人はそう思うが体が動かなかった。足が震え本能が奴に勝てないと叫んでいる。そしてブレイドが言った言葉が頭を過る。弱ければ誰も救えないそうかもしれない・・・
「でもあの人なら絶対に逃げない!!!」
高人は落ちている石を投げて、
「こっちだ!!犬っころ!!」
高人は少しでも注意を引こうと石を投げる。すると怪人の標的が親子から高人へと変わる。高人は親子から怪人を引き離し少しでも逃げてヒーローが来るための時間を稼ごうとする。すると、怪人の姿が消えたと思うと、
すでに目の前へと移動していた。
「は?」
本当にただの偶然だった動揺し足がもつれて転んでしまった。その瞬間自分の頭があった場所の塀が吹き飛んだ。瓦礫が自分の腕へと突き刺さる。肉に食い込むように突き刺さったため思わず声を上げる。
「うっがぁ!?」
高人は怪人を甘く見ていた。人に倒せるようならヒーローなど必要ない。一番弱い階級の怪人とはいえ一般人が束になろうと皆殺しにできる化け物だ、ライセンスを持ってるだけの一般人1人など一瞬で殺すことができる。痛みで頭が回らなくなってくる、怪人も自分にとどめをさすためにこちらへと目を向ける。怖い今にも泣きたいけど、
「俺は・・・ヒーローだ!!絶対にあの人たちを助けるんだ!!!お前なんかにまけてたまるかぁぁぁ!!!」
怪人へと拳を振るう、その瞬間
怪人が吹き飛んだ。最初は何が起こったかわからなかったが、すぐにその正体がわかった。スーツを着た大柄な男が怪人を殴ったのだ。
「ずいぶんいい啖呵をきるじゃねぇか。よく頑張ったなガキ!あとは任せな!!」
怪人は男を警戒しているようだったが、すぐに飛び掛かってくるが、
「ハイパァァ・・・インパクトオォオォ!!!」
一撃だった。
男が思いっきり振りかぶり怪人を殴り飛ばした。怪人は百メートルほどバウンドして壁に叩きつけられ肉片へと変わった。高人が決して勝てないと思った怪人をいとも簡単に倒したのだ。
「ガキ、立てるか?」
「あ、ありがとうございます。」
高人は安堵の息を吐く。だがすぐに先ほどの親子の安否を聞く。
「さっきの親子は!?無事なんですか!?」
「あぁ。俺の事務所の部下が応急処置手当を施して病院へと連れて言ったから安心だ。お前ののおかげだよくやったな。」
高人は目の前のヒーローに褒められるも悔しさのあまりに思わず涙を流してしまった。
「どうしたガキ!?怪我が痛むのか待ってろすぐに病院へ連れてってやる!!!」
「い、いえ違うんです。俺ヒーローなのに何もできなくて、怪人を前に勝てないって思ってしまったんです。それが悔しくて、情けなくってやっぱり俺はヒーローになる資格なんてなかったんです。」
直人は自分の胸の内を全て晒すと無様に泣き続けた、すると目の前のヒーローは、
「ヒーローになる資格?そんなの必要か?」
「ヒーローは強くなくちゃいけないんです!!ブレイドもそう言っていた。だから弱い俺なんて・・・」
「いや、お前はヒーローだよ。逃げても良かったのにお前は自分が死ぬことを恐れずあの親子のために立ち向かった。自分より強い奴を前にあんな啖呵切れるやつなんて他のヒーローにだってなかなかいねーよ。」
「でも、俺は「あーもうめんどいな。ヒーローに資格なんていらねーんだよ。大事なのは、なりてーって思う気持ちだ。怪人に襲われた人を助けたいって思ったんだろ?ならなっちまえばいいんだよ。」
直人は目の前のヒーローの言葉に救われた。自分には憧れしかなかった。誰かを守る力がなかったそれでもヒーローになれるのだとそれだけ直人は救われた。
「おっとそろそろ帰らねーと救急車も来たみてーだしな。早くその怪我治療してもらいな。」
ヒーローに言われると今まで意識していなかった怪我を意識してしまったせいか途端に痛みが襲って来た。
「あだだだ!?」
「んじゃ気をつけてな。それとほら、これをやる気が向いたらいつでも来い。」
そういうとどこかへ行ってしまった。高人は渡された物を見るとそれは名刺だった。
『郷田ヒーロー事務所所長 郷田真紅郎』
高人は名刺を見ると決意する。
「ヒーローはなりたいからなる・・・か。」
俺には力は無い、ブレイドがいうとおりなのかもしれない。それでも俺は・・・ヒーローになりたい。
高人は新たな決意を胸に病院へと運ばれて行くのであった。
戦闘描写難しい。