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絶体絶命悪役令嬢  作者: 8D
絶体絶命悪役令嬢
4/74

事件解決

 目撃者の名前を変更致しました。

 ご指摘、ありがとうございます。


 ご指摘のあった部分?を修正しました。


 誤字報告ありがとうございます。

 修正致しました。

 校長室。

 私と王子、そしてリヒター伯爵の三人がその部屋に揃っていた。


 部屋にノックが響く。


「どうぞ」


 リヒター伯爵が入室を促す。


 そうして現れたのは、マルテュスだった。


 髪を二本の三つ編みに結び、眼鏡をかけた大人しそうな子だ。

 不安そうに部屋へ入った彼女は、私を見て怯えた表情を見せた。


 私が目撃者の正体を言い当てると、隠し通す事は無駄だと思ったのか王子は白状した。


 正直に言えば、確証はなかった。

 彼女の名を出したのも、半ばハッタリだ。


 ブローチの件で、目星をなんとなくつけていただけだ。


 目撃者……犯人は私のブローチの在り処を知っていて、私を嫌っていそうな人物だ。


 私を嫌っている人物は多い。

 学園の同級生、女子は全員が私を嫌っていると見ていい。

 でも、ブローチの在り処を知っている女性というものは限られる。


 私は今日、取り巻きの令嬢達にブローチの在り処を話した。

 その発端は、一人の令嬢だ。


 昨日のブローチはどうなったのか? と直接聞いた人物がいたのだ。


 昨日の一件があったから、それを聞くのは至極当然の事とその時はまったく不審に思わなかったが……。

 今思えば、在り処の確認をしたかったのだろう。


 ブローチを盗み出し、私へ罪をなすり付けるために。


 そして、それを聞いた令嬢こそがマルテュスだった。


 私は彼女を見る。

 知らず、その目に力がこもった。


「ひっ」


 マルテュスが小さく悲鳴をあげた。


「アリシャ。あまり、彼女を怯えさせないように」

「すみません」


 素直に謝る。

 けれど、自分を貶めようとしている相手だ。

 睨むくらい許して欲しい。


「フェアラート嬢」


 アスティ王子が彼女に声をかける。


「アリシャに、目撃者がお前である事を告げた」

「そんな……。約束が違います」


 マルテュスは怯えた様子で弱弱しく抗議する。


「ああ、わかっている。だが、安心しろ。お前に危害を加えさせるつもりはない。アリシャがお前に害を成す事はない」


 王子は宥めるように答えた。

 だが、マルテュスはそれでも不安そうだった。


「お前に来てもらったのは、今一度証言をしてもらうためだ。あの場で何があったのか。もう一度ここで話してくれ」

「……わかりました」


 彼女は一度俯き、語りだした。


「私が彼女を見つけたのは、二階の廊下を歩いていた時です。階段の前を通りかかると階段の踊り場から物音がしました。それで、音のした方に行くとジェイルさんが頭から血を流して倒れていました」


 つまり、彼女が第一発見者だったという事か。


「私はジェイルさんのそばに近寄ったのですが……」


 緊張した様子で語った彼女は、そこで言葉を切った。


「それで?」

「ごめんなさい、アリシャ様! こんなつもりじゃなかったんです、許してください!」


 私が先を促すとマルテュスが頭を抱えて屈んでしまう。

 とても怯えた様子だ。


「こら、目撃者を威嚇するんじゃない」

「先を促しただけですよ!」


 王子に注意されて反論する。


「フェアラート嬢。続きを頼む」

「……はい」


 王子が促すと、マルテュスは続きを話し始めた。


「ジェイルさんのそばに寄ると、上の階から音が聞こえました。それで見上げると、そこには走り去る誰かの背中が見えました」

「それは誰だった?」

「わかりません。後姿だけ、それも一瞬見えただけだったので。でも、ジェイルさんのそばにはブローチが落ちていました。それを見て思ったんです。犯人はアリシャ様だと。それは、アリシャ様が大事にしていたブローチでしたから」


