きっかけ
「高人ー起きなさーい。」
朝から母さんの大きい声が響く中のそのそと起き上がる。
「あいよー。」
制服に着替え朝食を用意している母の元へと向かう。
「ヒーロー登録したんだって?どうだったの?」
興味津々と言った様子で聞いてくる。自分がヒーローになると言った時からその意見を尊重してくれた母からしたらとても気になる内容だったのだろう。
「登録は完了したけど。事務所に所属したりするのには一切関わんないらしいんだよね。後は自分でやれってさ。」
「そんなに雑なものなの!?今時ハロワでももうちょっと色々やってくれるわよ!?」
流石の母も驚いていたようだった。
「まぁそれに関してはちゃんと調べてなかった俺も悪かったよ。でもヒーローの裏事情なんてあまりネットにも上がらないし謎が多いんだよなぁ。」
実はヒーローという職業は存在するのだが、実際怪人が出た時に出動する時以外は基本他の仕事をやっているそうなのだが実際身近にヒーローをやっている人などいないので直人の耳にはあまりそういった情報は入ってこなかった。
「ふーん。でもずーっとヒーローになりながってたんだもんね。お母さん応援するから頑張りなさいよ。」と乱暴に頭を撫でてくる。
「いてて、やめろよ。もう子供じゃないんだからさ。んじゃ学校行ってくるよ母さん。」
照れくさくなり家を出る。
「いってらっしゃーい。」
と母に見送られ学校へとむかう。こんなんだから近所で仲良し親子なんて茶化されるんだよなぁと思っていると、学校へと向かう最中に声を掛けられる。
「うーっす、ヒーロー馬鹿登録済ましたんだってどうだったよ?」
こいつは同じ中学からの腐れ縁の佐々部凛太朗。俺と違ってコミュ力が高くて頭もいい、それにイケメンというどこの主人公だと言わんばかりの高スペック野郎だ。なんで俺こいつと友達なんだ?
「登録はしたんだけどイマイチ現実味がないんだよなー。それに今はフリーランスのヒーローだからどこかの事務所に所属した方がいいとか言われてもそんなの知らなかったしな。」
とボヤいていると、
「ん?お前知らねーのか?同じクラスの鏡音蒼龍の家って確か有名なヒーローを沢山出してる事務所らしいぜ?」
とさらっと凛太朗はとんでもない情報を流してくる。
「は?まじでいってんの!?」
思わず叫んでしまい近くの人に白い目で見られてしまう。は、恥ずかしい。
「大マジ。今日放課後にでも聞いて見たらどうだ?」
この素晴らしい友人の提案を飲むことにした。
「いやー。持つべきものは友人だよ。よっ、イケメン。」
柄にもなく凛太朗をおだててみるが
「いや、キモいから。つかそろそろ学校だしいそごーぜ。」
「オッケー。放課後が楽しみだぜ!!」
そういって凛太朗と共に高人は満面の笑みを浮かべ学校へと走ってあのであった。