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絶体絶命悪役令嬢  作者: 8D
絶体絶命下町少女
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序章 無敗の検事

 法廷。

 検事としての活動を停止されていた私、ルー・プロキュールは一般人としてその裁判を傍聴していた。


 私だけでなく、この国の司法の携わる多くの人間がこの裁判には注目している。

 というのも、この法廷に立つ検事が他国から派遣された人間だからである。


 近頃、この国の司法は評判を地に落としている。

 それは国内だけでなく、国外にすら知れ渡る事実だった。


 今はそのイメージを払拭するために様々な取り組みがなされており、他国の検事を派遣してもらった事もその一環である。


 他国の法廷戦略を直に体験し、今後に生かそうという試みだ。


 他国でも指折りの優秀な検事と名高い彼女もその一人であった。

 彼女は今までの法廷で一度も負けた事がないのだという。


 白に近いさらりとした銀髪は短く切り揃えられ、その下に覗くのは目じりの下がった目。

 全体的に穏やかそうな顔つきをしているが……。

 しかし作る表情は挑戦的、好戦的な雰囲気を見る者に感じさせた。


 服装は男性用のもので、白シャツ、黒いジャケットと長ズボンの上下だ。

 ジャケットは袖に腕を通さず肩へ羽織り、シャツの上の方のボタンが二つ外されていた。


 その服装はすらりと細く華奢な体のラインを際立たせ、同時に女性としてのふくよかさを強調していた。


「それはおかしいなぁ」


 よく通る声が対面する相手へと向けられる。


「あんたの証言は、この証拠と矛盾するんだよ」


 彼女はその声で、決定的な証拠を突きつける。


「知らない! 俺はやってない! そんな証拠が、あるはずはないんだ!」


 被告の男は必死の様子で声を張り上げ、自分の無実を訴える。

 しかし、彼女の出した証拠は弁明の余地がないほどに、彼の罪を物語っていた。


「これ以上、議論の余地は必要ないと判断します」


 判事の声が、無常にもそう断じる。


「待ってくれ! 本当に……本当に、これは俺がやったんじゃないんだ!」


 被告の男は何度か殺人の容疑で法廷に立った事があり、しかしその都度証拠不十分で不起訴となっていた。

 どう考えても犯人は彼しかいなかったが、どうしても罪を立証できなかったのだ。


 それも今回で終わりだ。


 しかし、今回の事件は私も調書を見せてもらったが……。

 疑わしい余地がなかったように思える。

 あのような証拠が残っているとは、到底思えない……。


「観念しな。お前の負けだ」

「てめぇ!」


 被告は、検事を睨み付ける。


 それに怖じる事無く、彼女は逆に好戦的な笑みを返した。


「弱い奴は負けるんだよ。当然の事だろう」


 彼女の名は、アリシア。

 アリシア・ディストーテッド。


 曰く、彼女は無敗の検事なのだという。

 この事件に対して考える余裕がなかったので、かなりぼかしました。


 あと、アリシャとの対比でわがままボディにしました。

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