 そこで、私は思わず声を出した。


「で?」

「ごめんなさい! 許してください!」


 私が訊ね返すと、彼女は再び頭を抱えて屈んでしまう。


「威嚇するなと言っているだろう!」

「してませんよ!」

「なら、その鋭い眼差しで見るのを止めろ」

「生まれつきです!」


 また王子に注意された。

 じゃあ、どうしろって言うのよ。


「証言が終わるまで、お前はしばらく喋るな」

「……わかりました」


 渋々ながら応じる。

 確かに、私が喋ってもらちかない。


「それで、お前はそのブローチを見てどうした?」

「はい。現場には、人が集まり始めていました。その方達に見られてはいけないと思い、私はブローチを拾って現場から離れました」


 何で?


「何で?」


 思った事が口を衝いて出た。


「ひっ……」

「アリシャ!」


 マルテュスに怯えられ、王子に叱られる。


 でも私は引かなかった。


 だって、彼女の語る言葉は大嘘なのだから。

 聞きたくもなる。


 私は昨日、ブローチを持って帰ったのだ。

 だから、昨日の内にブローチを拾う事などできるわけがない。


「私は、ブローチを昨日持ち帰っているんです。彼女は明らかに嘘を吐いてる!」

「言ったはずだ。俺はお前の事が信用できない、と」

「だとしてもおかしいでしょう。犯人でもなんでもないはずの彼女が、どうして犯人と思しき人間を庇うような事をするんです? 行動が不自然過ぎます」

「それはそうだが。その件も説明してくれるか?」


 王子はそう言ってマルテュスに説明を促した。


「私は、長年アリシャ様に付き従っている身です」


 十年以上一緒にいる取り巻きだからね。


「その身としましては、アリシャ様の不利益になるような事は極力避けたいと思ったのです」

「でも、結局は王子に話してるじゃないですか」

「ひっ……。それは、事が事ですから……。事件の共犯になってしまったかもしれないという現実に耐え切れなくなってしまい……。私は怖くなって、つい王子に打ち明けてしまったのです」


 咄嗟にいつもの習性で私のために証拠を隠滅したが、あとになって事の重大さに気付いて怖くなった、と……。

 まぁ、筋は通る。

 納得できなくもないか……。


「彼女が長くお前のそばにいた事は知っている。条件反射で咄嗟にお前を庇おうとする事もわかるし、その後の彼女の行動にも俺は納得できた。だから、俺は彼女の言葉を信用する事にした」

「なるほど。わかりました。なら、私は信用以上の真実をあなたへ示す事としましょう」


 そのためにさらなる証言が必要だ。


 私は、マルテュスに向き直った。


「それで?」

「こ、これで終わりです」


 これだけ?


 これじゃあ、私が王子から聞いた話とそれほど変わらない。

 なのに、この証言の中から私は彼女を犯人と断じる証拠を見出さなければならないのか……。


 気になるのは、三階で見た人物の話だ。


 残念ながら、私はその時間にその場へ行っていない。

 だから、これは嘘の証言だ。


 そこに付け入る隙があるはず。


「マルテュス。三階にいた人物は、確かに私でしたか?」

「わ、わかりません。でも、ブローチが落ちていたのでアリシャ様だと思いました」

「でも、私の姿は見ていないのですよね?」

「はい。ですが、アリシャ様はあのブローチを肌身離さず身に着けていました。だから……」

「ですが、マルテュスは私がブローチをシチューに落とした所は見ましたよね。留め金が壊れてしまった所も。私がそれでもブローチをつけていたと?」

「はい。確かに見ています。でも、今までだって何度か外れてしまっても無理やりに着けていましたから。その時もそうなのだと……」

「それは……そうですね」


 付け入る隙なんてなかった……。


「アリシャ」


 王子に声をかけられる。

 私はそちらに向いた。


「お前には、当時のアリバイがない。それが証明できない以上、その状況証拠だけでもお前は疑わしい」

「くっ」


 そうだ。

 そもそも私は、自分の放課後のアリバイを証明できていないのだ。

 学校が終わってすぐに帰ったが、家の人間の証言を信じられないと言われている以上証明する事は不可能に近い。


 私には、私の無実を証明する証拠がなかった。

 なら、どうすれば私は無実を証明できるのか?


 私の容疑を晴らす方法があるとすれば、それは唯一犯人を特定してしまう事だ。

 そうすれば、相対的に私が犯人では無いという事が証明できる。


 恐らく、犯人は目の前にいるこのマルテュスだ。

 どうやって私を罪に陥れたのかも分っている。


 だが、それを証明する術がない。


 くっ……。

 証言も証拠も全て出尽くしている。


 もう、私が無実を証明する方法はないのか?


 今度こそ、本当に絶体絶命か……。


 ……いや、まだだ。

 まだ、できうる限り足掻いてやる!


 証拠が無いのなら証拠以外……嘘だろうがハッタリだろうが何でも使って彼女の犯行を証明してやる!


「今度こそ、もう何も無いか? ……お前はよく頑張った。それは今の俺も認める所だ。だから……」

「いえ、まだ終わっていません。私はまだ、諦めませんよ」


 私はマルテュスを見る。

 彼女は息を呑んで身を強張らせた。


「少し聞いておきたい事があります」

「な、何でしょう?」

「私とアスティ王子は、さっき意識を取り戻したジェイルと会ってきました」

「ジェイルさん、意識を取り戻したのですね」

「ええ。思ったよりも元気そうでした。実に普段通りの彼女でした。で、私と王子は彼女から突き落とされた時の様子を聞いてきたのですが……」

「……はい」


 勿体ぶって言うと、マルテュスは息を呑んで返事をする。


「実はその時、首に巻いていたスカーフを両端から握られて首を絞められたそうです」

「え?」


 マルテュスが驚きの声を上げる。

 アスティ王子も怪訝な顔をした。


 アスティ王子が何かを言う前に、私はまくし立てるように続けた。


「首を絞められ、意識が遠退く中。彼女は声を聞いたそうです。その声が、あなたに似ているとの事でした。これは、どういう事ですか?」

「そ、そんな……そんなわけ、私は……」


 明らかに動揺した様子でマルテュスは言葉を重ねる。

 その動揺が落ち着く前に、私は畳みかけた。


「実は、あなたが犯人なんじゃないですか? 落ちていたブローチだって、本当は落ちていなかった。今日、私のカバンから盗って王子へ渡したのではないですか? どうなんです?」

「違います! 私は犯人なんかじゃありません! それに、スカーフで首を絞めるなんて事できるわけがありません。だって彼女は昨日、首ではなく腕にスカーフを巻いていたんですから!」

「そうだったのですか? 本当に? 彼女は確かに、腕へスカーフを巻いていたのですか?」

「確かです。彼女は、腕にスカーフを巻いていました」


 彼女が断言する。


 すると、その場にいる誰もが沈黙した。

 彼女は不安そうな面持ちで。

 アスティ王子は驚愕の表情で。

 私は不敵な笑みを浮かべて。


「な、何故!?」


 最初に声をあげたのはアスティ王子だった。


「何故、知っている? フェアラート嬢!」

「え? へ? な、何の事です?」


 王子に詰め寄られ、マルテュスは混乱した様子で尋ね返した。


「マルテュス。私は、嘘を吐きました。今の話は、私の嘘です。でも、その嘘であなたの嘘も明らかになったようですね」

「えっ……?」

「ジェイルは昨日、確かにスカーフを腕に巻いていました。

 でも、それは放課後の事。

 しかも、その姿を誰にも見られなかったと言った。

 つまり、彼女が腕にスカーフを巻いていた事は彼女だけしか知らなかった。

 けれど、他にも一人だけそれを知っている可能性のある人物がいます」

「それは……?」

「それは、その日彼女を突き落とした犯人です」


 マルテュスは息を呑んだ。


「そして、あなたはその犯人しか知りえない事実を語りました。意識を取り戻したジェイルに聞いたわけでもないのに、何故あなたは知っていたんですか?」

「そ、それは……」

「ジェイルが突き落とされた時、二階にいたあなたがその事実を知られるわけがない。それでも知っていたという事は、あなたが犯人だからに他ならない!」


 私は人差し指を彼女へ突きつけた。

 私の人差し指と鋭い視線を向けられた彼女は、一、二歩後ずさるとその場でへたり込んだ。


 それを見届けると、私は王子に向き直った。


「王子。これが、私の示す真実です」

「……ああ。確かに、それが真実のようだ」


 王子は静かに、答え返した。


「これで解決のようですね」


 リヒター伯爵も言う。

 そういえば居たんですね。

 忘れてました。


 王子がマルテュスへ向く。


「何故、このような事を?」

「……何故? ですって?」


 マルテュスは小さく訊ね返した。

 かと思えば、すぐに顔を上げる。

 睨み付けるような視線を王子へ向けた。


「それは、憎かったから!」


 怒鳴るマルテュス。

 その気迫に、王子がたじろいだ。


 マルテュスは立ち上がる。


「私は、憎かったのよ! あの女、平民の癖に私の好きな王子に色目を使うあの女が!」


 あの女とはジェイルの事だろう。

 そして王子はアスティか。


「あなたはアスティの事が好きだったの?」


 私が訊ねると、マルテュスが私を睨みつけた。

 怖い!


 今の彼女には、さっきまでのおどおどとした様子が一切なかった。

 さながら鬼女のような迫力がある。


「違うわ! 私が好きだったのは、第一王子様よ!」


 そっちか。


 彼もまた乙女ゲームの攻略対象で、無論の事ジェイルに夢中となる人物の一人だ。


「私だって、王子様と恋仲になりたかったわけじゃない。でも、平民の女に取られるのは嫌だった。だから彼女が憎かった。でも、それ以上に憎かったのはあなたよ!」


 そう言って彼女が指差したのは、私だった。


「私はあなたのわがままにうんざりしていた。それでも、それだけならまだよかった。家のためと思えば、我慢できた。でも……」


 彼女は憎々しげな表情のまま、涙を流し始める。


「あの日、私の父が死んだあの日……。病床に苦しんでいた父は、朝から危険な状態だった。だから、私は学校が終わればすぐに帰ろうと思っていた。でも、その日あなたはブローチを失くしてしまった」


 留め金が壊れやすくなっていて、私は今までにも何度かブローチを落とした事があった。

 その時のどれかか。


「あなたは、私達にブローチを探すよう命じた。でも、私は父が心配だったからその事情を話して帰ろうとした。その時に、あなたが何を言ったか……憶えている?」


 あなたの父親の命なんかより、私のブローチの方が価値は重いのよ。


 思い出した。

 確かに私は、彼女にそう言ったんだ。


 そして、帰る事を許さなかった。


 結構、最近の事だ。

 だから、すぐに思い出せた。


 あの時は、本気でそう思っていたと憶えている。

 私にとって、あのブローチ以上の価値が彼女の父親にあるとは思えなかった。


 けれど、今ならそれがどれほど彼女を傷付けたのか理解できた。


「憶えている、わ」

「……へぇ、少しは悪いと思っていたのかしらね? でも、それならあの時にどうして私を帰らせてくれなかったの? 結局私は、父の死に目に会えなかったのよ? 大好きだったのに……。見送る事もできなくて……」

「それは、申し訳ないと思うわ……」

「それが許せなかったし、父の命をあんな薄汚れたブローチ以下だと罵ったあなたが許せなかった! だから!」


 彼女は笑う。


「あの時。あの女が一人で居る所を見かけたあの時に、思いついたの。あの女を突き落として、あなたに罪を被せようってね! 二人共、いなくなってしまえばいいと思ったのよ!」


 叫ぶように言い放った。

 そして、くしゃりと顔を歪めてうな垂れた。


 ……そう。

 そういう事だったんだ。


 父親との最後の別れを邪魔して、その父親自身も私は貶したんだ。


 私は取り返しのつかない事をして、彼女を傷付けたんだ。


 私は彼女の胸の内を受け止め、深呼吸した。




 私は一人、学園の庭にいた。

 小さな池の湖面を眺めていた。


 足音がして、振り返る。

 すると、アスティ王子がそこにいた。


「これで、よかったのか?」

「はい。彼女には、悪い事をしましたからね」


 あの事件が解決し、私は王子から下された沙汰を免れる事ができた。

 しかし、事件の真相が正しく明かされる事はなかった。


 私、アリシャ・プローヴァは自らが事件の犯人であると認めた。

 その後、ジェイル・イーニャに謝罪を認められ、彼女よりのとりなしもあって沙汰を取り下げられた。


 そう周知されている。

 そこに、マルテュスの関与は一切なかったという事になった。


 それは、私が王子に頼んでそのようにしてもらったからだ。


 それが私なりの償いだった。


 ただ、マルテュスにはジェイルへの謝罪を要求させてもらったが。

 ジェイルはマルテュスの謝罪を受け入れ、彼女は許された。


 全ては私の仕業という事になったのである。


 そういうわけで私は、今も犯罪者を見るような目で人からは見られているわけだ。

 私が公爵令嬢という事もあって、直接何かされるという事はないが。

 その代わり、私の周りにいた取り巻き達はみんな離れて行ってしまった。


 だから今の私は、一人だ。


 それでも、家を追い出されるよりか幾分マシである。


「王子」


 私はアスティに声をかける。


「なんだ?」

「婚約の解消くらいはしてもよかったんですよ?」


 沙汰を取り下げた結果、私は今も彼の婚約者である。

 彼は私を疎んでいたので、沙汰を取り下げるにしてもそれくらいはしてよかったと思うのだ。

 私も、今は彼の事なんてなんとも思っていないし。


「かもしれんな」


 王子はため息交じりの返事をする。


「今からでも、破棄してくださっていいんですよ? 私が婚約者じゃなくなれば、ジェイルとも好い仲になれるかもしれないですし」

「お前はそういうふうに見ていたのか?」

「あなたが、女子生徒と仲良くする事はあまりありませんからね」


 だから、アリシャは嫉妬したのだ。


「嫌いではないよ。面白い奴だ。でも、彼女に対して恋愛感情など持ち合わせていない」


 どうだろうね。

 そう思っていても、アスティ王子には彼女と恋に落ちる運命があるんだよ。


 でも、今は好意を持っていないのか。


「あいつもそうだ。ふふ。俺を男として見ているなら、ああも無防備ではいるまい」

「そうですか」


 アリシャが退場するのはシナリオの半ば。

 そういえば二人の仲が本格的に深まるのは、私がいなくなってからだ。


 私がここに居座ってしまった今、二人の仲はどうなってしまうのだろう?


 ま、好きにしてくれればいい。

 私はもう、王子なんてどうでもいいんだから。


「……ブローチか」


 アスティ王子は、私が胸元につけているブローチを見て呟いた。


「留め金を修理しましてね。もう落ちる事はないですよ」

「そうか。……お前にしては、珍しいな」

「何の事です?」

「お前は、いつも新しい物を好んでいた。ドレスを買っても二、三度着ればすぐに捨てる性分だっただろう。装飾品だってそうだ。すぐに飽きて処分してしまう」

「そうでしたね」

「なのに、そのブローチだけはずっと着けている。子供の頃からじゃないか?」


 ……この人は、忘れているんだな。


「そりゃそうですよ。だって、このブローチはあなたが初めて私に贈ってくれたものですからね」


 王子は呆気に取られた顔をした。


「それが真実ですよ」


 少し恥ずかしくなり、私は小さく照れ笑った。

 いろいろと甘い所があって心残りがありますが、一応ラストです。


 いつになるかわかりませんが、続きも書きたいですね。

 一旦、完結にしておきます。

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